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26年ぶりに向ヶ丘遊園駅北口を歩く



■故郷・向ヶ丘遊園駅へ

2024年7月19日。この日は珍しく予定のない休みで、娘も保育園に行っていて手がかからなかったので、思い立って26年ぶりに生まれ故郷の街・向ヶ丘遊園駅の北口に行ってみました。

僕が向ヶ丘遊園駅北口に住んでいたのは、0~8歳のころで、西暦で言うと1989年~1998年。
北口近くの賃貸物件(一軒家)に家族で住んでいました。その後、親の都合で東京に引っ越すことになったのですが、今でも向ヶ丘遊園駅は僕の原風景というか、一番古い思い出の地なので、いつか再訪したいと思っていました。

もう住んでいた家もないようだし、家族や古い友人がいる訳でもないのですが、ただ街を散歩してノスタルジーに浸りたいな、と思ったのでした。当時のお店とか、どれだけ残ってるかな。

逆に、子供の頃の嫌な思い出が蘇るのでは? という恐怖も少しあります。両親の仲が悪く、あまり明るい家庭環境ではなかったので……。
しかし、「いつかは向ヶ丘遊園を巡りたい」という気持ちが何年もしこりのように残っていたので、「どこかでスパっと記憶の更新をしよう」という気持ちになり、重い腰をあげたのでした。

今日は最高気温34度で、ちょっと暑過ぎる感じもしました。が、こんな機会はあんま無いかなとも思うので、頑張りました。


■巡る予定の場所(当時の記憶)

記憶にある場所を巡るのが今回の目的。
以下の場所を巡るつもりです。

・生家があった場所(川崎市多摩区登戸184*)
・多摩図書館
・カインズ登戸店(スーパー)
・丸山幼稚園
・通学路(畑などがまだ残っていたはず)
・登戸小学校(2年生まで通学)
・駄菓子屋『じゃりば』
・登戸稲荷神社(お祭りに行ったり、銀杏を拾いました)
・ダイエー向ヶ丘店
・あとは記憶にある床屋、小児病院 など

無くなっている施設もあるかと思いますが、それも含めて良い旅になることを期待します。
それでは、上記の場所を目指して行ってきます。

■小田急線に乗り向ヶ丘遊園駅へ

まず、現在の住まい(東京某所)から下北沢へ移動。
そこから小田急線に乗り向ヶ丘遊園駅へ。

調べてみたら、今の住まいから向ヶ丘遊園まで1時間もかかりませんでした。何故26年も行かなかったのか……まあ用事が無かったからでしょうね。これを機に街歩きを趣味にしてもいいのかな。

小田急線自体は別に26年ぶりじゃないので、特に懐かしさなどはなく。
ただ当時に比べたら、テレビは付いてるし、広告もキントーンだとか転職サイトになってたり、『ぼっちざろっく!』のキャラを使った案内CMが流れていたりして、今風ですよね。
というか、向ヶ丘遊園って急行停まるんですね。知らずに各駅乗っちゃったので、経堂で急行に乗り換えます。



向ヶ丘遊園駅、着きました。
駅庁舎事態は全然覚えてないな……よく母親と電車に乗って映画館など行ったと思うのですが、記憶にない。



北口駅舎は何だか趣がありますね。照明の形も、駅舎の外観も古めかしくて味がある。
しかしwikipediaによると2020年にリニューアル済みとのこと。本当かな?

■向ヶ丘遊園駅北口駅――再開発の真っ最中前


さて降り立った北口ですが……なんか、だだっ広い。
26年前の記憶だともっと活気があった気がするんですが……というかそもそもこの草が生えている空間は何?


調べてみると、北口は再開発中なんですね。商店街を取り壊して、今はマンションや複合施設の基礎工事をしている段階、のようです。

広いなあ……。僕の記憶にある商店街はもう無いんだな。素直に寂しい気持ちになります。

あまりに変わりすぎて、記憶との照合は無理そうです。
でもまあ、再開発が完全に完了する前に来れて逆にレアな体験ができたかもしれません。

■多摩区役所と多摩図書館――図書館入口が記憶と違う?

