論点思考とは? | AIに職を奪われないための、仕事を創る1→10スキル
前段
この記事を書いた理由
オックスフォード大学の論文によると、ホワイトカラーの仕事の50%が10-20年以内にAIに奪われるそうです。
よく「AIに奪われる仕事はこれだ!」みたいなネット記事を見ますが、個人的には仕事単位でAIにに奪われるかどうかを語るのは無意味だと思っており、その代わりに「論点思考が出来る人材が生き残り、論点思考が出来ない人材が職を失う。」
という棲み分けの方が正しいと思っています。
この論点思考は、僕のいたBCGを含むあらゆる戦略系コンサルティングファームが重要視しているビジネススキルであり、BCG在籍時は僕もよく先輩から「お前は論点思考が出来ていない!」と怒られました。
では論点思考とは何なのでしょう?
論点思考とは「ビジネスにおいて、解くべき問い(論点)を定める思考法」のことです。
要はやるべき仕事を決める力のことです。
仕事をやる力では無く、その手前のやるべき仕事を決める力です。
論点思考に関する有名な著書に、元BCG日本代表の内田和成さんが書かれた「論点思考」や、元マッキンゼーの安宅和人さんが書かれた「イシューからはじめよ」がありますが、内容は結構難しいです。
そんな僕ですが、時差を活かして寝ている間にパワポ作成を完了させる会社Timewitchを起業してから今日まで、幾度となく危機に直面しましたが、その度に論点思考を駆使して、乗り越えてきました。
この自分の経験から、今では弊社Timewitchのメンバーの評価は年功序列でも成果主義でも無く、「論点思考が出来ているか?」を中心とした能力主義で行っているほどです。
この記事は、Timewitchで働いてくれている愛すべきメンバー達と、その他AIに仕事を奪われたくないと思っている人に向けて論点思考を丁寧に分かりやすく伝えるために書きました。
約3万文字という長文にはなりますが、慣れるまでは是非3ヶ月に1回は読み返すことで、呼吸をする様に論点思考が出来る、AIに代替されない人材に成長してほしいです。
多くの人は、やる意味の無い仕事ばかりしている
仕事とは、お金を生み出す営利活動(マネーゲーム)のことを指します。
つまりどの様な仕事であっても、究極的には必ず"お金"という定量的な成果に紐づいているはずです。
究極的にもお金に紐付かない仕事は、仕事では無くただの”暇つぶし”です。
(その暇つぶしが楽しいなら、趣味やアートと言い換えても良いかもしれません)
にも関わらず、論点思考が出来ない人が行う仕事のほとんどが、お金の成果に紐付かない、言ってしまえばやる意味の無い"暇つぶし"なのです。
これは僕自身、サラリーマン時代には全く気付かず、逆に経営者になって会社のキャッシュフロー(お金)のことを考えざるを得ない状況になってからは日々痛感することなのですが、
働いている人の大多数が、やる意味の無い仕事という名の”暇つぶし”に時間を浪費していて、本当に驚きました。
僕がどのような感覚で「こいつら意味の無い仕事をしているな…」と感じたかと言うと、
「こいつ来月に第一志望の早稲田大学の受験を控えているのに、TOEICの試験対策しかしていないぞ?Why?」
ってくらい意味が無いと感じています。
ヤバさが伝わりましたかね?笑
要は僕から見たその人は、
確かに何か努力っぽいことに時間を割いていて、ストレスを抱えて頑張ってはいるのですが、その努力の矛先が目標達成に対して90%くらいズレている感じなのです。
早稲田大学に入りたいのに直前までTOEICの対策をしている人は、英語は(過去問解いた方が効率よくね?とは思いますが)ある点数取れるかもしれません。でも、数学や国語の試験対策を全くしていないので、多分早稲田大学に合格出来ないですよね?
感覚的にはこんな感じです。
「100%無意味とまでは言わないけど、ほぼ無意味なことやってるな…」
こんな感じです。
既にAIやロボットに人間の仕事は奪われはじめている
ブルーカラーの仕事は、だいぶ前からロボットに奪われています。
例えばユニクロの有明倉庫では、2016年には100人の作業員が洋服を段ボールに詰めたりしていましたが、仕事のロボット化を進めた結果2年後の2018年に作業員数は10人だけとなり、他の仕事は全てロボットに代わっています。
つまり倉庫作業員の9割は2年でロボットに仕事を奪われたのです。
ではこの記事を読んでいるであろうホワイトカラーのあなたの仕事は大丈夫でしょうか?
答えはもちろんNoで、例えば弊社Timewitchでは、創業2年で既に契約締結企業が数百社存在し、毎日の様に新しい契約書を締結している状況なのですが、未だに専任の法務も顧問弁護士も存在しません。
理由はCloud SignやLegal ForceといったAI機能を含むLegal Techツールを積極的に導入したからです。
また、この記事に挿入した画像も全てAIに自動生成させました。
全て無料でDALL-EというOpen AIが提供しているサービスに、画像下の英語をインプットしたら出てきた画像を用いているだけです。
話を戻すと、この様な新しいテクノロジーを導入できない大企業や公務員の方々の仕事は、言ってしまえばAI等のITツールを駆使すれば既に圧倒的に工数を削減出来るにも関わらず、無駄に人が時間をかけてこなしている”暇つぶし”と僕は思わざるを得ないのです。
ホリエモンが昔言って炎上した「ホワイトカラーの仕事の9割は無駄」と言うのも、僕個人は「妥当な割合だろうな」と思ってしまいます。
AIに奪われない仕事とは、論点を定める仕事である
前述より、「仕事をする」に関しては、ホワイトカラーの仕事であってもAI等のITツールが人間の能力を徐々に上回ってきたと言い切れると思います。
では今後人間に残される仕事とは何でしょう?
それは「AIがするべき仕事を決める仕事」です。
仕事とは、大きく
やる仕事を決める
決められた仕事をやる
の2段階に分けられると思います。
当たり前ですね!
で、重要なのはAIが奪っている仕事って、この2の「決められた仕事をやる」部分だけだと言うことです。
結局AIって“問い”に対して蓄積されたデータから最適解を導き出すアルゴリズムでしか無いので、そのAIに”問い”を与えるのは引き続き人間の仕事なのです。
では、1 の「やる仕事を決める」とは何なのでしょうか?
多くのこの記事を読んでいるだあろう2-30代にとって、仕事とは「上司やクライアントから言われた作業を、異議を唱えず無思考に早く正確にこなすこと」だと思いますが、これは2の「決められた仕事をやる」仕事です。繰り返しますが、これはAIに既に奪われ始めている仕事なのです。
しかし、
ここで注目するべきは上司やクライアントがあなたに仕事っぽいものを振っている部分です。こっちこそが1の「やる仕事を決める」仕事に当たります。
そして、この1の「やる仕事を決める」に当たって大切な思考法こそが論点思考なのです。
お聞きしますが、
上司やクライアントから仕事を依頼されて「なんのためにこの仕事するんだろう…」と内心思いながらも、異議を唱えず淡々と対応した経験はありませんか?
仮にあなたのその直感が正しかった場合、その上司やクライアントは論点思考が出来ておらず、あなたはお金的成果には繋がらない、仕事に見せかけた暇つぶしを依頼されたからこそ、あなたは「なんのためにこの仕事するんだろう…」と思ったのです。
まとめると、仕事とは大きく
やる仕事を決める
決められた仕事をやる
の2段階に分けられる。
2の「決められた仕事をやる」はAIに奪われる。
1の「やる仕事を決める」ためには論点思考が必要。
と言うことです。
みんな論点思考が苦手、原因は教育
多くの日本人が論点思考が苦手な理由は、一言で言うと教育のせいです。
ですが実は日本の教育だけが悪い訳では無く、先進国の教育が全体的に若者の論点思考力を伸ばさない様に設計されているだけのことだと個人的には考えています。
そもそも論、学校による公共教育の起源はイギリスの産業革命期なのをご存知でしょうか?
産業革命期とは、要は工場で機械的な作業をこなす工場作業員を、短期間で大量に生み出す必要があった時期、とも言い換えられますね?
これに対し、イギリスの社会学者アンドリュー・ユーアは
と言っています。
要はイギリスで産業革命が起きた時に、それまで人口の大半を占めていた、学校に通わず親から最低限の読み書き算盤だけを教わっていた農民出身の若者を工場作業員に抜擢したら、工場がうまく回らなかった訳です。
なので成長期前の子供を親から引き離して、公共教育を施して早めに洗脳することで、工場作業員に適した資質を身につけさせる必要があった。ってことですね!
ではどの様な教育を施せば子供に工場作業員の資質を身につけられるのでしょうか?
アメリカの評論家アルビン・トフラーは下記のように分析をしています。
なかなか過激な考察ですが、皆さんもご自身の学校生活を思い返すと、この3つが出来る生徒が「優秀」と先生から評価されて、推薦で良い大学に進学していたのではないでしょうか?
つまり、これは今でも日本を含む産業大国では守られている裏のカリキュラムと言えそうです。
ここまで、個人的には納得感のある分析なのですが、いかがでしょうか?
