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野中郁次郎先生の遺訓に学ぶ

先日「失敗の本質」「知識創造企業」の野中先生がお亡くなりになり上記の遺訓が残されました。本当に私たちが噛み締めるべきメッセージだと思います。「野中郁次郎、SECIモデル、失敗の本質」を知らないビジネスマンは少ないと思いますが、では真の意味で理解しているのか?身体化できているのか?まさに、形式知としてしかわかった気になってないだろうか?
今一度問う価値があるでしょう。

経営とは、生き方(a way of life)である

これはWaLaの哲学と全く同意だ。
私も、あるプロジェクトをご一緒できないかと2度ほど、WaLaの哲学や企業変革の方向についてお話する機会をいただきました。お時間の関係で共にということは叶いませんでしたが、大変共感いただき激励いただきました。特に変革期におけるリーダーの重要性を説かれていました。

この遺訓の意味をしっかりと受け取るために、野中先生と共に知識創造理論を組織に実践してこられたエーザイフェローの高山さんから、BAC(WaLa修了者向けの実践哲学の会)の中で、野中先生がどういったことを大事にされていたのかをお伺う機会を持ちました。この問いを共に考えてみたい方々に共有する価値のある内容なのでシェアいたします。


野中先生遺訓からの学び①
野中郁次郎先生からの学び②

<経営とは(a way of life)生き方の実践である>

知識創造理論の要諦は「過去の成功体験への過剰適応への戒め」であり学び続けることの重要性だ。では、何から学ぶか?未来を直感し形作るには形式化された情報では足りない。それが暗黙知につながる。

<暗黙知>

暗黙知とは?言葉になる以前の情報だ(無意識、集合無意識、普遍意識)。形式知は静的であるが、暗黙知は動的である。なぜなら暗黙知が対象とする領域は、現象として表出した言語や宇宙(形式知)に対し、まだ表出していない潜象としての宇宙だからだ。そこには『人類の願い』『生命の願い』『宇宙の願い』『宇宙を生んだ主体の願い』と言えるものが当然に含まれる。

WaLaの哲学では、
・客体としての形式的宇宙と現象としての主体との関係に現れる主体性を自我(エゴ)と呼ぶ
・暗黙的(潜象的)宇宙に対峙する暗黙的(潜象)主体性を(セルフ)と呼ぶ(Who=Where)

<SECIモデル>

SECIモデルは暗黙知との共創によりこの世界の可能性を表出し、構造を作り再び内部化するサイクル。「共同化/表出化/連結化/内面化」でSECIと呼ばれるが、そのためには相応しい場を必要とする。光の分光のように暗黙知の持つ聖性は、表出すると真善美として観察されるがそうした素晴らしい叡智は暗黙知の中で見出されるのを待っている。その叡智の表出には人間の作る『場』が重要なのだ。

<賢慮のリーダーシップ>

そのような『場』を設計し、叡智を生み出す人物はどのような人物か?従来イメージされる上位下達型リーダーではない。それでは静的な形式知しか扱えない。野中は

①共感力
②概念化
③場作り
④政治力
⑤実践力
⑥伝える力

を備えたリーダーを賢慮(フローネシス)型リーダーと呼ぶ。物事を成就するには構成メンバーの主体性が鍵となるため共感と連結はメンバーの意識が溶け込んだ場で行われねばならない。そのとき初めて構成員一人一人にそのミッションが自然に内面化され、約束が果たされる。命令はもはや不要である。

WaLaの哲学では、この場を作る重要性を<吸う①>
<トメ②>
<吐く③④⑤⑥>
<トメ>

と言うように身体性を伴い呼吸として理解する。政治、実践、言葉の前に、場づくり必要があるのだ。

<二項動態>

我々は「あれかこれか?」と言う選択を迫られることが多い。二律背反するどちらを選ぶのかと。しかし、なぜ悩むのだろう?どちらも大事だからだ。その場合どうするのか、今という時間に幅を持ち、静的ではなく動的に捉え、両方掴むのだ。そのために、知恵を絞り全力で人生に向き合うのだ。

WaLaの哲学は
「リーダーのための内省の型を学ぶ場」
と定義されていますが、この短い文ですら理解するためには

・リーダーとは何か?
・内省とは何か?
・型とは何か?型の使い方は合っているのか?

の形式知を問いなおさねばなりません。
理解には補助線となる情報が必要です。補助線とは以下のようなものです。

・リーダーとマネージャーの違い
・内省と反省の違い
・型自体を理解し、自己適用後フィードバックを得る


こうした問いの奥に暗黙知、すなわち自身の持つ世界観(Where)があるのです。

また、WaLaの哲学では「軸と構え」「地図とコンパス」が重要だと説いています。

・「外なる構え」ファイナンス、マーケティング、アカウンディング、など専門能力は、リスキリング・プログラムで学べるかもしれません。
・「内なる構え」人間的魅力や人づきあいは、実際の人間関係の中で学ぶことができるでしょう。

しかし「軸と構え」「地図とコンパス」を持ちたければ深い内省が必要です。

経営とは生き方(a way of life)である


時代の大きな変化の中、未来に対してどのような仮説を持ちその人生を投じていくのか。誰かの言ったことや、どうも確からしい、程度のものに人生を賭けることはできないでしょう。では、賭けるに値するものを探すことに真剣に取り組んでいるのか?と問われても自信がない人が多いでしょう。

真剣に生きるにはまず、自分の生命を賭けるに値するものを見つけ自分の人生の哲学を打ち立てることが必要です。変化が激しいなら尚更です。足がすくんで動けなくなるようでは困る。では、どうやって自身の納得する答えを得て、行動に移れるのか?それには以下のプロセスがあります。

1)内省の型を学び自己適用
2)内発的動機の出現
3)内発的交響性
4)現実における実践プランとリソース確保

これからの仕事において、正解じみたオプションはAIと協議したらよくそれは仕事ではありません。目指す理想の社会、理想の会社、仲間のあり方ということをしっかりと共に理解し合った上で

・仲間で共有するミッションの解像度
・誰に任せるか

ここが議論されるべきであり、これが経営でしょう。あとは、どう仲間を応援するのか。そんなふうに変わっていくと思います。
いつまでもコマンド&コントロールなどやっていたら、人は離れ、潜在力は発揮されず、そもそも誰も共に働きたくない職場となるでしょう。
だからこそ、高い解像度で願いを共有した仲間・集団が重要で、それを作ることが経営でありそのために投資が必要となるでしょう。

これは2025年以降の世界のパラダイム変化への経営の適応進化です。

野中先生の遺訓はそんなふうに読めると思います。
企業や集団を率いる人間がしっかりとした「軸と構え」「地図とコンパス」
を持つならば、その成熟度に従い社会は必ず良くなると思います。

自分の人生をどう生きるか。
組織をどういう方向に率いていくべきか。
明確な答えをお持ちでないなら、それを問うための時間を確保ください。
答えの糸口をお求めならぜひご相談ください。共に考えましょう。

info@wala.jp

「世の中変わります。あなたは変われますか?」
エーザイ内藤CEOメッセージ

WaLaの哲学/T3プログラムは、そのよき伴走者でありたいと思います。

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お知らせ

12期説明会 2025年3月開始

2025年3月6日(木)19:00〜21:00 @ZOOM
2025年3月13日(木)19:00〜21:00 @ZOOM
2025年3月20日(木)19:00〜21:00 @ZOOM
2025年3月27日(木)11:00〜21:00 @会場&ZOOM

ご参加希望の場合は以下サイトからお申し込みお願いします。

WaLaの哲学座長
屬 健太郎


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