カナダのソウルフード
"I'm going to Timmies. Do you want anything?"(ティムホートンズ行くけど、何かいる?)
カナダ人の愛情表現は、こんなふうだとか。
Timmiesは、ティムホートンズという珈琲ショップ。カナダのそこかしこに在る。赤いカップを手にした人々。カナダ人は、この珈琲を心から愛している。ソウルフード。ソウルドリンク?飲めば、カナダに溶け込む。濃い目のブラック。どんな時もこの珈琲を片手に。
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目覚めが悪い。親友のジムと昨晩喧嘩した。悪いのは僕ではない。週末にテスト勉強を一緒にする予定だった。どうしたものか。グダグダと時間を費やす。部屋に籠る。もう10時だ。心細い。一人で期末の勉強する自信がない。計算高い自分が顔を出す。親友を利用するみたいではないか。嫌なやつだ。
昨日ビリヤードになんか行かなければ良かった。息抜きにビリヤード行こうぜと誘ったのは誰だったか。ジャーミー?ビリヤード場では、ビールも飲めた。ジムも僕も、勉強に集中するため、4ヵ月禁酒していた。気が緩む。三人で何ゲームかこなす。三時間はここにいる。そろそろ帰らねば。酔っ払っているジム。おぼつかない足取り。
寮の部屋まで何とか連れていく。大丈夫か?何度も聞く。大丈夫、心配するな。俺は、お前よりも年上だ。お前の兄ちゃんみたいなもんだ。兄を信じろ。酔っ払いを?信用できない。早く部屋で寝ろよ。自室に戻る。すぐに心配になり、廊下を確認する。廊下で横になっているジムがいる。大丈夫?大丈夫だと言ってるだろ。いや、ただ心配だったから。俺は、アジアで英語教えていたんだ。アジアの文化を知っているんだ。年上を敬えよ。いつものジムはどこだ。互いに怒鳴る。12時過ぎているのに、僕らは何をやっている。エネルギーの無駄遣いだ。明日はテスト勉強するんだろう。言葉が止まらない。なんで、僕らが言い争う。ミスコミュニケーションってやつだろうか。止めてくれ。うんざりだ。嫌なやつだ。
週末は、カフェテリアで食事したら、勉強始めていたのに。どうしたものか。コンコンコンと誰かがドアをノックする。珈琲片手にジムが立っている。昨日は悪かった。珈琲でご機嫌取りかよ。怒っているんだ。僕は悪くない。心細いんだ。心細いんだ。ほっとしている。ブラック?砂糖もミルクも大丈夫。濃くて苦い。珈琲が有難い。テスト勉強やるか。やろうぜ。一時間後に三階のスタディルームな。月曜日は、テクニカルレポートのテストだよな。あれは、やばいらしい。去年テストに6時間かかったらしいぜ。
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コストコで見慣れた赤いパッケージが目に入る。ティムズの珈琲だ。まさか。ずっと飲んでなかった。濃い味が口の中に蘇る。あの時は、喧嘩したよな。心細かった。
冬に、森に行く前に珈琲とドーナツ買いに行ったな。寒い時ほど美味いんだ。ティムズの前に毎朝渋滞ができるんだよな。毎朝だぜ。どれだけ愛してるんだよ。仕事が見つからなかった時も、一人で珈琲飲んだな。真夏に散歩した後のアイス珈琲。
これを飲んだら、無性に友人の顔を見に行きたくなるんだろうか。たくさん飲めば、カナダ行きのチケットが当たるなんてことがるかもしれない。パッケージ裏に当たりはないかな。相変わらず、珈琲は濃くて苦い。
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