言われてみれば学校って、始業のチャイムが鳴るまでに席に座ることを毎日徹底させられたし、先生の命令は絶対で、文句を言うと廊下に立たされましたし、算数のドリルで似たような計算問題を何千回と反復練習させられ、その反復練習の確認のために宿題として頻繁に先生に提出させられましたよね?
これらを守った生徒は優秀!とレッテルが貼られ、誉められ、推薦で大学に行けるし、逆に守れない生徒は怒られるし、落第や退学によって社会的に貶められています。
これらは全て、時間通りに工場に来て、上司が命令した反復作業を永遠にこなしてくれる優秀な工場作業員に必要な資質だったからこそ、教育という形で長い月日をかけて皆さんの骨の髄にまで染み込ませて洗脳したんですね。
つまり現代の高学歴の人って、要は「めちゃくちゃ工場作業員としての能力に秀でている人」ってだけなのです。
そして現代では高学歴人材よりも、ロボットやAIの方が工場作業員として優秀になってしまったので、優秀な工場作業員として育てられた高学歴エリートたちは、こぞって用済みになりつつあるんですね〜
ここで前章の話を思い出してほしいのですが、
この工場作業員としての能力は、「2.決められた仕事をやる」に当てはまりませんか?
逆に言えば「1.やる仕事を決める」に必要な能力(論点思考)開発は学校教育に含まれていないんですね。
これはやる仕事を決める工場長や社長(おっさん)の立場に立てば分かりますが、工場作業員から頻繁に「新しくこんな仕事をしたら良いと思うんですけど?」って提案されたらウザイでしょうし、理解できます。
産業革命前、人類が農業中心の生活を送っていた一万年もの間、当時の人は天気や動物や害虫の状況に応じて、都度自分で考えて対策を打って収穫量を最大化する。っていうことを行っていたと思うので、「1.自分でやる仕事を決める→2.自分で決めた仕事をやる」を自然に行っていたのではないでしょうか?
そう考えると論点思考とは、人が本当は生まれながらに備えている無垢なる能力に過ぎないのかもしれません。
しかし、産業革命によって生まれた公共教育によって「1.やる仕事を決める」論点思考能力を僕たちからは削がれてしまったんですね。
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論点思考とは?
それでは教育のせいで失われてしまった論点思考を、学び直しましょう!
仕事は全てピラミッドストラクチャーに分解できる
まず前段の繰り返しですが、仕事とはマネーゲームであり、究極的には必ず"お金"という定量的な目的が紐づいているはずです。
お金が紐づいていない仕事っぽいものは、仕事では無く暇つぶしです。人によってはそれを趣味とかアート活動とも呼ぶでしょうが、どちらにせよ仕事ではありません。
ミッション・ビジョンも、SDGsも、産休育休制度も、全て目的は直接的では無いにせよ究極的には"お金"です。
この考えが嫌な人は是非NPOやボランティアの様な非営利団体に所属すると良いでしょう。
つまりお金という目的があり、それを獲得するマネーゲーム、これこそが仕事です。
この前提が論点思考において物凄く大切です。
そしてこれが大前提となる概念なのですが、仕事の目的は全てピラミッドストラクチャーに構造分解出来るのです。
百聞は一見に如かず、例えばこんな感じです。
会社の売上を上げる、という目的に対して
営業部が、売上を上げる
マーケティング部が、営業部が売上を上げるサポートをする
広告宣伝部が、営業部が売上を上げるサポートをする
という3つの手段が、目的の下に並列に存在する。
これをピラミッドストラクチャーで表現したのが上の図です。
一方で、こんな例も考えられると思います。
先ほどの例では手段の一つに過ぎなかった「営業部が、売上を上げる」が目的になり、代わりに別の三つの手段が下に並列に存在しますね。
これはこれで成り立つと思いませんか?
ここで大切なことは
目的と手段は相対的なものでしか無い(視座を上げれば目的は手段の一つに成り下がるし、視座を下げれば手段は目的に成り上がる)
ピラミッドストラクチャーには上下の関係(縦の論理)と、並列の関係(横の論理)が存在する
以上2点です。
このことは「入門 考える技術・書く技術」に丁寧に書いてあります。
この本は分かりやすかったので是非読んでみて下さい。
仕事を依頼されたら、取り組む前に論点を定めよう!
上司から
「前月のデジタル広告配信の実績をエクセルにまとめておいて!」
といった感じに何かしらの作業を依頼された経験、誰にでもあると思います。
恐らくほとんどの人が「分かりました!」と一言返事をして、エクセルに「表示回数、クリック回数、消化金額…」と言ったデータをまとめたのでは無いでしょうか?
はっきり言いますが、この仕事はAI以下です。
これは「決められた仕事をやる」仕事の代表格で、専門性も低く、すでにGoogleやFacebookの広告管理画面内では自動で表示されるため、もうすでにAI(これはAIですら無いですけど…)に奪われた仕事です。
同じ例です。上司から
「前月のデジタル広告配信の実績をエクセルにまとめておいて!」
というどの様な流れでお金に繋がるのか不明な作業を依頼されたら、まず必ず目的を聞き返して下さい。
目的が不明なまま作業を開始すると、上司が論点思考が出来ないAIに代替される無能人材だった場合に、その仕事が究極的にもお金に繋がらない”暇つぶし”に過ぎない可能性があります!
さらに、仮に上司が論点思考が出来る有能人材で、その仕事が究極的にお金に繋がる必要な仕事だったとしても、目的に応じてあなたが行うべき作業内容がガラッと変わる可能性もあるのです。
再び同じ例です。上司から
「前月のデジタル広告配信の実績をエクセルにまとめておいて!」
と言われて、有能なあなたは
「その仕事の目的はなんですか?」
と聞き返しました。
すると上司から
「前月の広告配信の効果がいつもより悪い気がしててさ…」
と返答されたとします。
この場合、エクセルにまとめるべきは前々月までの実績と前月実績を比較した上で、前月の広告配信実績の効果が悪かったのかどうかの検証結果ではないでしょうか?
仮に無能なあなたが聞き返さずに、前月だけの実績を丁寧にエクセルにまとめて上司に報告したとしても、多分上司から
「ありがとう。そう言えば前々月の実績ってどんな感じだっけ?」
って聞き返され、再び似た様なエクセル仕事が発生し、仕事の完了が遅れ、会社の生産性がちょっと下がっていたでしょう。
まとめると
目的を聞き返せた有能なあなたは、上司から
「前月のデジタル広告配信の効果が下がってきているのかを確認する」
という仕事を依頼されたことになります。
もちろんこれが本当に究極的にお金に繋がる仕事なのかを考える余地はまだありますが、まぁデジタル広告配信とはお金を支払って何かしらの効果をデジタル広告で得る手段なので、お金に繋がると言い切れる思います。なので今回はここで思考は停止させることにします。
(実際は自分が納得するまで思考は停止させず、上司に聞き続けて下さい! 聞き返すことで上司から嫌な顔をされたら、その上司は近い将来AIに代替される無能人材なので、あなたはさっさと異動か転職した方が良いです)
つまり、今回の仕事の目的は
「先月のデジタル広告配信の実績をエクセルにまとめておいて!」
から
「先月のデジタル広告配信の効果が下がってきているのかを確認する」
に昇華され、定まった様です。
では次に、この目的を固定(ピン留め)して目的を達成する手段を考え始めましょう。
この仕事の目的を固定する思考法のことを、狭義の意味で論点思考と言います。
この論点思考こそ、AIに代替されないために、またTimewitchで評価を得るために必要な思考法です。
「だったら目的思考で良いんじゃ…?」という声が聞こえた気がしますが、この部分は後述します。
論点をピン留めしたら、手段を考えよう!
さて、論点思考をした有能なあなたは
「前月のデジタル広告配信の効果が下がってきているのかを確認する」
と言う論点を設定しました。
あなたはこの論点が究極的にお金に繋がることを納得できているので、
今後固定(ピン留め)してOKです。
従って、この論点の下に連なる手段を考えましょう!
百聞は一見に如かず、たとえばこんな感じです。
要はピン留め論点に対して媒体ごとに効果を確認をする。と言う手段を取る訳です。
仮に会社で実施している広告配信がGoogleとfacebookとTwitterだけだった場合、これで漏れなくダブりなく効果を確認出来そうですね!
なお、この漏れなくダブりなく網羅することを、コンサル用語でMECE(ミーシー)と言います
媒体ごとに管理画面で効果を確認して、例えばGoogleだけ効果が下がっていた場合、facebookとTwitterは簡易的に、そしてGoogleの結果だけ丁寧にレポーティングしつつ、効果が下がった原因や改善策まで特定して上司に報告したらさぞ褒められるでしょう!
一方で、
下記の様な手段の展開も考えられるでしょう。
要は商材単位で効果を確認する。と言う手法ですね!
これはこれで、会社が扱っている商材がA.B.C.Dの4種類だけだった場合、漏れなくダブりの無い状態「MECE(ミーシー)」ですね!
この様に、論点思考によって論点がピン留めされたとて、その論点の下に連なる手段は一意に決まる訳では無く、常に複数存在するのです。
ではどの様に手段を定めれば良いのでしょうか?
手段は、自分の好きなことで良い!