街が様変わりしていている訳ですが、記憶上の地図と整合性をとるために、当時から変わってないであろう多摩区役所まで歩いてみました。
子供だったので区役所を使うことはありませんでしたが、併設の図書館にはよく行っていたので。


区役所の入口(東側)に着きました。
ここは記憶にあります! 子供の頃、よく友達と待ち合わせに使ったのでした。
ようやく記憶にある場所に着けてほっとしました。目の前が車どおりの多い大通りになっていて、これも記憶の通りなので嬉しくなります。
ちなみに、記憶だと10分くらいかかるかと思いましたが、駅からほんの数分。子供のころの記憶は当てにならないですね。

ただ、よく行っていた併設の川崎市多摩図書館については、細かい点が記憶と違うんですよね。
僕の記憶だと、図書館の入り口は、区役所の建物の南側にあった気がするんです。それで外階段を下がって地下の図書館に行った気が。
しかし現在は、建物内の階段が図書館の入り口になっているんです。変わったのかな? 単なる記憶違い。

もう一つ。この図書館は、僕が小1の頃(1996年くらい)に新しく出来た(移転してきた?)記憶があるんです。
「家の近くに図書館が出来るなんて、夢みたい!」と喜んだ記憶もあります。
ただ、以下のwikipediaを見てもそういう記載はないんですよね。これも何かの記憶違いかなあ?

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B7%9D%E5%B4%8E%E5%B8%82%E7%AB%8B%E5%9B%B3%E6%9B%B8%E9%A4%A8

ともあれ、図書館をぶらぶらして当時の感覚を何となく思い出しました。当時から身体が弱く、本を読むのが好きだったな。

〇所在施設: 川崎市 多摩区役所
 所在地: 〒214-0014 神奈川県川崎市多摩区登戸1775?1

■カインズ登戸店について

次に、家の近くにあったスーパー「カインズ登戸店」を目指します。

普通カインズと言うと全国展開しているホームセンターの「カインズホーム」を連想するかと思います。
僕も当初は「当時はカインズはスーパーもやっていたのかな? それとも僕の記憶違い?」と思っていたのですが、
ネットで調べた所、「カインズ登戸店」というのは、カインズホームとは無関係の、個人経営(?)のスーパーだったようです。

しかし、残念ながら2009年に閉店してしまったようです。
http://san3kichi.blog122.fc2.com/blog-entry-168.html

という訳で、跡地(川崎市多摩区登戸2180)まで行ってみました。


今は普通に別の店がありますね。保育園などもあり。

前の道自体は26年前の面影が残っている気がします。昔からやっているらしき魚屋さんや肉屋さんもありますし。

〇カインズ登戸店
 神奈川県川崎市多摩区登戸2180

■生家の謎――「家の前の道」が見当たらない

さて、今回の主目的であるところの「生家捜し」。
僕が0~8歳の時に住んでいた家は、賃貸物件で、26年前当時の時点でだいぶ古かったので、もう建物も取り壊されているでしょう。
それでも良いので、その地点まで行って物思いに耽りたいな、と思っていたのです。
が、実際に行ってみると、あまりにも記憶と道の形状が違いすぎました。

まず僕の記憶では、生家の住所は多摩区登戸184*。

そして生家は、「区役所」と「カインズ登戸店」を繋ぐ道路沿いにあったはずなのです。

しかし行ってみると、道が記憶と全然違います。
そもそも、「区役所」と「カインズ登戸店」が、一本の道で繋がっていないのです。


ひとまず、生家だった場所(番地から特定)には到着。




元の住居は当然なく、普通の民家がありました。
生家には裏庭があったのですが、そこは駐車場になっているようでした。

ここで間違いないはずですが、道の形状が記憶と違うのですっきりしない。もやもや感、物悲しさ……。

※現地での調査はここまでだったのですが、帰宅後、国土地理院のページで過去の航空写真を見たら、驚愕の事実が発覚。

2009年まで遡ると、僕の記憶にある「区役所」「生家」「カインズ登戸店」を繋ぐ道路が、ちゃんと存在していたのです!


