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俳句20句 小川楓子「おやすみ」


おやすみ 小川楓子

漁網巻くゆふぐれの蝶なみなみと 
花冷のあめふらし掴み続けてかゆい
春の潮するりするりと浜を伸び
角叉生ふ神さまの口泡だらけ
ぎーこばつたんトイレ真つ向に春の海
すべすべでないとね若葉おやすみ
サバ缶開けます冷房がだめなひと
へんぽんと葉月泡吹虫の泡
いちいち毛虫眺めてあれはデート
みつ豆を運びきよろきよろ眩しさう
炎暑ぬけてきてつめたい座つてる
秋冷は額ななめにベレー帽
ぎこちなく始まつたはず薄と薄
繊細なキャンディなのです台風圏
鴨とかもゐるさんさん葉物さんさん
朝一でやらうと思ふブロッコリー
年末のお忙しいところルッコラ足す
歩きながら目が覚めるはず門松
二度寝しちやおう手すりの冬の虫
トゲナシトゲトゲ雪虫をみたんだ

おがわ ふうこ
1983年、神奈川生まれ。2008年、「海程」入会により作句開始。金子兜太に師事。同年、山西雅子に師事。2010年、「舞」入会。海程新人賞、舞賞受賞。2022年、第一句集『ことり』上梓。共著に『超新撰21』『俳コレ』。アンソロジーに『天の川銀河発電所 Born after 1968 現代俳句ガイドブック』。

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