「仕事は真面目にやれ!」と言う昭和な考えの人からは否定されそうですが、僕は仕事をRPGの様なゲームの一種(マネーゲーム)だと思っているので、仕事は楽しんだ方が良いと思っている派です。
そして仕事を楽しめるかどうかは、この論点思考における論点の下に紐付く手段の構造化に、自分の好きなことを含められるかが鍵だと考えています。
先ほどの例でもピン留めした論点に対する手段の構造展開は複数存在することを伝えましたが、
ではどの様な手段の構造展開が優れているのでしょうか?
そうです、答えは自分が好きな手段を含められる構造展開なんです。
大企業の若手社員だと任される仕事が下流の単純作業すぎて難しいですが、ベンチャー企業の場合は若手でも上流の仕事に食い込みやすいはずなので、是非ここで紹介する方法を試して下さい。
きっと仕事が”暇つぶし”から”ゲーム”に変わりますから。笑
では実際に例を見てみましょう!
再び同じ例で、上司から
「前月のデジタル広告配信の実績をエクセルにまとめておいて!」
と言われて、あなたがさっきとは異なり
「そもそも何でデジタル広告を打ってるんですか?」
と聞き返したとしましょう。
上司から
「ん?そりゃ商品Aを売るために、顧客を会社のECサイトに誘導しているんだよ!」
と返されたとします。
するとどうでしょ?この仕事の論点は
「商品AのECサイト上での売上最大化」
にピン留めできるのでは無いでしょうか?
聞き返し方を変えるだけど、先ほどの「前月のデジタル広告配信の効果が下がってきているのかを確認する」よりも高い視座に論点がピン留め出来ましたね!
つまり、
この論点さえ達成出来るなら、もはや手段はデジタル広告で無くても良いはずです。
この様に仕事の論点って「究極的にお金に繋がるのか?」という軸で正解不正解の判断はできますが、
正解は縦方向に複数存在する。という特徴があります。
視座が高い論点をピン留めすればするほど、論点の下に連なる手段の抽象度と自由度は高くなります。
そして抽象度が上がれば必然的に参考となる過去実績が会社に存在しなくなってくるので、過去実績(先輩のアドバイス、マニュアル、データなど)で手段の筋の良さを考えることが出来なくなります。
従って、抽象度(視座)の高い仕事ほど、自分自身の経験や知識や地頭をベースに手段を選ぶ必要性が生まれます。
この自分個人の経験や知識で手段を考える思考法を仮説思考と言います。
何世代にも渡り先輩の業務を引き継ぎ、先輩と同じ作業を回し続けるだけの大企業ではなかなかお目にかかれないスキルでしょう。
この記事では深掘りしませんが、気になる人は元BCG日本代表の内田和成さんが書かれた「仮説思考」を読んでみて下さい。「論点思考」よりは簡単でした。
逆に言えば、具体的で視座が低い仕事ほど、会社の過去実績や先輩の経験談やGoogle検索で調べた結果や自社に蓄積されているデータをベースに手段を選んだ方が確実です。
統計に勝る仮説は無いので、仮説思考を駆使する際は、その前に必ず自分の今目の前の仕事の視座はどの程度で、データをベースに統計的に手段を選択出来る状態なのかどうかを判断して下さい。
さて、話を戻して早速「商品AのECサイト上での売上最大化」を論点としてピン留めした場合の手段を考えてみましょう!
いきなりですが、例えばあなたには「インスタグラマーと仕事がしたい!」という願望があったとします。
なのでインスタグラマーと仕事をするために、下記の様なピラミッドストラクチャーに構造分解をするのはいかがでしょう?
いきなり過ぎたと思うので、細かく解説していきます。笑
まず「商品AのECサイト上での売上の最大化」と言う今回あなたがピン留めした論点は「①リード獲得数の最大化」×「②サイト内商品Aの購入率最大化」という二つの値の積値を最大化すればOK! と言う風に構造分解出来ますね?
この2つの数字さえ追えば、ピン留めした論点が抑えられる!という網羅性(MECE)がここでも大切です。
そんでもって、後者の「②サイト内商品Aの購入率最大化」は隣の部署の役割だとでも言って逃げましょう。(あなたの目的は成果を上げつつインスタグラマーに会うことなので)
次に、元々上司から最初に依頼された仕事
「先月のデジタル広告配信の実績をエクセルにまとめておいて!」
は「①リード(見込み顧客)獲得数の最大化」という小論点における”既存の手段”に位置付けます。
(論点の下の手段を論点として議論する際に、便利上”小論点”と言ったりします)
そして、その対となる仕事として横に”新規の手段”を生み出して、デジタル広告以外の「リード獲得数の最大化」に繋がる手段の存在を提示します。
(仕事を既存と新規に分ける。これもMECEですね!)
そしてこの手段も漏れなくダブりなく(MECE)に列挙しましょう!
要は第三者があなたの手段の羅列を見た時に「他にも〇〇って手段があるんじゃない?」って思わない様に列挙しましょう。
ここで漏れがあると、他にもっと成果が見込める手段があった場合に損失ですし、何より手段の提示をMECEに出来ない人の意見は説得力が無いので、仕事において自分の意志を通せないでしょう。
この、手段をMECEに列挙したり、前段で論点を「①リード獲得数の最大化」×「②サイト内商品Aの購入率最大化」に分解した様な思考スキルを得るには、下記の本がお勧めです。
現役東大生が書いた 地頭を鍛えるフェルミ推定ノート
東大生が書いた問題を解く力を鍛えるケース問題ノート
物事を構造的に捉え、分解する能力が鍛えられます。
本を買わない人は、とりあえず「フェルミ推定」とか「ケース問題」とググってみて下さい。
さて、話を戻します。
あなたは”新規の手段”という小論点を設定しましたね?
その小論点の下に今から手段を列挙するのですが、そこにインフルエンサーを活用したインフルエンサーマーケティングを設け、その下段にYouTuber、TikTokerと並んであなたが大好きなインスタグラマーを設けましょう!
(ここでもMECEになる様に全部列挙するのがポイント、全部網羅的に考えた感が出るので)
以上で構造分解が完了しました。
上司からの作業依頼をきっかけとして、依頼内容よりも高い視座に存在する論点を見つけ出してピン留めし、MECEな構造分解をしつつ、自分の目的だった「インスタグラマーと仕事をする!」を手段の一つとして提示することが出来ました。
ここまで構造分解出来たら、後はいかに他の手段よりもインスタグラマーを活用したインフルエンサーマーケティングが優れているかを、上司にプレゼンするかだけです。
ようやくここでタイトル「手段は、自分の好きなことで良い!」が回収出来るのですが、僕は人間は嫌いな事よりも好きな事の方がエネルギーをもって取り組め、それがお金的な成果に繋がると思っています。
確かに、論点をピン留め・構造分解し、論点達成のために有能な手段をMECEに列挙する。ここまでは”頭”を使って冷静にロジカルに取り組むべきでしょう。
ですが、どの手段を選択するか?は実行者(今回はあなた)の”心”が最も燃えるものであるべきだと思います。
理由は、客観的に考えたら最も生産性の高そうな手段であっても、その実行者の”心”が燃えてなければ、生産性は低いに決まっているからです。
”心”とは車で置き換えるとガソリンに当たり、要は例え進む道がゴールまでの最短ルートであっても、ガソリンが空だったらゴールに到達しないと思うんですよね。
しかも列挙した手段の中にやったことが無い手段が一つでも存在したならば、最早どれが最短ルートかよく分かりません。
だったら最短ルートかは分からないけど、ハイオク満タン状態で進める方向(自分の好きな作業が出来る仕事)を選んだ方が良いと思いませんか?
以上より、仕事は冷静沈着に”頭”で
論点を探し出す
論点をピン留めする
ピン留めした論点の下を、ロジカルに縦の論理を、MECEに横の論理を展開し、構造分解する
最終的に実行する手段をMECEに列挙
し、後は実行者の”心”が最も燃える手段を選択する。
ここまでの一連の流れをもってあなたは自分のやるべき仕事を決めます。この流れこそが広義の意味での論点思考になります。
いかがでしたでしょうか?初見の人は「ほへ〜」という感じで頭の中に「?」が大量発生しているのではないでしょうか?
その様な人は、ここで一度記事を読むことを辞めてください。
一気にインプットしても身にならないと思うので、まずはここまで学んだことを今の仕事に活かしてみて下さい。
そして1週間後、この続きを読み返して、さらに論点思考の学びを深めて頂ければと思います。
それではまた来週!
1週間後
お久しぶりです!笑
自分の仕事に論点思考を組み込めましたかね?
論点思考を使いこなせ!
復習
狭義の論点思考とは、仕事の目的を固定(ピン留め)する思考法のことです。
そして論点思考を行うにあたって大切なのは、仕事とは究極的には必ず”お金”に紐付いているマネーゲームであると言う前提です。
この前提を忘れてしまうと、論点を固定するための基準が無くなってしまうので、この前提を常に意識しましょう!
そして上司から仕事の目的が不明確な作業を振られたら、犬の様に忠実に作業を開始するのでは無く、その仕事の目的を聞き返しましょう。
そしてその仕事が究極的にお金に繋がるロジックを理解したら、その理解した仕事の目的を論点としてピン留めし、その下流にある作業を開始しましょう。
この1週間、上記を意識して仕事に取り組めましたか?
