テテⅡ旅の起承+転結

新作CD「TETE-A-TETE Ⅱ」の先行発売ツアー四日間、無事に終わりました。先ずはお越しいただいた皆様、そして各公演を支えてくださった各店オーナー&スタッフの方々に御礼を。皆様どうもありがとうございました。連日、素晴らしい音楽の時間を多くの方と過ごすことが出来たのは、ひとえに聴いてくださった皆様と、快適な演奏の場を提供してくださった皆様のおかげです。

2年前に最初のアルバムを作ったこのDUO「TETE-A-TETE」の続編とも言えます今回の「Ⅱ」は今年の10月と11月に1日ずつの計2日、レコーディングをして12月にはCD完成。多忙なスケジュールの合間を縫って、録音→MIX→マスタリング作業を完遂してくれた松本圭司さんのご尽力あっての賜物です。カレー店で問われる辛さレベルみたいに、感謝レベルを問われたら「70倍で!」と即答するくらいのありがたみです。ホントにホントに。
一つ前の投稿でも少し触れましたが、録音は至ってスムーズなものでした。作った曲の譜面を見て、口頭で確認事項を伝え合って「じゃあ録ってみましょうか?」と最初の1回目から録音。リハーサルの1回もなく、お互い初めて吹く・弾くメロディとハーモニーと、ソロ。で「良かったんじゃないですかね?」とそのファーストテイクを採用。その後、綻びのある箇所だけちょっと修正して、という感じでサクサクと進んだので、お昼からの5曲録音は、LIVEの1セットで5曲演奏するのと似たような感覚でした。それにしても、未知の曲をデモ音源もリハもないままいきなり弾いて、作曲したわたしのイメージ通り…を超えてさらなる+αを展開させてしまう松本さんの洞察力&想像力、そして演奏力たるや、カレー店で問われる辛さレベルみたいに、凄さレベルを問われたら「76倍!」と即答してしまう凄さです。常々「仕事が出来る人」に感じる「クオリティ+速さ」を音楽で体現する日本代表のようなお方です。否、世界代表かも。
そうしてこうして完成したCD「TETE-A-TETE Ⅱ」ですが、人前で演奏したのはこのツアーからでした。


起:12/17(火)桜木町Dolphy

そんなわけで、レコーディングで一回演奏しただけの曲を初めて演奏するLIVEの初日でしたが、録音日から約一ヶ月、その間に他の音楽をいろいろ演奏してることもあって、録音した曲のことも、自分たちが吹いたり弾いたりした内容のことも概ね忘れていて、二度目なのに初めて譜面を見るような初見感覚の初日でした。音楽を演奏する際の基本姿勢は人それぞれだと思いますが、こと、このようなJAZZ演奏の担い手のはしくれといたしましては、毎回&毎曲「自分も、聴く人も、いまここで初めて生まれている音楽を目に(耳に)している」と感じるような、そんなペーソスのある演奏にチャレンジし続けて云十年…なので、自分が一度演奏したものを同じようになぞることよりも、それらは即時忘れて、まだ見ぬ目の前の瞬間の「良さそう、おもしろそう」を最優先する感覚が癖になり過ぎてしまって、初見の時に湧き出でるアイデアの魅力を欲するあまり、何回目の演奏であっても毎回初見…みたいなことになるのがウェルカム、というスピリットがあったりもして、それってどうなのかな…と思いつつも、何か新しいものが聴こえた、生まれたという喜びは長く音楽を続けていられる大きな理由の一つだと思うので、初見能力を高めてゆく修練が必須となるわけですね。笑

CD収録の10曲+アンコールは1作目「TETE-A-TETE」より“Sunny from Now On(松本圭司)” でした。

ドキドキの初日。配信映像は年内いっぱい観れます
コチラ

承:12/18(水)静岡Lifetime

ツアー二日目。前夜に全曲一度演奏したという経験はさすがに綺麗さっぱり忘れることは無いので、初日に抱えていた一抹の不安のようなものは無いわけですが、二日目の感じ、とでも言うべきものが沸々と胸に湧いてきます。CD収録バージョンや前夜より良いものを生み出したいという欲求は当然のことながら、やはり「昨日のLIVE時に脳裏に沸いたアイデアやセンス」を避けて通る、からスタートして別の最良を瞬間瞬間、模索するというプロセス。これがなかなかどうして、後から録音を聴いてみると色々思うところもあります。つまるところ、二日目の演奏は、その日の「はじめまして」と昨日からの「別バージョン」という意識が混在してるような感じでしょうか。ファーストインプレッションに見られるナチュラルな発想とは違うもの、でもそれもアリです。人間だもの。
アンコール曲は前作「TETE-A-TETE」より
“Heidi(和泉宏隆)” を。

