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羊たちの叛逆 1章 後半

ニュースピックスが記事にしてくれました!
大友監督と、佐渡島さんから、嬉しいコメントもいただきました。


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第1章後半

自分自身、こうした考えは株式会社や資本主義を完全に否定しているようにも思え、自分が間違っているようにさえ思う。

一方で、給料やステイタスを守るために会社に帰属しているが、なんのためにこの仕事をしているのかと問われた際、使命感や充実感を感じることはできず一所懸命自分の使命感を持って取り組んでいる人を見ると、少しシニカルな態度をとってしまっている。でも、本当は憧れているのだ。本当は、彼らを賞賛し、自分の話も聞いてもらいたい。そうした嫉妬心自体が拓海を苛立たせる。

子供の頃、本当は公園でみんなと遊びたかったのに、勉強していた際、
「いい大学にさえ入ったら、あとはあなたの好きなようにしていいから。」
最初は、母親に言われた言葉だったが、それはいつしか自分自身を縛り付ける呪いのような言葉になっていた。今は、自分で自分に同じような言葉を自分にかけている。

「うちは給料がいいのだから、(ちょっとくらい我慢しないと)」
「ベンチャーは一時的に良くても、潰れるかもしれない。だけど、うちは安定している(のだから、我慢しないと)」
そう思い自分を納得させながら働いてきた。しかし、このままじゃいけないという焦燥感は止まらない。

これは、僕だけでなく近代社会の呪いだ。
圧倒的にモノが不足していた時代は、所得によって生活が大きく異なったが、今や様相は異なる。皆、物質的な欲求は概ね満たされたにもかかわらず、惰性でもっと欲しいと言っているだけだ。本当は欲しいものなんてもはやないのだ。

それにも関わらず、真剣にどうすれば自分が望むように生きられるかを考えている人は少ない。我慢すれば、いつか本当に望むものが手に入ると言う考えは古いのかもしれない。それは、一体いつだというのだ?しかも、それは一体何なんだ?今や、自分の希望すらうまく理解できず、外形的な基準でしか測れない。

「自分らしい生き方!」が合言葉の時代に、自分らしさがわからない大人になるなんて思ってもなかった。

そんなとき、News Picksの記事が目に飛び込んだ

商社マンの栄光と苦悩
高収入、高学歴、海外で活躍──。
かつてエリートの代名詞だった商社マンは、今でも、就活生や若者にとって「カッコイイ」存在であり続けているのか。脱炭素、働き方改革、ダイバーシティ、新型コロナなど急速な時代の変化に商社はどう対応していくのか。(引用 終わり)

まさに俺のことじゃないか。自嘲するしかない。実力以上の評価をされ、その危うさを感じていると自覚する者が、それを認めるのは辛い。勝ち組だったというつまらない幻想のせいだ。

正直、News Picksは嫌いだ。意識が高く、見るたびに自己否定感が強まる。

モヤモヤを抱えた金曜の夜に残業していても仕事も乗らない。切り上げて、1人で銀座コリドー街の立ち飲みバーにふらりと寄ってみた。

二人組の女性がいた。

一人は背が高く綺麗で、好みの顔立ちをしていた。
近くにいたので、声をかけてみた。

拓海「お二人ですか?」
女性A「ええ。」
拓海「僕一人なんですよ。すぐそこの四菱商事で働いているんだけど、ちょっと煮詰まって飲みに来ちゃった。」仕事を頑張る男をチャーミングに演じてみた。

女性A「へぇ。お仕事まだ終わらないんですね。金曜にご苦労様です。」
拓海「まあ、仕事って、ずっと終わらないんですけどね。」
女性B「そうですか。頑張ってください。」

女性二人組は目を合わせ、別の方に歩いて行った。

あれ?盛り上がらない。
少し前なら、
「四菱商事、すごーい!」
などと盛り上がった気がするのだが、あれは大分前のことだったろうか?

なんだか、これまで自分がしがみついていたモノが、とても安っぽく見えてきた。
若く美しい女性というのは本能的でシビアだ。どんな男が次の時代に強いのか、本能的にわかっている様に思う。生物学的な嗅覚だろうか。男女同等などというが、選ばれなかった男性ほど辛い立場はない。俺は、選ばれなくなりつつあるのか?少し、ゾッとする。

気分が下がったまま帰宅し、Facebookを見ていると、貴島さくらの動画が上がってきた。

貴島さくらは、元々キー局のアナウンサーだったが、一旦辞めて、米国での充電期間を経て復帰。今は、テレビやYou tubeで活躍している。ニュースへの洞察力ある解説とチャーミングなルックスが相まってビジネスマンには人気のニュース系タレントだ。

先日スタートしたTranscendental Corporate Field/Capital(TCF/TCC)の取材をしているようだ。確か、日経やNewsPicksでも特集記事が出ていた。





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