そして広義の論点思考とは、
論点を探し出す
論点をピン留めする
ピン留めした論点の下を、ロジカルに縦の論理を、MECEに横の論理を展開し、構造分解する
最終的に実行する手段をMECEに列挙
し、後は実行者の心が最も燃える手段を選択する。
この一連の流れを指します。
これは一朝一夕に取得できるスキルでは無いと思うので、この1週間でマスターできた人は少ないと思います。
ですが継続的に意識をして、仕事を自分が好きな手段で埋めることを目指してください!
さて、
改めてそれぞれのステップでお勧めの書籍を紹介すると
論点を探し出す
論点をピン留めする
→「論点思考」「イシューからはじめよ」
ピン留めした論点の下を、ロジカルに縦の論理を、MECEに横の論理を展開し、構造分解する
→「入門 考える技術・書く技術」「仮説思考」
最終的に実行する手段をMECEに列挙
→「現役東大生が書いた 地頭を鍛えるフェルミ推定ノート」「東大生が書いた問題を解く力を鍛えるケース問題ノート」
です。
本が苦手な人はyoutubeで紹介動画を観るだけでも、だいぶ雰囲気は掴めると思いますよ!
論点の重要度・緊急度、手段の工数を考えるべし
前章では、仕事は言われたことを早く正確にこなすのでは無く、
論点をピン留めして、構造分解することでピラミッドストラクチャーを描き、自分の”心”が最も燃える手段で解決しよう!とお話ししました。
これは嘘では無いのですが、一方でこの1週間ご自身の仕事に向き合って頂いた時
解決すべき論点が多過ぎて、忙しくなってしまった
「好き」かどうかより、数字的な成果を出したい
実行者が自分では無いから「好き」とかどうでも良い
など、前章でお話しした範囲では語りきれない場面も多かったのでは無いでしょうか?
何より、仕事において論点を片っ端から挙げていったら、とてもじゃ無いけど全て解決している時間はないので、好きな手段を実行する暇がなくなってしまいます。
どれだけブラックにサービス残業しまくろうが、全ての論点を解決し切れるほど僕らに時間的余裕は無いですし、時間が経てば経つほど新しい論点(課題、目標)が生まれてしまうので、やはり全ての論点を解決している時間は無いと言う前提で考えた方が得策だと思います。
ではどうしたら良いのでしょう?
この時に考えるべき指標は
重要度(その論点を達成した時、どの程度のインパクトが出せるのか)
緊急度(その論点は、どの程度早く達成しなければならないのか)
工数(その手段は、どの程度工数・コストがかかるものなのか)
の3つです。
要は、
その論点を達成したらどの程度会社にインパクトが出せて、その論点はどの程度早く達成した方が良くて、その論点を達成するために選択した手段たちはどの程度工数がかかりそうなのか、を事前に見極めることが重要なのです。
この見極めは心を燃やすことなく、冷静な頭で客観的・合理的に見極めて下さい。
感情は見極め力を下げてしまうので。
では今回も具体例に沿って理解を深めましょう!
あなたは上司から「営業部の商談受注率が下がってきているから改善してくれ!」と言われたとします。
要は営業部が商品をクライアントに売ろうとしても、売れなくなってきているそうです。
商談受注率の低下は、明確に会社の売上や利益率(お金のいろいろ)を下げる話なので、聞き返す必要は無く「営業部の商談受注率の改善」を論点としてピン留めして良さそうですね!
ではいつも通りロジカルに縦の論理を考え、MECEに横の論理を展開していきましょう。
この構造分解に唯一解は無いですが、客観的に縦の論理にロジックの納得感があり、横の論理が客観的に漏れなくダブりの無いMECEであればOKです。
すると例えばこんな感じに展開出来ますかね?
さて、
「営業部の商談受注率」は大きく「個々人の能力」と、その個々人達が「働く環境(仕組み)」の2つの要素に分けられると思います。
そして個々人の能力とは、会社目線「採用」と「育成」という2つの要素に、環境(仕組み)は誰がどの業務を担当する…という「オペレーション」と、個々人の仕事のやり方が書いてある「マニュアル」の2つの要素がありそうです。
ちなみに「環境」と言うと「会社のオフィスが綺麗じゃ無い」とか「上司が部下達から嫌われている」とか「チームワーク」も一瞬思いつくかも知れませんが、それらを改善することが本当に商談の受注率の改善に寄与するのかは不明なので、僕は今回無視しました。
「オフィスが綺麗じゃ無い」と言うのは確かにネガティブな”現象”ではありますが、例えばオフィスが綺麗になったら従業員はお茶ばかり飲んで作業効率が下がってしまうかもしれないですし、上司を別の人気者に差し替えたからと言って、部下の働きやすさと言う”環境”は改善するかもしれませんが、受注率が上がるとも限らないですよね?
もちろん会社の状況によって論点は変わります。
ですが直感的に思い浮かぶ「課題」っぽいものは、すぐに小論点としてピン留めするのでは無く、冷静に客観的に合理的に、本当にそれが小論点としてピン留めするのに相応しいのかを常に考えましょう。
さて、縦の論理と横の論理によって、考えられる打手はひとまず
採用の改善(優秀な人を採用し、無能な人を採用しないようにする)
育成の改善(育成マニュアルやOJTのやり方を見直す)
営業のオペレーションの改善(商談を設定する人と商談する人は別にする…、商談はオンラインでやる…など)
営業マニュアルの改善(商談に用いる資料の内容を再考し整える)
の4つが挙げられました。
前章で「手段は、自分の好きなことで良い!」と言いましたが、
確かにこの4つの手段に対して「好き」も「嫌い」も無いですね。笑
さて、繰り返しになりますが「論点をどの手段で解決すべきか」を判断する3つのポイントは
重要度(その論点を達成した時、どの程度のインパクトが出せるのか)
緊急度(その論点は、どの程度早く達成しなければならないのか)
工数(その手段は、どの程度工数がかかるものなのか)
です。
まず重要度と緊急度は「個々人の能力の改善」と「環境(仕組み)の改善」と言った論点に対して講じましょう。
ここからは会社の状況によりけりですが、
例えば営業部のメンバーが商談のすっぽかしや、空出張を頻発するような明らかに課題だらけの状態ならば「個々人の能力の改善」の重要度と緊急度は上がるでしょう。
一方で、環境(仕組み)に関して、新しい営業オペレーションや営業マニュアルを実装したばかりだとしたら、まだ従業員が慣れてないだけの可能性も高いので、重要度と緊急度は共に低いと判断して良いでしょう。
と言う訳で、今回は「環境(仕組み)」の改善は見送って、「個々人の能力の改善」に絞って考えましょう。
新たにピン留めした小論点「個々人の能力の改善」を達成する手段は
採用を改善(優秀な人を採用し、無能な人を採用しないようにする)
育成を改善(育成マニュアルやOJTのやり方を見直す)
の2つでしたね?
よく考えるとこれらの手段も具体性が低く結局何をしたら良いのかまで落とし込めていないので、次はこれらを論点としてピン留めして、重要度と緊急度を考えた方が良さそうです。
なので早速考えてみましょう!
例えばあなたの会社が大企業でしたら、毎年採用を数十人〜数百人しているはずなので採用の改善の重要度は高いでしょう。
時期が新卒採用前とかでしたら緊急度も高いでしょう。
一方で数人しかいないベンチャー企業でしたら採用も頻繁には行われないと思いますし、例え今後採用が決まったとしてもその人の入社までのタイムラグもあるので、重要度も緊急度も低そうです。
逆に、数人しかいないベンチャー企業でしたら一人一人の会社に与えるインパクトの割合が高いので、社長自ら育成にコミットすれば数ヶ月で劇的に改善もしそうです。
そう考えるとベンチャー企業の場合、育成は重要度も緊急度も高いと判断出来るかもしれません。
この様な観点で論点ごとに重要度と緊急度を整理出来たら、最後にこの論点を達成するための手段に見込まれる工数を考えましょう。
例えばベンチャー企業にて採用を改善するとなると、Wantedlyの様な採用媒体を新規で契約して、社長はSNSの発信を頑張って…と工数がかかりそうです。
一方で育成なら現在いる営業部のメンバー数人に社長が週一で商談の練習を付き合えばすぐに改善しそうな気もします。つまり工数は低そうですね!
ちゃんとやる場合、これも手段をMECEに列挙した上で全ての工数をイメージや過去実績・経験で見積もった方が良いですが、長くなるので今回は省略します。
とまぁこの様に、縦の論理と横の論理でピラミッドストラクチャーを展開した後に重要度、緊急度、工数の3つの観点で、冷静に客観的に合理的に実行する手段を選び抜くことが出来れば、その後手段を実行した時に少ない工数で高い成果を見込めるはずです。
繰り返しになりますが、全ての論点を解いている時間なんて無いのです。
今回の例でも、採用・育成・オペレーション・マニュアルの全てを改善するとなっていたら、きっと膨大な時間が取られていたでしょう。
なので、重要度、緊急度、工数の3つの観点で、冷静に客観的に合理的に実行する打ち手と実行しない打ち手を棲み分けて、自分やチームや会社のリソースを集中させることで、会社としての数字的成果(お金儲け)の最大化に寄与して頂ければと思います。
手段を実行したら、論点を抑えつつPDCAを回そう
手段を実行すれば何かしら結果が出ます。(当たり前ですが)
そして結果は下記3種類に分けられると思います。
全く数字的(≒お金的)成果が出なかった
小さくて微妙な成果が出た
大きな成果が出た
全く成果が出ないことも、一回目から大きな成果が出せることも稀、だいたいは小さくて微妙な成果が出るだけでしょう。
でもそれで全然良いのです!
