わたしとPIANO DUOの話

一昨日は石井彰さんとわたしのDUOでのLIVEがありまして、それはそれは素晴らしい音楽の時間だったわけですが、そういえば、このPIANO DUOという演奏形態 、JAZZミュージシャンになってから今日までずっと続いているような気がして。今となっては知る人ぞ知る感じであろう、わたしとPIANO DUOの軌跡を、松本圭司さんとのPIANO DUOアルバム「TETE-A-TETE Ⅱ」もリリースされるこのタイミングで、ちょっと振り返ってみようかなと思いました。思い出せなくなる前の備忘録とも言えます。


●1990年代

わたしがフルタイムミュージシャンとして活動を始めたのは1997年、27歳くらいの頃からなのですが、当時はPIANO DUOのLIVEは全然やってなくて、初めてPIANO DUOをやってみたのは1998年の公式初録音作品CD『ジャズ新鮮組』(KING RECORD)で、斉藤真理子さんとDUOでレコーディングした「Tenderly」だったような。
▶︎Tenderly
(YouTubeにありました…)

四半世紀の月日を経て聴いてみると、自分の演奏、今もたいして変わってないような気も。。。 わたしのPIANO DUO「初めて」のお相手の真理子姐さんの演奏、素晴らしいです。
この頃から毎月出演していた宇宙一小さいJAZZスポット高田馬場「HotHouse」では、オーナーのアキさんブッキングにより、故・本田竹広さんのような偉大な先輩とのDUOの夜もあったりして、音楽的に右も左もわからなかった当時の自分には勿体無い貴重な機会だったなあと。もう叶わないことかもしれないけれど、いまの自分でもう一度ご一緒させていただけたら、そしてもっと多くのものを学べたらと思うこと、よくあります。

●2000年代

ミュージシャン業を始めて8年、2006年にわたしのデビュー作品「Swingroove」(Universal Music)を発表することが出来たわけですが、そこに1曲、PIANO DUOを収録しました。このCD全曲で弾いてもらった早間美紀さんと、曲は「思いがかさなるその前に」(平井堅)です。曲目クレジットの後の作曲者名が大半は「Ken Ota」のなか、1曲だけ「Ken Hirai」となっていて、ちょっとしたウォーリーを探せ感もあります。YouTubeにはUPされていませんでした。あしからず…

この演奏はアルバム唯一のソプラノサックス曲なんですが、これが初めてのソプラノでのPIANO DUOの演奏だった気がします。その翌年の2007年、クリヤマコトさんが音楽監修した映画「富嶽百景〜遥かなる場所」で2曲、クリヤさんのピアノとソプラノでDUOをさせていただきました。▶︎Eternal Blue
▶︎さくらガーデン

こちらはその後、CD『Eternal/クリヤマコト』としてリリースされ、ウチの父は、わたしの録音モノのなかでこのCDでの演奏が一番好きだと言っております。身体をゆっくり動かすエクササイズの時に聴いてると心地よいらしい。豆知識。

●2010年代

六本木にあったJazzClub「Softwind」のオーナー松木さんより「石井彰さんとのDUOをぜひウチでやってください」とオファーをいただき、この頃から定期的にやらせていただくようになりました。DUOの記録は残ってないのですが、ドラムのセバスチャン・カプティーンさんが参加した夜の映像がありました。渋い…
▶︎The Blessing

また、2010年、日比谷公会堂での「Summer Jazz」というフェスティバル主催者様の発案によって組まれたユニット「5Cats」(鈴木央紹ts 太田剣as ハクエイキムp 日野賢二eb 大槻KALTA英宣ds)での活動で意気投合したハクエイさんとDUOであちらこちらへツアーするようにもなり、PIANO DUOでの活動は全国区へと拡がってゆきました。
この頃、高田馬場「HotHouse」では大槻KALTA英宣さんとのDRUMS DUOが毎月の定例となっていましたが、PIANO DUOの日もあって、大口純一郎さんや吉田桂一さんなど、いろんな方々とご一緒させていただいてました。
これは新澤健一郎さんとの回
▶︎Cantaloupe Island

同じ頃、六本木の全日空ホテルのラウンジに熊谷ヤスマサさんと定期的にPIANO DUOで出演していて、Wayne Shorterの曲とかWynton Marsalisの「Delfeayo's Dilemma」とか、およそラウンジには似つかわしくない難曲を二人で「スタンダード研究会」と称してスーツ着てソフトに演奏しながら切磋琢磨していて、それもとても楽しい時間でした。そんななか、サックス専門誌「The Sax」より付録教則CD用に「NewYork State of Mind」をDUOでお願いしますとの依頼をいただき、熊ちゃんと録音したのです。流石にYouTubeにUPされてないですね。割と好きな演奏なので自分でUPしようかな。「The Sax」さんの許可がおりたら。。

