伝えたくても、伝わらない。

コミュニケーションの難しさを痛切に実感する。伝えたくても、うまく伝わらない。母国語なのに、うまく伝わらない。

カナダで、英語がうまく伝わらないことは何度もあった。サブウェイの注文ですらうまく伝わらない。林業学校の課題で自分の意見がうまく伝わらない。職場で上司に文句を言うが、うまく伝わらない。
それでも、友人や同僚に気持ちや言いたいことが伝わった時、幸せだと感じた。毎日のコミュニケーションで幸せを感じるの？林業学校や職場では毎日が勝負の場で、伝わることは些細だったかもしれないが、すごく嬉しかった。

日本語を話し、日本人であること。途端にコミュニケーションが別物に成り代わる。日々の家族との生活、職場でも、今回の伝統芸能の魅力を伝える課題においても。
口から出てくる言葉は、自分を通して出て来る自分の言葉を伝えているはずなのに、中々伝わらない。相手にどうやって伝えるか。工夫が必要だ。コミュニケーションをするのに、工夫が必要なのか？洗練された（考え抜いた）コミュニケーションに対する息苦しさであたふたしてしまう。
コミュニケーションするのに、誰かの断りは要らない。洗練されていなければならないというルールはない。伝えたいことを、伝える。それでも、伝えたくても、伝わらない時がある。相手に伝わってほしいと切に願う。自分の気持ちや言いたいことがうまく伝わったのならば、やはり嬉しい。だからこそ、自分を通して出て来た言葉で表現し、相手に届くように工夫が要るのだろう。

ふと、カナダで出会った友人たちの顔を思い出す。「今、コミュニケーションで悩んでいるんだ」と言ったら、何て言うだろうか。「日本語で話しているんだろう？」と不思議な顔をされるだろうな。苦労しているんだ。
場所がどこであろうが、コミュニケーションは楽じゃない。僕には伝えたいことがある。そして、伝わってほしいなと思う。