面白かったパワハラのこと
前職でのパワハラ上司がパワハラをする相手は私というよりもむしろ私の周りの人に対しての方が多く、私はそれを見ていることがほとんどだった。だがまれに私への牙も剥かれ、うっと食いしばって、もっともらしい答えをしたりすると、気に入らないのか更によくわからない言いがかりをつけてくるのでただすみませんと謝るしかないこともあった。別に何も悪くないのに謝ればその場が収まるのであれば全然謝った。挨拶みたいに。このパワハラ上司は、とにかく自分のターンを"キレ"で切り返さないと済まない人で、何でもかんでもキレ散らかして会議を終わる。一度だけ、同じ部署の男性社員に対するパワハラ中に笑ってしまったことがある。
「ねえ、なんで俺のところにそれ持ってこないの?ねえなんで?なんで勝手に進めるの?」
「すみません」
「いやすみませんじゃなくて、なんでかって聞いてるの、理由を」
「すみません。それは私ができていませんでした」
「なんでできなかったの?」
「すみません」
「まあいいや、もういい。俺はもうこのことについては責めないことにする。で、なんで持ってこなかったの?」
と、責めないと言った一秒後にすぐ責め始めたのである。これは面白かった。私はマスクだったのでなんとか助かったけれども、ワハハと思って笑った。もう辞めることが決まっていたから、笑えたのかもしれない。
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