有楽町のJAZZ BAR「季立」では吉岡秀晃さんと、相模大野「ALMA」では石井彰さんや若井優也さんや佐藤浩一さんと、柏「Nardis」では堀秀彰さんや成田祐一さんと、そして本厚木「Cabin」や銀座「No Bird」成城学園前「Cafe Beulmans」では今日の「TETE-A-TETE」へと繋がる松本圭司さんとのDUOをやらせていただいていた時期でもあります。

●2020年代

2018年に20年ぶりに再会することが出来た和泉宏隆さんとPIANO DUOもやらせていただくようになり、鎌倉「Space-kaj」や本厚木「Cabin」桜木町「Dolphy」などに出演しました。
▶︎Raindance

その流れで2021年、わたしの15年ぶりのリーダーアルバム「Songs from the Heart」(SCRAMASAX RECORDS)は和泉さんに全曲参加していただき、和泉さん作曲「Love Ballad」はDUOでレコーディングしました。デビューアルバム「Swingroove」同様に、リーダー作品に1曲はPIANO DUOを入れる人、みたいになってますね。御茶ノ水「Naru」でのこのCDのリリースLIVEを最期に和泉さんは旅立たれましたが、その前日、水戸「Girl Talk」での和泉さんとのPIANO DUOの夜のこともずっと心に残っています。

同じく2021年に初作品をリリースしたユニット“k.a.t.”(秋田慎治・土井孝幸・太田剣)での定期的な活動や、平賀マリカさんのトリオでの演奏をきっかけに、気心知れた秋田慎治さんとの楽しいPIANO DUOの機会も増えてきました。昨年に続き今年もクリスマス当日は二人で葉山の海沿いの素敵なレストラン「LaMaree」に出演します。

この頃、茅ヶ崎のJAZZ BAR「Storyville」のオーナー菅原さんからのオファーで始まったスガダイローさんとのDUOでは、毎回、この形態での演奏の地平が拡がるような内容となっていて、いろいろ開眼することも多いです。

そして2022年、ついに全編PIANO DUOによる作品「TETE-A-TETE/太田剣&松本圭司」(SCRAMASAX RECORDS)をリリース。録音もアートワークも、全て松本さん&わたしが担当した「二人だけで(TETE-A-TETE)」というこのPIANO DUOは、なんと言いますか、四半世紀、演奏を続けてきて朧げながら見えてきたわたしの音楽的スタンスとやりたいことを、まるでエスパーのような洞察力と圧倒的なクオリティでササっと音にしてしまう松本さんとの胸のすくような共同作業なんですが、もうすぐリリースされる「TETE-A-TETE Ⅱ」ともども、レコーディングの際に、作ってきた新曲を二人で一度通してみるリハーサルなどはしてなくて。「このくらいのテンポで、ソロはどちらからで、終わりはこんな感じで…」というあっても無くても大差ないような作曲者からの軽いディレクションのみで、いきなり録音しながら演奏→「良かったかも!」と採用。なので、どの曲も殆どファーストテイクなんです。エスパー松本氏、凄すぎですね。。
▶︎TETE-A-TETEアルバムトレイラー

今年2024年には、用賀にある「工房花屋」のオーナー鈴木さんからのオファーで石井彰さんと10年ぶりのDUOが実現しました。あの頃より、少しはマシになったのか、なっていないのかわからないわたしの演奏も、石井さんのピアノと音を重ねると途端に浄化されてゆくかのような、そんな貴重な演奏の機会をいただけて嬉しい限りです。

また20年ぶりくらいに再出演させていただくようになった関内「Apple」では成田祐一さん、松本茜さん、小沢咲希さんとDUOさせていただいたりもしています。

というわけで、ざっと25年のわたしとPIANO DUOの軌跡を書き記してみました。

2024年12月13日、先行リリース「TETE-A-TETE Ⅱ」レーベルオンラインストア限定でご予約受付中です。

【SCRAMASAX RECORDS】オンラインストア

下記のツアー会場でもご購入いただけます。

▶︎12/17(火)桜木町「Dolphy」
▶︎12/18(水)静岡「Lifetime」 
▶︎12/21(土)神戸「Gallery Zing」
▶︎12/22(日)名古屋「Mr.Kenny's」

わたしとPIANO DUOのこの1枚。
聴いていただけたら嬉しいです。

TETE-A-TETEシリーズ、Ⅲも作りたいです

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