現代の廃藩置県と松下村塾の必然
現代における廃藩置県とは
江戸から明治への移行期には、松下村塾などの私塾に、各藩の下級武士が集まり、「次の社会を考察する軸」と「仲間」を作りました。彼らがバラバラに各藩にいて、「何かおかしい・・・」と思うだけでは、明治維新とはならなかったでしょう。共に学ぶ場があったがゆえに、江戸の世に、明治の世を想像できる者はほぼいなかったにも関わらず、彼らは新しい時代を切り開く原動力となっていきました。平成から次の時代への移行期。近代150年が終わる時代。こういう場が必要であり、歴史の転換点ならば必然でありましょう。
「会社のために働くことが自分の人生の幸福に繋がってない」と感じる人が増えています。人生100年時代一層重要な問題ですが、背景には資本主義と民主主義の対立・矛盾を皆が肌で感じ、漠然と次の時代を求めている状況があります。藩が封建体制(幕藩体制)の一ユニットであったように、会社は資本主義の構成ユニットでしかありません。旧来の意味の藩と同じようになる可能性は十二分にあります。企業に対して、廃藩置県が起こるとしたら、それは誰が誰に何をした時でしょうか。想像してみる価値は十分あります。
当然ながら、江戸時代に幕藩体制の上層部に、下級武士が藩がなくなるかもしれないなど言ったところで聞き入れられませんし、そのような世界観すらありません。大政奉還の時ですらなかったでしょう。どう言う環境になれば起こるでしょう?類推して考える価値は十分あります。私たちは、江戸の末期で幕藩体制を維持する側や新撰組になっていないか?それなら、それでいいのか?よくないのか?ならばどうするのか?と言う自問が必要です。
現代の捉え方
企業は経済的価値を追求する機関として、この20~30年、資本主義の重要な構成ユニットとして鍛え上げられました。労働者は自らを手段として提供しました。一方、企業の設立趣意や存在意義そのものが問われる局面は少なかったように思います。経済はグローバリズム(資本主義)に組み込まれ、多くの企業で利益と成長は手段ではなく目的そのものとなりました。結果として、この30年で、グローバルの企業価値ランキングの上位からほとんどの日本企業が姿を消したこととこれらの相関は大いに再考べきでしょう。
いつの頃から人はモノに囲まれても幸せになれないと気づき始めました。社会変化への対応策として企業はイノベーションの必要性を唱えますが、イノベーションが起きない理由が工業社会モデルの同質的集団経営そのものであるという自己否定力をかけないため、新しい世界に必要なイノベーションに届きません。その中から出てくるものでは、イノベーションに必要な「新しい視点」と何としてもやり遂げる力「グリット」がないからです
二つのソリューション/IFCとアカデミアのスタート
この問題を解決するスキームがIFC(Innovation Field Capital)であり、そのコンセプトが「個をひらき、組織をひらき、場をひらく」です。IFCは複数の企業から、人材とお金をお預かりし、人材のアンラーニング、事業開発、ファイナンスリターンをパートナーにお戻しする仕組みです。ただし、これは企業の資格での参加が基本となります。
一方で、新しい社会に必要となる世界観を学び、仲間とともに思考を深めることで、自分自身を深く理解し、自らの才能を遺憾無く発揮し、「個をひらき、組織をひらき、場(社会)をひらく」主体となっていくには、個人でも参加可能な場が必要とも考えます。周りを見回すと、現代に生きるための様々なメソッドはたくさんありますが、より深く世界を認識すると、世界とはそうしたメソッドで、介入し操作するようなものではないと気づくでしょう。となると、新しい時代の世界観をともに学び、感じ、共感し、一緒に世界に飛び込み、旅をする仲間。これこそが人生を豊かにするでしょう。
このような背景から
〜働く意味のアカデミア〜
WaLAの哲学 Philosophy of "Work anywhere Live anywhere"
というアカデミアを0期としてスタートします。3/27日オリエンテーションよりスタートします。口コミで多様な業界から20名が参加表明いただいております。ゼミナール形式で少人数制ですが、数名の空き枠ございます。詳しくは、以下詳細ご覧ください。
目的は二つです。
1)旧い社会が解けつつある中、新しい時代に向き合う軸を作る
2)新しい時代を共に生きる仲間と出会う
【目指しているもの】
・ソト(歴史・社会・科学)を知る
・ナカ(自分自身・定められたミッション)を知る
・志を共にするミライの仲間をつくる
【運営形態】
ゼミナール形式:定員24名程度 隔週開催 全7回+オリエンテーション
3/27(水)オリエンテーション
4/10(水)初回・・・・
まずは周囲の方々とスタートしますが、徐々に拡大し、学びからコミュニテイとなり、皆様と大きな流れを作っていきたいと考えております。「関心あるもご都合がつかないの」「次回以降のスケジュール!」「詳細知りたい!」などなど、諸々不明点は事務局か私に問い合わせください。
【お問い合わせ】事務局 植松 小澤 ozawa-yu@marubeni.com
【その他】屬 sakka@fieldandstory.com
【アカデミア座長 経歴】
フィールド&ストーリー株式会社 共同代表/CVO 屬 健太郎
1973年生まれ 早稲田大学政治経済学部卒業
丸紅入社後、複数の部門のリスクマネジメント業務、マルチメディア事業部門においてコンテンツ事業投資などに従事。2004年に繊維部門にてセレクトスクエア事業の責任者となる。2007年に同事業を友好的MBOを実施。代表取締役社長に就任。
2012年髙島屋と業務・資本提携。2013年より髙島屋 クロスメディア事業部 事業部長を兼務。2017年5月に高島屋に全株式売却しPMIを完了。
2017年10月フィールド&ストーリー株式会社を共同設立
2018年11月 内閣府知財戦略本部「価値共創TF」委員
これは、内閣府が中心となって、次の社会に関するヴィジョンを昨年6月に「価値デザイン社会」としてまとめております。
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/kettei/chizai_vision.pdf
これらヴィジョンを具体的に進めるための方策を検討する委員会も2018年11月から動き始めているものです。
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/kensho_hyoka_kikaku/2019/openinov_tf/dai1/siryou1-2.pdf
私も委員として参画し、新SWOTな議論をしております。
S :芯を噛んで W :ワクワク O:面白く T:トンデモナイ
こちらも、どのような報告書になるか楽しみです。