仕事は、失敗の許されない一発限りの大学入試では無いので、一回で大きな成果なんて出さなくて良いのです。
仮に全く成果が出なかった場合は、根本的に何かが間違っている可能性が高いです。
なのでピン留めした論点や、ピラミッドストラクチャーの構造分解(縦の論理のロジックか横の論理のMECE)、実行した手段の重要度・緊急度・工数の見極め、成果の計測方法などを見返して下さい。
全く成果が出なかったら、まず間違い無く上記のどこかを間違えているので、手段の実行は一旦ストップして、まずは改善して下さい!
そして繰り返しになりますが、最も可能性が高いのが小さくて微妙な成果が出ることです。
その小さな成果を大切にし、成果が出た要因(成功要因)を分析することからPDCAを回し始めましょう。
そしてPDCAを回す際にも論点思考こそが大事です!
元々ピン留めした論点を忘れないように定期的に意識を向けつつ、成功要因という新しい情報を含めて小論点や手段を再考し、再実行し、大きな成果が出るまで繰り返しましょう!
これは言葉だけだとイメージし辛いと思うので、今回も簡単な例を用いてみます。
例えばあなたのチームでは
「見込み顧客(リード)を可能な限り獲得する」と言う論点に対する手段として、「電話営業」が手段として選ばれ、実行することになったとしましょう。
きっとメンバーは総出で片っ端からネットで顧客候補となる会社のホームページに訪れて電話番号を探し、電話をかけまくることでしょう。
そして1週間鬼のように電話営業を続けてみた結果、チーム全体で3件の見込み顧客を獲得したとします。
一概には言えませんが、これは多分”小さくて微妙な成果”でしょうね!笑
ですが全く成果が出なかった訳では無いので、この獲得した3件とそれ以外を比較して成功要因を分析してみるとします。
(ここで大切なのは失敗要因では無く成功要因に目を向けることです! 失敗要因が分かって対処しても、次失敗しないことにしか繋がらず、成功を目指すPDCAサイクルには不向きだからです)
さて、1週間の鬼電の結果3件獲得、という小さくて微妙な成果を分析してみた結果、この3件は全てAさんが獲得していたことが分かりました!
Aさんのことを心から褒め称えつつ「Aさんの電話営業が成功した理由」をAさんにヒアリングしながら分析(ここでも構造分解)すると
上記の様になピラミッドストラクチャーが完成しました。
今回もMECEを意識して、試しに5W1Hで整理してみました。
しかし残念ながらこれといった特徴は無さそうですね…分析失敗です。
気を取り直して、次は受注したAさんのことでは無く、受注した3件の会社について調べてみました。
成功要因を探しているので、3件に共通する何かを見つけることが出来れば、それがターゲット選定に活かせる成功要因の仮説として挙げられそうです。
なので表形式で片っ端から共通する要素を探していくと
なんと受注した3件は全て医療系の会社だったことが分かりました!
たった3件の話なので、「医療系の会社は見込み顧客になりやすい」と自信を持って成功要因と断定は出来ません。(統計的に母数が不十分です)
ですが成功要因の仮説としては十分なのではないでしょうか?
従って次のPDCAは、大元の論点は引き続き「見込み顧客(リード)を可能な限り獲得する」のままとしておいて、
これに対する有効な手段(勝ち筋)は元々の「片っ端から電話してみる」から「医療業界の会社に片っ端から電話営業をする」にアップデートされるかと思います。
従って、次週は営業メンバー全員で新しい勝ち筋「医療業界の会社に片っ端から電話営業をする」を鬼の様に実行しまくり、「医療系の会社は見込み顧客になりやすい」が真の成功要因なのか、はたまた別の成功要因があるのか、を探しにいくことになるでしょう。
…と言った具体にPDCAは回します。
来週は来週で、うまくいけば大きな成果が出ますが、もしかしたらまた小さくて微妙な成果が出るだけでしょう。
ですが毎回同じ様に構造分解して分析し、成功要因(仮説)を考え、次に活かすことで徐々に大きな成果に近づくはずです!
この様に大元の論点は常に抑えつつも、手段には固執せず、小さくて微妙な成果をしっかりと分析して、成功要因に着目しながら大きな成果を目指しましょう!
最後に一点だけ注意ですが、「もうこれ以上成果を上げることは無理だ!」と思ったらPDCAを回すこと自体を辞めましょう。
「もうこれ以上は無理だ…」って思いながらも「いや、もしかしたら更に…」という究極的な状態を目指す究極思考に陥ってしまうと、実は時間と共にピン留めした大元の論点自体がどんどん解く必要の無い論点に変わってしまっていることや、今回の例なら電話営業という手段自体を疑い、別の手段(訪問営業とか)を試すという思考(視座を上げる)に至れなくなってしまいます。
塩梅は難しいですが、ある程度PDCAを回した結果「これ以上成果を高めることは無理で、維持が限界なのでは…?」と思ったら、そこでPDCAサイクルをストップすることも大切だということを忘れないでほしいです。
スタンス (仮説) を持って勝ち筋を探し切れ!
PDCAを回す際に、是非「スタンスを持つ」ことを意識して頂ければと思います。
例えば仕事で上司から
「最近競合企業B社の調子が良さそうなんだ! だから弊社とB社の昨年の業績を比較して分析してみてくれないか?」
と言われたとします。
もちろんいつも通りに「その作業の論点は何ですか?」と聞き返し、究極的にお金に紐付く仕事であると納得した上で、
「自分の会社と競合企業B社の前年度の業績を比較する」という分析を行ったとします。
その結果、競合企業B社が夏に大幅に業績を上げていたことが分かったとしましょう。
最悪なのはここで仕事を完了としてしまい、上司に
「分析の結果、弊社と違いB社は夏に業績を上げていました!」
と報告することです。
これはこの記事で何度か書いていますが「事実を報告するだけの、AIに最も代替されてしまう作業」です。
ぜひ上司に報告する前に「なんでB社は夏に業績を上げられたんだろう?」と考え、もう一歩深ぼってみて下さい。
そしてこの時に大切なのが「スタンスを持つ」ことです。
まずそもそも論ですが、なぜ分析をもう一歩深ぼらなくてはいけないのでしょうか?
それは分析を活かして自分たちのネクストアクションに繋げるためです。
作業は全て論点を達成するための手段であることは、繰り返しお伝えしてきましたが、
同じように分析という仕事にも必ず論点が存在するはずなのです。
今回の例で言うと、元々の論点は「競合企業B社に弊社のシェアを奪わせない!」とかだったと思うのですが、分析の結果「競合企業B社の昨年夏の施策を参考に、弊社の今年夏の業績を上げる!」的な論点に具体化したかと思います。
すると当たり前ですが「何をすれば弊社の夏の業績は上がるのか?」が分からないと論点は達成出来ないですよね?
つまり
「B社は夏に業績を大幅に上げていました!」
「B社は夏に新しいプロダクトCを発売して業績を大幅に上げていました!」
程度の分析では
「…つまり弊社は何をすれば良いの?」
って感じでネクストアクションとして何をすれば良いのかが分からないので、論点「競合企業B社の昨年夏の施策を参考に、弊社の今年夏の業績を上げる」を達成するための手段(ネクストアクション)が分からないままになってしまいます。
では、どこまで分析し、どの様に上司に報告すればネクストアクションに繋がる優れた分析結果になるのでしょうか?
それは「こうするべきだ!」と言うスタンス(仮説)が示せるまで分析し、事実と合わせてそのスタンスを報告出来るようになるまでです。
繰り返しですが、
「B社は夏に業績を大幅に上げていました!」
「B社は夏に新しいプロダクトCを発売して業績を大幅に上げていました!」
程度では「こうするべきだ!」と言うスタンスは出てこないですよね?
この後ちゃんとプロダクトCのことも分析して、自分の会社のリソースなど自分が知り得る範囲の情報を加味した上で
「弊社は自社の商品開発力を活かした上で、B社のプロダクトCが汲み取りきれていない女性にターゲットを絞った新しいプロダクトDを開発し、夏に販売すべきです!」
くらい「こうするべきだ!」と言うスタンスを持てるまで分析し、それを上司に報告しましょう!
いかがでしたでしょうか?
書いてみれば当たり前の話なので、納得感は高いのではないかと思うのですが、一方で「でも私のスタンスが間違っていたらどうしよう…」と言う不安の声が聞こえてきた気もします。
でも大丈夫です!
ある程度の論理性や客観性が崩壊していない限り、あなたのスタンスは間違ってても大丈夫です!