要するに、2010年代の区画整理で、僕の生家は、前の道ごと消されてしまった、ということらしいのです。驚き。

これについては、まぁ悲しい事実のはずなのですが、それよりも事実を掘り返せた喜びが大きかったですね。国土地理院って凄い。


■丸山幼稚園

気を取り直して想い出の地を巡ります。


丸山幼稚園。30年近く前に通っていました。残っていて嬉しい。
普通に幼稚園をやっているので、迷惑にならないよう、さっさと通り過ぎます。

園の前の道も健在ですね。よくここでスーパーボールを飛ばして遊んでたな。

子供の頃は「幼稚園にお寺が付いているな」くらいにしか思わなかったけど、調べてみたら丸山教という独立した宗教なんですね。知らなかった。

■通学路と登戸小学校


丸山幼稚園を通り過ぎると、桃園と桃の無人販売書。
ここは登戸小学校へ向かう通学路ですね。割と明確に覚えている道に出て嬉しい。にしても、まま桃の畑が残っていることに驚き。


小学校の方向を向くと、道の右側に側溝(の蓋)があるんですが、子供の頃はこの蓋を数えて歩いていました。あとは傘を引きずって穴にひっかけたりね。

一度、側溝(蓋)の穴に傘が深く刺さって取れなくなったこともありました。あれ、結局どうなったんだっけなあ。

その他、記憶だと「大きな穴があいた金網」があって、そこを通って遊んでいた記憶もありますが、流石にそれは残っていませんでしたね。どこも新しい建物か、もしくは工事中といった感じ。


そして着きました、登戸小学校。
ここも普通に運営中の小学校なので、迷惑にならないようにさっさと素通りします。

記憶だと、向かって左奥のほうに大きな滑り台があって、子供達の間で「スベレスト」と呼ばれていだ記憶があるんだけど、目視できず、もう無くなったのかな。

※後でネットで調べた所、「スベレストは解体された」とのインスタ投稿が。これも残念ですが、まあ時代の流れですね。


■じゃりば(駄菓子屋)



小学校の横の駄菓子屋『じゃりば』です。
まだあった!
当時からかなり年季の入ったお店でしたが、まだやっていて嬉しい。
駄菓子屋だけでなく文具もやられていたんですね。記憶になかった。


10円ゲームなんかもありますね。瓶の自販機もある。
僕の想い出を抜きにしても、貴重なお店だなあ。

せっかくなのでお邪魔してお菓子を買いました。
ヤッターメン(10円ラーメン)と、ココアシガレット。

ヤッターメンは当時5~6個まとめて買って、「もう1コ」のあたりが出るのを喜んでいました。

ココアシガレットは、これは小4くらいの時に気に入って食べてましたね。60円だと思っていたけど40円でした。これは今食べても美味しいですよね。替えのない味。
(この記事は今まさに持ち帰ったココアシガレットを食べながら書いています)

それにしても、真昼間に大人一人で入って駄菓子だけ買って帰るの、ちょっと恥ずかしいやら申し訳ないやら。ま、いいか。

記憶だと、お店の向かって右側に広場(駐車スペース?)があって、そこにストリートファイターなどのゲームの機体があったのですが、今はもう無かったですね。というか、それに相当する場所も見当たらない。
こればっかりは、国土地理院の昔の航空写真を見てもはっきりせず。まあ、曖昧なままの想い出ということで。

斉藤文具店
〒214-0014 神奈川県川崎市多摩区登戸1346


■登戸稲荷神社

通学路を戻り、登戸稲荷神社へ。


子供の頃に銀杏を取るなどした神社です。あとやっぱり、夏祭りのイメージが大きいです。

26年ぶりに来てみると、記憶よりも敷地がずっと狭いですね。まあ子供だったから広く感じたんだなあ。

すぐ横に大通りがあり、車通りもあるので、「静かで厳かな感じ」はまったくなく、むしろ「街に忽然と現れた神社」のような佇まいです。
しかし、神社はずっと残ってくれてるのでありがたいですね。

