【特有が認められる時】表現力セッション
海外発祥のダンスをする人にとって必ず一度は気になる事を言われることがあると思います。
未だに良く言われたりする例として、「体型が違う日本の人がダンスしても違うよ！」とか、「その国のDNAが無いとそのダンスにならない」、などがあります。
こういった『オリジナル至上主義的考え』はダンスに限らず、西欧美術や自動車などの西洋発祥の工業製品やデザイン、また工作技術等でもしばしば同じように言われます。
ダンスにおいても、いわゆる本場でその歴史に自身を埋めようとしている場合はそうなのかもしれません。しかし、芸術であっても工業製品であっても、その作品・製品に自身の『特有性』介在させることによって、単なる「写し」を越える存在になりえると思います。
そうであるなら、個人差はあれど日本の人の『特有性』とは？例えばどの様なことなのか考えてみたいともいます。
☆イタリア料理から見る『特有性』
西欧は元々都市国家の集合体である為、本来は各地域で料理が違ってきます。
今回は南イタリア・ナポリ料理の伝統的料理、アクアパッツァを取り上げます。
アックアパッツァは元は漁師の賄い料理で、魚介類を海水で強火で煮込み、トマトとオリーブオイルを加える料理。
まずは、伝統的に近い料理手順の動画を視てください。
シンプルで、火力調整も要らないので焚き火でも出来そうですね。たぶん漁を終えて、売り物にならなそうな魚を集めて料理したのでしょう。
続いて、日本におけるイタリア料理のフロンティアである日高シェフの料理動画を視て下さい。
賄い料理とレストラン料理の違いはありますが、和食を思わせる丁寧な魚の下処理、旬の魚を使い素材の味を邪魔させない味付け、そして、日本の人の趣向に合う「旬の魚」＆「皮面の旨さ」を付加し、和食的アプローチも見え隠れする、精密さを感じさせる手順を践んでいます。
引用動画①と比較してもらうと解りますが、日高シェフが「イタリアでは皮面の旨さは基本気にしない」と言われている様に、単に伝統に乗っ取るだけでなく、きちんと『特有性』を介在させた作品となっています。
また、別の動画では「最近のイタリアの星付きシェフは以外と和食の技術をどんどん取り入れて、ボーダーがなくなりつつある。」とも語っています。
実際にバレエの世界でも、そういった日本『特有性』について注目が集まっています。
☆バレエから見る『特有性』
ロシアのマリインスキーバレエに入団し、わずかな期間でソリストに昇格した「永久メイ」さんも、その『特有性』が注目されています。
バレエの可憐さを表現する時に、細かく刻み、かつ脚の動きの程正確無比さや、精密にコントロールされたターンやステップ。軽やかな手先の演技や、内面から滲み出るような感情豊かな表現等々。
これらは、日本の人特有の性格の細やかさから来ているのではないかとか、欧米のバレエダンサーには真似できないとよく評されているようです。
この様な状況から、自身の『特有性』を認識し伸ばしていく事が大切であることが解ります。また自身の『特有性』を「どんな方法で」認識していくか？も大事な要素です。
そして、その『特有性』をどこまで介在させていくかの『線引き』は、結局のところ、様々な文化芸術に触れながら、自身で答えを出していくしかないのかもしれません。
表現力（エモーショナル）セッションでは、シークエンスや振り付けをただ振り写しするのではなく、振付家・演出家の意図を汲み取れるよう、様々な角度から振付を理解して自身の踊りに繋げられるようなセッションを実施しています。
【引用動画①】
Gennaro Contaldo's Sea Bream in 'Crazy Water' Recipe
チャンネル：Citalia
https://youtu.be/D-L0hA19_xU
【引用動画②】
Youtube史上最高【アクアパッツァ】 日本最高峰の名店 日髙良実シェフ直伝
チャンネル：chef Ropia
https://youtu.be/b06xfSfwqjc
【引用動画③】
М.Нагахиса (М.Nagahisa), А.Тимофеев, (А.Timofeyev),2-22-20
チャンネル：Clara Arson
https://youtu.be/d-WrKaLsF4E
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