なぜならば、やってみて失敗しても恐らく前章で書いたような小さくて微妙な成果は出ているはずなので、その小さな成果の成功要因に目を向けてPDCAを回し始めれば良いだけなのです。
一番ヤバいのは、分析のための分析を行い、時間だけが過ぎていって、気付いたら失敗も成功もせず、日本の経済と同じ様な緩やかな右肩下がりの茹でガエル状態を生み出してしまうことです。
このスタンスを持ち続けて仕事を進めることをBCGでは仮説思考とか呼んでいます。
先にも紹介しましたが、元BCG日本代表の内田和成さんが書かれた「仮説思考」は参考になりましたので良かったら呼んでみて下さい。
勝ち筋が見つかったら、マニュアル化 or 機械化して外注しよう
さて、論点思考を駆使して手段を実行し、小さな成功要因に目をつけて、スタンスを持ちながらPDCAを回すことで、いつの日か勝ち筋が見つかると思います。
「勝ち筋が見つかる」とは、「費用対効果がプラスの仕事を作れた」と言うことです。
なぜならば仕事には、究極的には必ず"お金(費用)"という定量的な目的が紐づいているはずだからです。
例えば、
あなたがカフェの店長だった場合に、お店の収益をUPさせるために新商品を開発することにしたとします。
きっと色々なコーヒー豆やアクセントとなるホイップクリーム等を仕入れて試して、最高の新商品開発に勤しむことでしょう。
では最高の新商品とはなんでしょうか?
それはコーヒー豆やアルバイトの人件費などを加味した”原価”に対して、可能な限り高い売上を誇る商品のことです。
(仕事とはマネーゲームなので)
この「原価に対して”高い”売上を誇る」の”高い”の基準ですが、
最低でも原価を上回る額の売上は立てないと、売れば売るほど会社の貯金は消えていき、いずれ会社は潰れてしまいますよね?
(給料よりも高い家賃の家に住んでいるようなものです)
逆に言えば原価よりも高い売上を誇る商品を開発することが出来れば、最低限OKとも言えますね。
(厳密には原価以外の支出も加味しなきゃですが、今回は省略)
つまり原価(かかる費用)に対して売上(売った際に得た利益・効果)がプラスの仕事こそが「費用対効果がプラスの仕事」であり、この仕事を実現する具体的な手段こそが「勝ち筋」になります。
ポイントは、勝ち筋とは具体的で誰にでも再現可能な手段であると言うことです。
カフェの例で言うと、勝ち筋とは
「エチオピア豆を深煎りで引いて、ナチュラルローソンで買ったホイップクリームを20g入れた新商品を最低一日30杯売ること!」
みたいな単純作業(マニュアル業務)で表現出来る状態になっているはずなのです。
さて、次に考えて欲しいのは、
勝ち筋を見つけ、マニュアル化まで出来た単純作業を、店長であるあなた自身がやり続けるべきなのか?
と言うことです。
店長であるあなたは恐らくお店で一番給料が高いはずで、要は最も時間単位のコストの高い人材なのです。
そして店長であるあなた自身のコストも、実は新商品を作る際の原価に含まれていると言うことです。
大企業のサラリーマンだと感覚が薄いかと思いますが、あなたの給料も会社にとってはコストなのです。
先ほど記載した通り、勝ち筋とは「費用対効果がプラスの仕事」のことで、さらに出来るだけこのプラスが大きい方が会社に大きな利益が残るので、Goodです。
すなわち、同じ新商品のコーヒーを作れるなら、店長のあなたよりも人件費の安いアルバイトが作った方が、差し引き会社に大きな利益をもたらすので、Goodです。
では、どうしたらアルバイトが店長であるあなたと同じクオリティの新商品を作ってくれるのでしょうか?
それは単純作業にまで落とし込まれたマニュアルを作り、それをアルバイトに忠実に実行させることです。
第一章「みんな論点思考が苦手な原因は教育」で記載した通り、大半の日本人は教育により論点思考力は欠如してしまいましたが、代わりに時間通りに工場に来て、上司が命令した反復作業を永遠にこなしてくれる優秀な工場作業員としての能力は押し並べて高いのです。
なので、新商品の開発を誰にでも出来る反復作業(マニュアルに従って実行するだけの単純作業)にまで落とし込み、日本の教育を受けた非論点思考人材にお願いすることが出来れば、アルバイトでも店長のあなたと同じクオリティの新商品を量産することが出来る様になるはずなのです!
いかがですかね?
勝ち筋(費用対効果がプラスの仕事)が作れたら、それをマニュアル化して、非論点思考人材が半永久的に実行し続けることが出来る状態を作る。
これこそが会社を拡大させる鉄則「マニュアル化」なのです!
続いて、
ここ10年で急速に発展した、このマニュアル化の次のステップを紹介します。
それは機械化です。
昨今の働き方改革のお陰で大手企業のサラリーマンを中心に、だいぶ働きやすい環境が整いつつあるのではないでしょうか?
転職は当たり前になり、パワハラ、セクハラ、アルハラ…これらは減り、リモートワークや時差出勤などが増えたお陰で低ストレスで楽に働け、おまけに病院に行けばすぐに鬱病の診断書を発行してくれ、ネットで会社の悪口を書けば多くの人が賛同して一緒に会社を叩いてくれる社会になりつつあるように感じます。
加えるなら日本の会社は、もともと諸外国に比べて従業員を簡単にはクビに出来ないですし、減給すらほぼ無理です。
もちろんこれは良いことですが、
この状況を経営者はどう思っていると思いますか?
それは「人を雇っても良いことがないな…」です。
Twitterに書いたら炎上しそうな内容に突入してきましたが、
ここまで読んでくれている人は高い読解能力がある≒冷静に合理的に他人の意見を吸収できる。と信じて話を進めます。
前段の「既にAIやロボットに人間の仕事は奪われはじめている」にも記載しましたが、人の仕事は既にAIやロボットやその手前ではエクセルや食洗機などに奪われはじめています。
前段で何度も言いましたが、人にお願いする必要のある仕事って論点思考を中心とした「やる仕事を決める」仕事か、AIやロボットが出来ない専門性の高い特定の作業(詳細は後述)か、人と人の間でしか生み出せない感情を動かす何か(詳細は後述)の3つのみだと僕は思っています。
理由は、AIやロボットのような機械って、まだまだ結局「決められたことを早く正確にやる」と言う単純作業(マニュアル業務)を無機質にしかこなせないからです。
なので、もしあなたが機械の方が得意な単純作業を引き続き行なっている場合は、経営者が無能か、あるいは機械よりもあなたの方がコスト的に安いからです。
ここで経営者が「人を雇っても良いことがないな…」と思い始めている点に立ち返って頂きたいのですが、
経営者目線、昨今の働き方改革の影響で従業員を雇うリスク(≒コスト)が爆増している上に、リモートワークの影響で従業員と会わなくなったため情も湧かなくなってきているのです。
おまけに時代と共に機械のコストはどんどん下がっています。
ほぼ無料で利用できるITサービスもかなり増えました。
これにより、経営者は可能な限り人は雇わず、仕事を機械に任せる方向にシフトしているのです。
ちなみにパソナが産み出した”非正規雇用”と言う働き方がこの前進で、平成の時代に既に従業員を雇うリスクがどんどん高まっていたので、正社員でなくても出来る事務作業などを派遣さんなどの非正規雇用者にお願いする流れが生まれていたのです。
しかしここ10年で個人でも簡単にITツールを駆使して仕事を機械化出来るようになりました。
エクセルで関数を組んだり、SaaSのようなITサービスを導入するだけで、人よりも早く正確に低コストで単縦作業の仕事が進むのです。
これらは非正規雇用を雇うよりもリスク・コストが低く、さらに彼らよりも優秀なサービスがどんどん増えているのです。
機械化のHOWは専門性が高いのでここでは触れませんが、
僕が普段からTimewitchのメンバーに「機械化して!」と言っているのはこういう背景があるからです。
マニュアルが完成した後に人を雇いまくって利益を拡大する時代は過ぎ去ってきていて、これからはマニュアル化が終わったら「このマニュアルは機械化できないか?」と言う視点で人を雇わずに済む方法を考える時代なのです。
なので僕はTimewitchのメンバーが機械に代替される未来が見えているマニュアル業務をこなすだけの仕事をして満足している場合には怒っています。
それは会社の利益の観点もありますが、マニュアル業務しか出来ない人材はTimewitch卒業後に良い仕事に転職したり、独立が出来なくなってしまうと思っているからなのです。
ぜひ、機械に代替されるマニュアル業務を淡々とこなすのでは無く、
そのマニュアルや機械を作る側の仕事をすること、を意識していただければと思います。
番外編: 論点思考は仕事以外でも使える、汎用的思考スキル
ここまで論点思考とは「ビジネスにおいて、解くべき問い(論点)を定める思考法」のことと言う前提で話を進めてきました。
そしてどの様な仕事であっても、究極的には必ず"お金"という定量的な成果に紐づいているはず。
と言う前提で論点思考を行うべき!と強いスタンスを示し続けてきました。
ですが実際、論点思考は仕事やお金とは異なる世界線でも有効なので、
この章では僕が実際に論点思考の偉大さを体感したエピソードをご紹介します。
題して「論点思考を駆使して腰痛が治った!」です。
僕は電通時代に毎晩2時間睡眠のような働き方をしていた時期があり、
その時に過労でぎっくり腰になってしまいました。
以来慢性的な腰痛に悩まされていたのですが、腰痛って本当に人生の幸福度や仕事の生産性を下げるんですよね。
なので昨年本気で腰痛の改善に取り組んだのです。
まずは無思考に
整体
ハリ治療
カイロプラクティック治療
骨盤矯正
など色々通ってみたものの、効果はありません。
医者にとって治療とは仕事、つまりお金儲け(マネーゲーム)なので「患者が自分のところに通い続けてお金を支払い続けてくれること」とがが論点になります。
なので、「私のところに通い続ければ、いつか治ります!」としか言わないので信用出来ません。
そこで僕は起業して磨きをかけた必殺技”論点思考”を駆使することにしました。
まず論点思考を開始するにあたって何をするのでしたっけ?