〇登戸稲荷神社
〒214-0014 神奈川県川崎市多摩区登戸2297


■ビストロ ラ・サンテでランチ



ここは想い出の店ではなく、生家(だった場所)のすぐ近くに出来ていた洋食屋さんです。

暑いので休憩+ランチに入りました。

一日8食限定の煮込みハンバーグランチ。
食べ応えがあって非常においしかったです。
雰囲気も良いし、生家ももう無いので、この店を実家みたいな気持ちで見守っていこうかな。

また向ヶ丘遊園駅に来た際には必ず行きます。次はいつになるか分からないけれど……。

〇ビストロ ラ・サンテ
〒214-0014 神奈川県川崎市多摩区登戸1853?1


■ダイエー向ヶ丘店(跡地)


さて、あとは行かなかった場所の紹介です。

子供の頃に親に連れられて行った「ダイエー向ヶ丘店」ですが、残念ながら2020年に閉店済み。

ただ、「イオンフードスタイル向ヶ丘店」が今年2024年4月にオープンしたらしいです。
一応、ダイエー向ヶ丘店の流れを汲んだお店らしいのですが、想い出の場所とは違っているんだろうなと思い、行きませんでした。

子供の頃、ゲームコーナーにあった新幹線型の遊具(お金を入れると8の字のレールを走る)によく乗っていたのですが、それも無いようで残念。
ですが、ネット上に該当の遊具の写真を残してくださっている方が居ました。感謝します!

ダイエー向ヶ丘店(旧サンコー)
https://minkara.carview.co.jp/userid/240874/blog/36560665/

ダイエー向ヶ丘店(跡地)
神奈川県川崎市多摩区登戸2789


■その他の場所


・子供の頃に行っていた床屋、どうしても思い出せないですね……地理的には多摩区役所の少し東くらいにあったはず。
散髪が終わった後、子供の僕に白く大きな犬を触らせてくれるのが毎回の楽しみでした。

建物の外観の記憶だと、『カットスタジオ QUARTER』さんが完全に一致しているのですが、どうにも場所が記憶と合わないんですよね……。
建物の前まで行って、やっぱりこんな外観だった気がするなあ……とは思ったのですが。


・子供の頃に通っていた小児科は、『たまこどもクリニック』だったと思います。病院名に見覚えがある。
ただ、こちらは建物は建て替えたようですね。跡継ぎさんが継いでいるようで、一安心。

・そうそう、久しぶりに『開かずの踏切』も経験しました。向ヶ丘遊園駅と登戸駅の間の踏切、本当に開かないんですよね。
 調べたら向ヶ丘遊園駅のwikipediaにもその旨が書いてありました。やっぱり気のせいじゃないんだな。


■おわりに

そんな訳で、3~4時間ほどかけて、26年ぶりに向ヶ丘遊園駅北口をまわってみました。

景色は様変わりしており、曖昧な記憶は曖昧なままで、正直言うと特に驚くような体験にはなりませんでした、

ただ、いずれ行かなきゃと思っていたので、「これでもう焦燥感に駆られずに済むな」という安心感が強いです。
死ぬまでにやるべきことが一つ消えて、スッキリ。

「僕の想い出の向ヶ丘遊園駅北口」は確かに頭の中にあるのですが、そこに行く方法がもう無いことが確定したので、今後の人生はそれほど過去に思いを馳せず生きられるんじゃないかなと思います。

向ヶ丘遊園駅北口は再開発の真っただ中なので、2~3年後にはまた全く異なる街になっているものと思います。そう考えると、今回の訪問はある意味で貴重な記憶になるのかもしれません。

次に行くのは、いつかな。また25年後くらいかも。今度は便利になった北口で買い物でもしようかな。

それではまた。