凶器となるエネルギー
車を運転していて、人を轢いて殺した場合、運転手に責任がある、と考えるのが普通だが、実際は、運転手は、アクセル、ブレーキ、ハンドル、ギアなどを触ってるだけで、殺したのは車である、という風に見えなくもない。なぜなら、運転手が運転していたのが車でなく、単にアクセル、ブレーキ、ハンドル、ギアがあって、それを動かしていた、だけであれば、その事故は起こってないからである。確かに、運転手は車に一連の命令を下したが、命令を受けてどう動くかは車が決める事である。結果的に死んでしまったにせよ、車によって人を轢き殺す事のできる指示はそれほど自明でない。人が車を動かし、車が人を殺したのだから、関係は直接的でない。車がきびきびと動かなければ、人は死ななかった。従って、この事件の黒幕は、ガソリンスタンドの店員だと考えるのが妥当だと言えよう。