令和・世界観(コスモロジー)が拡張する時代
「器の大きさ」が認識の広さに比例するというコラムを書いたところ、たくさんの反響をいただきました。
今回は、異なる視点で私たちの認識を広げてみましょう。令和時代、私たちは意識を広げ、新しい文明の構築に向かいたいものです。平成最後のnoteにふさわしいかなと。
1)物理場に基づく世界認識
通常私たちが触れている世界のことですね。原子より大きな世界であり、近代的、機械論的世界観では、基本的に静的であると考えています。また、このような世界観では、ある物体が別のものと完全に峻別できるという前提の上で成り立っています。残念ながら、このような見方は、
・動的な世界に対して、静的であること
・より細かい世界や、その背景にある力を無視していること
から、解像度が低い、もしくは限定された領域でしか使えない世界観であると言えます。とは言え、私たちの日常は。このような世界観で回っており、無視することもできません。
ただし、
「私たちはどういった存在」
「どう生きていくべきなのか」
という、より次元の高い問題(ただし、人生においては重要度の高い問題)
においては、こうしたモノの見方では、解決案はない。にも関わらず、このレベルの解像度で問題を解析しようとしてしまう。だから、私たちは、いつまでも同じ問題を抱えてしまいます。
『いかなる問題も、それをつくりだした同じ意識によって解決することはできません。』アインシュタイン
2)生命場に基づく世界認識
福岡伸一さんが、生物学に導入した「動的平衡」という概念。
生成しつつも解体しつつあるものが生命であり、生命は一瞬たりともとどまっていない。これは、私たちが近代文明の前提としている機械論的世界観とは全く異なります。生命は、時間の矢とともにあり、再現性はなく、峻別することもできず、また生成より解体を先にすることで「時間」に対し、
「負のエントロピー」を自主的に作ることにより進歩するエネルギーを生み出します。これが私たちという存在、生命です。私たちが、幸福のために人生を考え直すには、少なくとも、問題と同レベルの意識は持たないわけには行きません。
WHO憲章の健康定義について、1998年に新しい提案がなされたことがあるということはご存知でしょうか。
Health is a dynamic state of complete physical, mental, spiritual and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.
静的に固定した状態ではないということを示すdynamic は、健康と疾病は別個のものではなく連続したものであるという意味付けから、また、spiritualは、人間の尊厳の確保や生活の質を考えるために必要で本質的なものだという観点から、字句を付加することが提案されたのだと言われています。
幸福の一要素であろう、健康だけを取り上げても、ダイナミック(動的)でspiritual(霊的)な解像度を持たねばなりません。
仕事において、組織論において、そのような洞察をしている方がどれほどいるでしょう。私たちはどれほど長い間、新しい世界観に飛び込む恐怖から、耐用年数を過ぎてしまった世界認識に、すがりついたまま来たのでしょう。それも、より広く、より限定されない世界観のために、終わらる時が来たのではないでしょうか。
3)量子場に基づく世界認識
波は物質ではなくて「状態」です。海水という「物質」の、ある「状態」が波です。原子より大きい世界では、このように「物質」と「状態」をはっきりと区別できますが、原子より小さい世界では、そんな区分ができません。 電子は「物質」ではなくて「状態」です。 ただし、海の「波」の場合の「海水」にあたる物質がありません。粒子性(物質の性質)と波動性(状態の性質)を併せ持つ、このような特殊な存在を、 普通の物質と区別するため、「量子」(quantum) と呼びます。電子は「量子」の代表格です。
*「30分でわかる量子力学の世界」より
その量子の世界では、確率論でしか何もかも存在しません。10の-33乗という極めて小さい空間にもエネルギーがあり、そのエネルギーの流れの部分から我々が認知可能な時間に対して確率的に現れているのが物質の状態です。
つまり、私たちは、見えない巨大なエネルギーに浮かんでいる部分を見て、その相対的関係性からのみ物事を理解しようとしていますが、背景には、より大きなエネルギーが動いているのです。
私たちは、川に葉っぱが流れているのを見て、葉っぱの相対的関係から世界を見ようとしますが、川の流れを理解せず葉っぱが次にどういう位置関係になるかわかるわけもありません。
量子論が発見され、100年以上経ちますが、私たちの社会の世界観はまだ、物理場的な、機械論的世界観で動いています。
令和の時代、生命場を理解した上でさらに、量子論的世界観を理解し、現実社会の中に落とし込んでいかなければ、私たちが抱えている問題を解決し、新しい社会を構築していくことは難しいでしょう。
世界観を一新する必要があります。
しかし、私たち日本人は、この一新というのは得意ですね。明治維新しかり、戦後復興しかり。
私たちは、世界観を一新するような、新しい学びをスタートする時です。これから、新しい学問の爆発が始まります。それは、もう一度、ギリシアのように、哲学から始まるでしょう。
そうした想いから、今月から、働く意味のアカデミア「WaLaの哲学」0期をスタートしました。約20名の様々な企業の方々が、とても熱心に学んでくれてます!
第1期生の募集を後日いたします。ご関心ある方はご連絡ください。
<事務局>
小澤悠 OZAWA-YU@marubeni.com
屬健太郎 sakka@fieldandstory.com
面白い話があります。博士号を、PhDと言いますが、Doctor of philosophy つまり、哲学博士という意味からスタートしているようです。
令和時代、私たちは、これまでに体験したことのない時代を生きることになります。昭和や平成を引きずるのではなく、真の意味の21世紀を生きるためにも、人生を「哲学できる人」に共になりましょう。