そう!
論点を探し出してピン留めするのでしたね!
今回はシンプルで「腰痛を治す」を論点としてピン留めします。
続いて…何をするのでしたっけ?
そう!
ピン留めした論点の下を、ロジカルに縦の論理を、MECEに横の論理を展開し、構造分解するのでしたね!
僕は下記のように構造分解してみました。
これは別に腰痛について大量の知識を得てから構造分解した訳では無く、単純に地頭で考えて構造分解しました。
解説すると、まずピン留めした論点「腰痛を治す」ためには
痛みの原因を特定する
原因を治す
の2ステップで達成出来そうですね!
あとは医者や整体師によく聞かれた気がする項目を思いついた順に並べ、自分がどれに該当しているのかを改めて考えてみただけです。
ここまで整理した後に、整体師の友達に僕の腰痛の特徴を各段階ごとに相談してみました。
すると
慢性腰痛の場合、原因は姿勢では無い
痛みの種類が「ジンジン」の場合は神経系
腰痛に左右差がない場合は骨盤が原因では無い
痛みが腰の下部なら尾骶骨周辺が原因かもね!
と言う回答をもらえました!
要約すると、僕の腰痛は尾骶骨が定位置からズレていて周辺神経を圧迫したことにより発症しているのでは無いか?と言う仮説が得られたのです。
この仮説が得られたら構造化の上の方に戻って、
痛みの原因を特定する←done!
原因を治す
の2に進みます。
これ以上1に時間を割いても仕方ないので、さっさと2に移行してPDCAを回します。
そこで尾骶骨のズレを治す方法を調べたところ、仙骨枕と言う普通に生きてたら出会えないような不思議アイテムに出会えたのです。
これは尾骶骨の中でも一番下の仙骨と言う骨がお尻側に出てきてしまっている場合に、仰向けになりながら仙骨枕を仙骨の下においてグリグリするための道具です。
迷わずポチって届いてから1週間毎日欠かさずグリグリしてみました。
すると…なんと数年間悩んでいた慢性腰痛が綺麗さっぱり治ったのです!
腰痛に悩んだことがある人なら全員共感して下さると思いますが、腰痛があると本当に人生の幸福度と仕事の生産性が下がります。
それが治ったと言うことは控えめに言っても人生が変わったと言えるでしょう。
この様に、論点思考を身につけることが出来れば、
プライベートにおいて降り注ぐ人生の課題を解決することが出来るかもしれません。
この例で少しでも論点思考の重要性を再認識してくれたら嬉しいです。
余談ですが、論点思考が目的思考とか課題思考とかで呼ばれないのは、どの様な論点も、目的や課題とは言い切れない何かしらの前提を大論点として一旦ピン留めしないと話が進まないからです。
僕は仕事において論点思考を行う際に「仕事とはお金を稼ぐためのマネーゲームである!という前提が大事。」と言いましたが、
これは要は仕事における一番上の大論点を「お金を稼ぐ」とする。ということなのです。
でも哲学的に考え始めると「人生にお金ってそんなに必要ですか?」とか「仕事しないで生きていく方法を考えようよ」とか色々言えちゃって、
そう考えると「お金を稼ぐことが目的なんですか?あなたの人生においてお金が無いことが課題なのでしょうか?」とかいう意見も出てきちゃって、いつまで経っても具体的な議論や仕事が進まなくなってしまうのです。
腰痛だって同じで「あなたもうすぐ寿命で死ぬんだし、腰痛なんて治さなくて良くないですか?」とか言い始めたら「腰痛を治す」をピン留めして治療法を探しに行けないのです。
何か一つを大論点として無理やりピン留めしない限り、永遠に話は前に進まないのです。
なので僕は「仕事とはお金を稼ぐためのマネーゲームである」という哲学者からすると目的や課題とは言い切れないことを仕事の大前提とさせてもらい、「これ以降の話は、この『仕事とはマネーゲームである』という大前提で進めようね!ここ疑い始めると仕事進まないから疑わないでね!」としているのです。
故に、大前提である一番上の大論点(仕事の場合は「仕事とはマネーゲーム」である)自体が哲学的には目的とも課題とも言い切れない、”論ずる点”としか言えないような議題を無理矢理ピン留めしているので、目的思考や課題思考とは呼ばずに「論ずる点をピン留めする思考法、論点思考」と読んでいる。
と僕は解釈しています。
論点思考が苦手な人の生き残る道
ここまで論点思考に関して2万字以上描かせて頂きました。
ぜひ全ての人に、少なくとも仕事においては論点思考を活かして、AIやロボットに代替されない人材に成長して欲しいと思っています。
ですが、どうしても論点思考に対する苦手意識が拭えない人も中にはいると思います。
その様な人に対しても、最低限「与えられた論点を忘れない」程度の論点思考は引き続き求めますが、後述する方向性なら論点思考に苦手意識があるままでも十分に仕事で成果をあげ、AIやロボットにしばらくは奪われない仕事をやり続けられると思います。
ただし後述する2方向しか僕は見出せていないので、
論点思考も苦手で、後述する2方向も無理!な人は、申し訳ないですが僕は育てることも評価することもが出来ません。
その様なTimewitchのメンバーがもしいれば、ぜひ相談して下さい。
特定の作業スキルを磨きまくる
大前提AIやロボットが急速に人間の仕事(マニュアル化できる単純作業に限る)を奪ってきていますが、AIやロボットに奪われにくい仕事のスキルを、AIやロボットによる侵食以上のスピードで習得し続け、成果を出し続ける。
と言う生き方もあると思います。
要はエンジニア、デザイナー、医者、弁護士、税理士…といった専門っぽい職業です。
ただし、この中でもAIやロボットに奪われにくい仕事と、すでに奪われ始めている仕事の明暗は別れ始めているような気がします。
結論、AIやロボットに奪われにくい仕事ってエンジニアとデザイナーの一部くらいなのでは?と個人的には思っちゃっています。
例えばエンジニアの中でも要件定義やDB設計などの上流工程の仕事や、AI自体を作る側の仕事は残り続けそうですが、
Webフロントエンジニアはノーコードツールの繁栄や人材の供給増の影響もあり、仕事が少なくなっていきそうな雰囲気を既に感じます。
デザイナーに関しては、クライアントの意思を言語化する営業や、デザインの方向性をディレクションするアートディレクターは残り続けそうですが、
それこそAIによる画像生成技術などの進歩によって、ただAdobeソフトを扱えるだけのデザインの仕事は少なくなっていきそうな雰囲気を既に感じます。
そしてこれ以外の士業ですが、
例えば医者も弁護士も人口が減少しているにも関わらず人材は増え続けており、おまけに診療や過去の判例の検索などはすでにAIが侵食を始めています。
税理士などのビジネス系に関しては、医者弁護士よりも早いスピードでSaaSなどのTechツールが侵食を始めている印象です。
実際にこういった士業系の仕事は、よく「AIに奪われる仕事の例」としてピックアップされることが多いです。
まぁ端的に言うと仕事は下流工程からAIやロボットに奪われるものなので、これらの仕事に今就いている人は、ぜひより上流工程に関われる様なキャリアを歩むと良いのでは無いでしょうか?
そして最低限の実力がついたら、ぜひ実績となるプロダクトや作品を作り、肩書き得て、お金持ちとのコネを得ることを意識して下さい。
結局仕事の発注者や採用する企業側って、あなたの何を見ているかって
実績
肩書き
コネ
くらいです。
実績は、本質的にそれが凄いのかどうかはおいておいて「聞いたことがある!」とか「なんか凄そう!」と思われる何かに関わったと言う実績です。
肩書きは、CTOやCDOといった役職が分かりやすいですね。学歴もココかもしれません。
コネも、ただ薄く広い交友関係があるだけでは、ビジネスにおいて得はしません。
割と残酷な事実ですが、お金を持っている(企業において決裁権を持っている)人との繋がりじゃ無いと、仕事を発注してもらえないので無意味なのです。
上記3つを得られれば、「セミナーに登壇して!」「弊社の顧問を引き受けて!」「本を出版して!」といった具合に社会の方からお金を握りしめてあなたの元に擦り寄ってくるようになります。
そうなれれば、AIやロボットの侵食に怯える必要も無く、経済的にも承認欲求的にもアガって生きていけるのでは無いかなと僕は考えています。
こんな感じでエンジニアやデザイナー職を目指す人は
最低限の作業スキルを取得する
実績になる仕事に食い込み、成果を出す
成果を出し続けて、上流工程の仕事に移りつつ肩書きを得る
その過程で出会ったお金持ちとの繋がりを大切にする
アガる
と言うステップで人生を設計するのが良いのでは無いでしょうか?