松本さんとココに来るのは6年ぶり、2018年のFourKuartetsツアー以来でした

転:12/21(土)神戸Gallery Zing

起・承…ときて、一つ前の投稿に記しました伊良湖岬小学校での校歌10周年式典での演奏というミッションがありました。子どもたち+テテDUOという心温まる音楽体験、素晴らしい時間でした。わたしの故郷に暮らす子どもたちと、長年の盟友にして凄腕ピアニストの松本さんが共演しているという胸熱のシチュエーション、ここから新たに音楽に開眼する子も出てきたりしたら良いなと思ったり。このようなイレギュラーな場でも演奏スタイルもマインドもいつもと同じ、音楽をやるからにはその瞬間瞬間のベストを尽くすことに一切手を抜かない松本さんの姿勢、流石でした。
そんな時間を経て神戸で再会してのツアー三日目。まさに「三日目」らしい演奏になったのは、この日、ピアノもサックスもPA無しの完全生音、アンプラグドな環境での演奏だったことも影響していたような気もします。人と楽器、そして空気を伝わる音。空間の響きには音量その他、何らエフェクト/加工する機材が無いという解放感は、何かしら、心のタガみたいなものも取り払ってしまったような感覚で、その勢い余ってうっかり、曲のメロディやハーモニーも二日間の演奏でメモリー出来たと思い込んで譜面から自分を解放してしまい、コードの流れるままに吹き進んでいたら記憶と違った方向に向かってしまったりもして。個人的に思う「三日目感」的には順当なものの、ある意味、ツアー中で最も破天荒な展開も含む斬新な解釈が見え隠れした内容となりました。三日目の二人の、ありのままの気持ちなんだろうなと、寛容な心で受けとめていただけたら幸いです。
アンコール曲は1作目「TETE-A-TETE」より“Lau Dai(太田剣)” にしてみました。

ツアー唯一の生音DUOの一夜

結:12/22(日)名古屋Mr.Kenny's

ツアー四日目。前作のツアーではココから雪の金沢に向かった難道中もまだ記憶に新しいところではありますが、その辺の記憶を辿ってみると、今回の二人旅は前回よりも、道すがらもっと色々なコトに関する本音を屈託なく談笑していたような。そんな移動時間も嬉し楽しい旅の最終日は、僕の体感(聴感)では、ステージ上に、CDの音像に近いサウンドの混ざり方があって、LIVEでありながら、 CDのレコーディングの続きをやっているような、そんな雰囲気でした。内容のビルドアップの仕方が、ここまでの三日間のLIVE感とはひと味もふた味も違う、LIVEレコーディング作品としての完成形に向かったような、素晴らしい音楽の一夜となったような気がしました。
故郷の愛知県ゆえに、お客様の多くが伊良湖のイメージがわくであろうとも思って、アンコールには「伊良湖岬小学校 校歌」を。歌無しのインストで演奏したのは初めて、というか、こんなに必然性が重なることも稀な気もするので、後にも先にもこの夜一度きりの演奏ということになるのかもしれませんが、演ってみて良かったと感じています。多くの皆さんに聴いていただけて良かった。
伊良湖岬小学校でのコラボはコチラ

終演後にローストビーフ丼とクリスマスケーキを。Kenny's美穂さんとスタッフのハヨンさんありがとう。

起承転結、演奏にも気持ちにもメリハリのある四日間の旅でした。沢山の気づき、そしてまた来年以降の夢やプランの話など、松本さんといろいろ話すことも出来たし、何より演奏が毎日楽しかった素晴らしい日々でした。年明けて1月にCD「TETE-A-TETE Ⅱ」の全国店頭&Amazonなどのインターネット販売が始まり、今日から約2ヶ月後には東京、渋谷の某店にて再びこのCDの曲を実演する日が来ます。今日は渋谷に5時〜♪…ではなく、2025年2月21日は渋谷に7時半〜くらいだと思いますが、皆様ぜひスケジュールに入れておいていただけると嬉しいです。引き続き、どうぞ宜しくお願いいたします!

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