animaの時代
2020年12月28日のお話し
今年もいよいよ終わります。年末年始は、今年を振り返り、来年を考えるとても良い時間と思います。今日は、そのきっかけになる話。
大掃除をし、お正月の飾り付けをしていたところ、友人の西坂さんが遊びにきた。彼から「これからの時代は「風の時代」そんな時代の経営について本を書こうと思ってるけどどう思う?」みたいな話をされた。
「風の時代」
最近よく聞く言葉。「グレートコンジャンクションは、空で木星と土星が接近する現象で、約20年に一度起こります。起こる場所は約200年ごとに変わり、これまでは地の星座(牡牛座・乙女座・山羊座)でしたが、12月22日からは風の星座(双子座・天秤座・水瓶座)になり、今回は水瓶座で接近します。」
まあ、こう言うことだ。
わかる。
天体の配置が人類の歴史に影響を与えているのは事実かもしれない。しかし、惑星の配置によって、世の流れが変わると言うのは、生粋のスピリチュアリスト以外には共感をえづらいだろう。個別の因果関係が曖昧すぎるので、200年単位を数回またいで、物事を洞察している人がいない。(多くの人は、1週間単位だ。暦をキリスト教が支配している。)まして、経営となると尚更だ。なので、それはやめた方がいいと伝えた。出版社からも大体同じようなことを婉曲的に言われていたようだ。ただ、これからの時代の基本コンセプトは共有しているので、彼の言いたいこともわかる。
基本コンセプト、まず、時代をどう読み解くかに関して、いろいろ書くと長くなるが、よくまとまっているこの本を読んで欲しい。
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ここからは、私の感想だが、
「求められるのは、新しい洋服や家電製品、自動車などではない。そんな時代に、欲望を刺激するマーケティングは、社会毒になりつつある。ということは、もはや、効率性、生産性に大きな価値はない。その先に得たいものがないからだ。
では、私たちが求めるものは何? 求められるのは、
・十分な睡眠
・健康
・自宅での美味しい食事
・家族との談話の時間
・そうしたことが可能な十分なスペースや環境
などであり、知恵やネットワークはいるが、お金があればという話ではない。これらを担保した上で、自分の内奥にある望み、願いを探し、社会と呼応する形で創発していくことが豊かな社会ということになろう。
2021年は、そうした事態が加速するでしょう。2020年のコロナは決定的気づきを人々に与えた。無意味な都会での狂騒と散財が、本当に無意味だったと。笑。いや、人類の少年期には馬鹿騒ぎも必要だったとしよう。
パラダイムA:資本主義から
パラダイムB:ヒューマニティ溢れる社会
このシフトに積極的に関わるには、システム駆動条件が異なるため資本主義をハックするしかない。では、どうハックできるか?我々が試されてる。
僕はよく比喩で言うのだけど、自転車の乗り方を覚えたら、行き先は考えるけど、漕ぎ方は考えない。それと同じように、資本主義の乗り方を覚えたら、次は行き先を考えないと。それくらいは、みんなできるんじゃないかな。だって、みんな「素」になれば、やってることだしね。そろそろ、目覚めの時期だ。」
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さて、話の続き。この時代をどう命名しようかと話していたところ、
「新しい時代の豊さを判断できる人のところに、おかねが集まり、新しい時代の豊さに向けて動く人にお金が流れる仕組みが必要」
と言うことを話し、これからの互いの役割を確認した。例えば、パラダイムAの社会でそれに似た仕事に「アクセラレーター」がある。この5年ほど流行ったようだ。しかし、一体どこに向かってアクセルを踏むのだ?売上?利益?はたまた上場か? 社会に必要な目標そのものが変化しているのだ。企業が目標を見失ってるのだ。目標が変わったなら、その役割に異なる名前があるべきだろう。
僕も、先に述べた「パラダイムB」の解像度を上げることが、Project Lilyの年末年始の宿題としてあるので、少し真剣に考え出した。
Project Lily はこちら。(リーダーは嘘ついちゃダメ!プロジェクト)
「風を読む」
まるで、メーヴェに乗って飛ぶナウシカのようだ
ここから、風向計「anemometer」と言う言葉を出した。ギリシア語のanemos(風)であり、語源は、anemo/animaと言い「息を吸う」と言う意味だ。
「ラテン語 anima は「魂」や「命」を意味します。anima から派生した英単語には animal や animator があります。animal は「動物」を意味します。動物には「魂」が宿ります。animator は「アニメ製作者」を意味します。アニメ製作者は絵に「魂」を込めて動かします。」語源語より
anima:「魂、命」
animal:命が吹きこまれたもの
animator:命を吹き込む物
animism:自然界のすべてに魂がやどるという考え
unanimity:心が 1 つになること/満場一致
どうだろう?