人付き合い力でお金持ちから愛され続ける
上記の「特定の作業スキルを磨きまくる」以外の論点思考が苦手な人材の生き残る道は、「お金持ちから愛され続ける」です。
プライベートの友情や恋愛だったら、相手がお金持ちで無くても関係性を育んで幸せを享受できるでしょう。
しかし、全ての仕事は究極的にはお金につながるマネーゲームという前提で考えると、お金を持っていない人にいくら愛されてもマネーゲームでは意味が無い行為となってしまうため、「”お金持ち”から愛され続ける」と限定しています。
「いやいや、クライアントに対しては確かにそうかも知れないけど、社内の人に好かれて職場の雰囲気を良くする人にも価値あるよね?」
と言う声もあるかと思います。
確かに職場の雰囲気が悪かったら会社の生産性が下がりそうなので課題かもしれません。
ですが職場の雰囲気が良いことは、究極的なお金に直結するものなのでしょうか?
もちろんケースバイケースですが、職場の雰囲気が良すぎると仕事中に雑談が活発化し過ぎてしまったり、飲み会が増えて会社としてのリスクも増大するかもしれません。
なので絶対では無いですが、職場の雰囲気を良くする人が必ずしも価値がある訳では無いのです。これも論点によるのです。
直感に反する残念な話ですが、ビジネスってそんなのばっかりです。
話を戻すと、上記に対してクライアントや投資家や銀行といったお金持ちから好かれ、会社にお金を引っ張って来れる人材は明確に貴重です。
そして、これは僕も起業して地べたを這いずり回りながら営業をしていた時に感じたのですが、彼らが僕たちにお金を支払ったり貸したりしてくれる場合、想像以上に非合理的な理由でお金を動かしてくれることが多いのです。
その非合理的な決断の多くが「こいつのことが好きかどうか」と言う人間の根幹の感情によるものなのです。
この記事のメインテーマである論点思考も一つ前の章で話した特定の作業スキルも、合理的な理由による成果の上げ方なのに対し、この「お金持ちから愛され続ける」と言うのはかなり非合理的な人の感情に沿った方法です。
ですがこの生き方を貫いている人も最近は増えてきて、
キャバ嬢やホスト、インフルエンサーやパパ活女子は最たる例ですし、実は専業主婦がお金持ちの男性と結婚して自分の資産を増やすのも同じ構図だと僕は思っています。
お金を支払う側の目線に立つと、冷静に一時の楽しみのためにキャバクラで数百万円を使ったり、自分よりお金を稼ぐ力の低いパートナーと結婚することは「マネーゲーム」と言う前提では非合理的です。
まぁこれらの例はお金を支払う側が仕事モードでは無いので僕自身全然問題は無いと思っています。
しかしこれらの例と同じことが仕事でも起きまくっているのです。
「君が言うなら発注するよ!」
「あなたと一緒に仕事がしたいから買います!」
こう言う感情で大きな金額が動く、これがまた仕事の面白いところです。
そしてこの様な人と人の間で生成される感情は、AIやロボットに代替されません。
ただし、単発では無く愛され続けなければならない長期戦なので身体が資本となる生き方です。
無理な酒の飲み方をしたり、土日にお金持ちに接待をする必要性も出てきます。
なので自分が体調を崩して倒れたら終わりですし、人によっては外見が劣化したら終わりというハイリスクハイリターンではあるので、この生き方を選択する場合はある程度自分の身体と相談をした上で覚悟を持って臨んだ方が良いでしょう。
MTGはピン留めした論点のことから話し始めよう
あなたがご紹介した2方向「論点思考が苦手な人の生き残る道」のどちらかを選択した場合、必ず論点思考が出来る人材と組んで仕事をした方が良いです。
何故ならば、あなたは人としても仕事的にも手段に没頭してしまい、誤った論点に向かって猪突猛進に突っ走ってしまいやすいからです。
そしてここが重要なのですが、論点思考が出来る人材や、その他いつも一緒に仕事をしている人では無い人とMTGする際は、必ず論点のことから話し始めて下さい。
論点思考が苦手な人は、よくピン留めした論点のことを話さず、急に論点の遥か下の手段のことから話し始めてしまう傾向にあります。
しかし、論点思考が出来る人材は「これってどの論点に紐付く手段の話なのだろう…?」という部分が引っかかって、一向にあなたの言葉が頭に入らないでしょう。
なので、たとえ論点思考が苦手であっても、最低限MTGの際は「このピン留めした論点に紐付く話を今からします!」と言ってからスタートする癖を付けてください。
きっと他の人から「あなたは一体なんの話をしているんですか?」と言われることが無くなりますよ!
最後に、Timewitchメンバーに向けて
まずはここまで3万字以上の僕の文章を読み切ってくれてありがとうございます。
僕が普段から言っていることを誰にでも分かるように、かつ全て包み隠さず文章化したつもりではありますが、不明なことがあれば遠慮なく聞いて下さい。
最後に僕がなぜ論点思考の様な分かりにくい思考スキルを、会社の評価制度や組織体制に組み入れる程極端に重要視しているのかを書きたいと思います。
まず経営者観点での組織の作り方には大きく下記3つの方向性があると思っています。
能力主義
個々人のビジネス能力を組織的・計画的に高めて、能力が開花したと定性的に判断した社員には年齢性別関係無く裁量権を渡していく。つまり最も若手が成長出来る環境。
ただし組織愛は育まれにくく、独立意識が芽生えやすいので優秀社員の退職が多くなりがちだし、評価が定性的なため、評価されない社員の納得感は低い。
僕のいたBCGやゴールドマン・サックス、リクルート、そしてTimewitchなどがこれ。成果主義
定量的な成果主義の評価制度を作り、数字的成果を出した社員には年齢性別関係無く報酬を与えていく。特に組織的な教育は行わないで、必勝法的なマニュアルだけ渡す。低学歴の人が最も夢見れる環境で、評価の納得感は高い。
ただし互いがライバルとなるので社内の雰囲気は殺伐としがち。心身のストレスが最も高いので鬱病になる人も多い。
プルデンシャル生命保険やユニクロ、不動産仲介がこれ。ビジョン共感主義
社員全体で同じビジョン(夢、目標)を追う文化を作り、組織愛が生まれる風土を醸成し、組織が人数的に拡大することを好む。能力や成果では無く気持ちや情熱が評価される。
ただし気持ちや情熱を定量化すると在籍年数になりがちなので、評価が年功序列になりがり。さらにお金では無くビジョンのために働いているという前提なので、経営者が最も搾取しやすいため社員は薄給になりがちで。
僕のいた電通含むコロナ前の日系企業、お金の無いベンチャー企業に多い。
とまぁ、どれもメリット・デメリットがありますが、Timewitchは1の能力主義を採択しました。
理由は
1と3は僕の前職の経験を活かせる
リモートワーク時代に会社を立ち上げたので、ビジョンを浸透させ辛かったため3が選択出来なかった
不確実性が高く右肩下がりのこの時代、Timewitchのメンバー含め全ての働く日本人は転職や起業をガンガン行い、変化し続けるべきだと思っている
あたりです。
そして最後の気持ちは今も変わっていません。
Timewitchのメンバーも、Timewitchで役員を目指し、株主になり、運命共同体になるつもりが無いのなら3年くらいで論点思考をマスターして辞めた方がご自身の人生のためだと思います。(寂しいですけどね)
そんでもって、
僕も30歳を超えた頃から、自分のためだけの人生を送る事に虚しさを覚えてきたので、「Timewitchのメンバーの卒業後の人生に、僕は何を残せるだろうか?」という観点で普段から接するようになってきました。
子育てみたいな感覚ですね。笑
一方で、僕はTimewitchのメンバーにとって親でも恋人でも友人でも無く仕事上の雇用主という立場でしかないので、「癒し」「想い出」の様な抽象的なものを授けるのはおこがましいし無理だと思いました。
なので、おこがましさが無く、僕が提供でき、この右肩下がりの日本において最低限の経済的豊かさを維持し続けられ、腰痛の様な人生の課題を解決することが出来る具体的手段「論点思考」なら、授けても彼らに損は無いのでは無いか?と思ったわけです。
故に僕は論点思考を会社の評価制度や組織体制に組み込んでおり、それ以外の仕事も、前章の「論点思考が苦手な人の生き残る道」で紹介した特定の作業スキルを磨ける環境や、人付き合い力を存分に発揮しやすい環境を提供しているつもりなのです。
ここまで僕が語ったことは勿論働き方の唯一解では無いでしょうが、少なくとも一理はあると思います。
そして折角Timewitchに入って頂いたならば、是非論点思考を身につけてから卒業してほしいと思っています。そして去った先でも論点思考や特定の作業スキルや人付き合い力を活用して、豊かなビジネスパーソンライフを送ってくれたら嬉しいです。
最後に、ここまで色々小難しいことを書きましたが、上記はTimewitchの攻略本です。
なのでこの攻略本を時折参考にしながら、明日からまたTimewitchというマネーゲームを一緒に楽しんでいきましょう!
サポートありがとうございます! もっと面白い記事を書いていきたいと思っているので、ぜひコメントで率直な意見を頂けると嬉しいです!