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社会的幸福について(労働生産性×経済複雑性)

今回は、社会的にも、個人的にも幸福な社会(自律社会)を目指すために我々が考えるべきことは何か?というお話の社会的幸福部分です。

前回は、資本主義の逆効果として生まれた経済格差を縮小し、人間生活における幸福感を増加する社会システムとは何か?について、どう考えるかとの問いで終わりました。幸福というのは大切ですが、指標化が難しいです。

なので

幸福度=生産性の向上×経済の多様性

と仮設して考えて見るのはどうでしょう。以下をご覧ください。


図の左右を比較し、右側は、

1)半分の人間で同じ生産高達成

2)25%の人員は全く新しいものに挑戦 

3)残りの25%は仕事を向いていないので、休む

ということです。左側と比べると右側の方が企業の生産性、社会の生産性、幸福度いずれも高くなります。

例えば、経済の多様性と複雑性が数値に影響する指標として以下のものがあります。

経済複雑性指標(ECI)

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B5%8C%E6%B8%88%E8%A4%87%E9%9B%91%E6%80%A7%E6%8C%87%E6%A8%99

簡単にいうと、希少性が高く、バリエーション豊かな財・サービスの創出ができているかという基準です。生産性の向上(同じ生産性をより少ない人数で達成)とその他の人が他の財・サービスを開発できるようになることは、生活者として選択肢が増え、労働者としては、新しい挑戦が可能となることを意味します。これが、幸福と相関があることを定期的調査とともに確認した上で、

国家経済指標:一人当たり生産性×ECI

みたいな形で落としこむと、自律社会(=価値デザイン社会)の方向性が、打ち出しやすくなるのではないか?

と思います。図で見ると左側の社会より、右側の社会の方が豊かですよね?だとすると右側の社会にシフトするための施策をとり、企業評価を金融市場である株式市場だけに委ねるのではなく、その弊害を理解し、修正資本主義の実現として修正指標をとる。

企業経営指標:一人当たり生産性×ECI への貢献度

となるように、調整変数となる項目を税率などにより導入することは、国家政策として妥当でしょう。

安倍政権の3本目の矢としての経済政策はイノベーションです。Society5.0や価値デザイン社会はGDPを追っても達成されません。実現のためには、多様性を担保する施策(人材と資金を自社の管理外に拠出し、新たな事業育成への投資)を行う企業には大きなインセンティブが働くような施策が必要に思われます。(生産性は既存の指標で測れるでしょうが、より少ない従業員で達成できることと、減った従業員が新しい挑戦により新しい財・サービスを産むための挑戦を行う企業にはインセンティブ政策が取られるべきでしょう)もしくは、既存の延長の財・サービスの生産のために経営する企業には、内部留保課税などより高い税率が課されること。特に上場企業、大企業は社会の公器であり、社会を前進させる責任があるからです。

一見、税率の違いは、不平等のようにも思いますが、イノベーションに貢献している企業の税率が低く、貢献度が低い方が高いのは、フェアネスの観点からも社会全体の多様性が幸福に繋がることの大切さを理解すれば許容されるでしょう。企業経営がこういった指標に基づいて行われるとなると、経営者選定の条件も変わってくるでしょう。

これら施策は以下の思考フレームで検証すべきかと考えます。

国レベル:

ほぼ全ての先進国が、貧富の差の拡大から社会的安定性を欠きはじめている。そのことからも、金融資本主義礼賛ではなく、修正資本主義を提唱していくことが日本の国際社会の中での極めて重要な役割である。ECIが増えることは、富の生産主体(主役)を増やし多様性を促進させること(そのためには当然既存の生産性向上・効率化も必要)。一人当たり生産性×多様性を指標として国家経営することが国民の幸福度の増大に繋がり、国際社会の中でも理想とされる可能性も高いと考えるか否か。

企業レベル:

富が循環することで新たなチャンスや富める者を生み出す可能性が高いため、内部留保より積極的にヒト・モノ・カネのリソースを解放することが、ECI的に良いという考え方。資本主義を修正していく上で、資本主義の中にどのようにヒューマニズムを埋め込むかが重要となりますが、金融資本主義からみても、税務面などからECI的の促進を行うことが妥当であるという意思決定を行うことで、結果的に本質的豊かな社会を作っていく。つまり資本主義の内側にECIという指標を置くことで、企業という社会の構成単位が極めて有用な社会構成単位となる。これは、他の重要な項目と矛盾しないか。


労働者レベル:

一層チャレンジを支援する社会となり、より高い自己決定権を持ち働くことが推奨され、幸福度が上がる。その際、全ての人間を同種と見る必要はなく、合理化に向いた人、価値創造に向いた人、贅沢はできないが生産に向いていないもしくはしたくない人に分ける考えは、どうか?(もちろん、いつでも誰でもチャレンジのチャンスはある)


結論:

上記のように、国、会社、個人レベルでの変化により、これまで大企業が見落としていたニッチに新しいサービスが生まれる可能性が高く、生活者としては、一層豊かな生活ができます。

・一人当たり生産性×多様性

・生産人口の増大(GDPの増大も必要として)

の二軸で、社会的幸福の指標としてはいかがでしょう。

余談ですが、これまでCOOというのは、CEOの次のポジションのように思われましたが、オペレーションの正確さは、AIやロボットに勝てるわけがありません。これからは、CIO(Chief Innovation Officer)こそが、next CEOでしょう。

これまでの常識が通じない時代。個人も、企業も、社会も、大勢に流されるのではなく、「自分なりの新しい軸」を打ち立て、そこに向けて行動することがますます重要な時代になってきました。



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