今は、多くの人が来るべき時代を語り始めた時代。つまり、これまでにピリオドが打たれることは多くの人が予見している。その時期によって、なんとかうまいことやろうともがく人も多い。
先にあげた山口さんの著書もタイトルは「ビジネスの未来」だ。おそらくビジネス書を取り扱うプレジデント社であったことから、このタイトルになったのだろうが、語られているのはビジネスのことではなく人間の生き方だ。
私は、WaLaの哲学と言うのを主宰している。
Work anywhere Live anywhere の略だが、ポイントは、Work でもLiveでもなくこの「anywhere」だ。どこでもない場とはどこを指すのか?それは
「生命が立ち上がる場所」。息吹そのもの。そう、animaが生まれる場所だ。
先日、東京大学のバイオエンジニアリング研究室で、瞑想中の脳波が顕在意識(閉眼状態)と瞑想状態でどのように異なるかを測定してきた。
主観、内観、と客観データを照らし合わせる為に行った実験。閉眼状態ではβ波で前頭部のみの反応だったのが、瞑想が深まるに従い、α波で脳全体がパワフルに活性化していた。シータ波やSMRも活性化しつつ、段階が進むにつれ太陽のようになっているのがわかる。この時立ち上がってくるのは、個人の意図的な感覚ではなくより深い意識だ。それは、自分の内側から確かに立ち上がるのだが、どちらかと言うと社会的、ホリスティックなものに向けた力だ。こうした動きを私は、「内発的動機」から「内発的公共性」を生むと表現してきた。WaLaの哲学を受講いただいた方々の最終発表においても、全員が、エゴではなく、より大いなる目標と自己を結びつける道を見つける。もちろん、脳波は脳の状態を測る一つの基準でしかないので絶対視は避けるべきだが、言語化できない感覚に対して、客観値として有意差があったことは面白い。
こんなことを話していた時に、近所に住むスポーツマネジメント会社に勤務する友人が顔を出してくれた。
「年末まで面接なんです。社員を2倍にして売り上げを4倍にしないといけなくて。だけどスポーツビジネスは厳しくて、選手がケガするとすぐクビなんですよね。とても厳しいです。つい先日もそう言うことがありました。」
と、少し苦しそうに伝えてくれた。
私は答えた。
「うん?おかしくない?選手がいないとチームは成り立たないのに選手解雇して、スタッフ増やすの?もし、それがその業界の常識だとすると考えそのものがおかしくない?社員数そのままで、売り上げ上げる方法考えるのが先では?怪我した選手大事にできないチームが強くなることないだろ?」
彼も、その通りだと思ったようだ。ここから先は彼が、自分の魂と対話しながら具体的に考えるだ。もちろん、企業としての個別事情もあろう。
彼が、宿題を持ち帰ったのち、一緒にいた西坂氏は「そう思うけど、その結論に至るのが早いね。どうして?」と尋ねてきた。皆もわかると思う。複雑に考えなければ良いだけだ。経営がどう、ではなく人間として考えればいいだけだ。スポーツチームは選手が第一だ。ビジネスの前にスポーツだ。animaの時代とは、ビジネスありきの論理で考えるとノイズに振り回され、間違いそうになるのを、人間らしく考える時代と言うことだ。と言うことで、この日の話は終わった。
もし20世紀までを人類が「私たち一人ひとりが若い時に分不相応なブランド商品を持って喜んだ時代のように」過ごしたとしたら、それが過ぎ去り、ノイズを区分けすることができ、少し成熟し生きる時代をなんと呼ぶか。皆も考えていただけないでしょうか。その一つにの候補として
animaの時代。
どうでしょう。。。?一緒に考えてもらえるとありがたく思います。だけど、覚えておいて良い言葉だね。
2021年がいよいよ来ます。
2020年は、これまでの世界が終わり、0から1への一歩を社会が進んだ年。その経験を糧に、全人類が豊さに向けた一歩を重ねられますように。
静かな、よい年末年始をお過ごしください。
Happy new year !