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有能を採用するのではなく、無能を採用しないことが大切 | 採用方針

「有能な人材を採用する方法」みたいな本が世の中に多い気がする。
例えば下記本は有名で僕も好きだった。

振り返ると、僕も起業してメンバーを採用するフェーズになった時は

「よし、どうやって有能な人材を採用するかな!」
と考えていた。

しかし組織を組成してみた今思うのが、入社した瞬間から即戦力になる有能な人材なんて採用出来ない。と言う事実だった。

そしてそんなことよりも、無能な人材を組織に入れてしまうと、それは組織に悪影響を及ぼし、他のメンバーやクライアントに迷惑をかけ、癌細胞の様に会社を内側から腐敗させていく。と言う残酷な現実だった。

このブログは、これから組織を作って何かを成し遂げようと思っている人に読んで頂き、組織作りでの取り返しのつかない失敗を回避してもらえたらと思い執筆した。

有能、無能の定義

僕は学者では無いので、ざっくりと話を進めていこうと思う。

まず有能、無能、そして無能ではない人の定義を下記の様に設定する。

有能:組織にとってプラスな人材
無能:組織にとってマイナスな人材
無能ではない人:組織にとって±0、又は有能

有能な人材を採用出来ない理由

有能を分解すると

  1. その組織独自のルールや文化に沿って”有能”

  2. 汎用的なビジネスパーソンとして”有能”

と二分類出来る。
1に関しては、組織に入ってみて、組織の文化に染まって初めて有能かどうかが分かる。
従って、採用してみないと有能かどうか分からない。

2に関しては、かなり偏った意見だとは思うが、汎用的なビジネスパーソンとしての能力が身についている人って、昔

  • 外資系投資銀行

  • 外資系コンサル

  • PEファンド

  • (上記3つの業界出身者が代表を務める少数精鋭ベンチャー企業)

のどれかにいた人にしか身についていないと思っている。
これらの企業では、入社すると
「汎用的なビジネスパーソンとしての能力とは何か?」
みたいなことを体系的に教えてくれるし、本当の意味で人が資本の会社なので、これら出身の人は汎用的なビジネスパーソンとしての能力がある。と言い切れると思っている。
(極論だと自負はしている)

逆にこれらの企業出身では無い人の中で汎用的なビジネスパーソンとしての能力が高い人は奇跡的な存在な気がしているので、相当な人を見る目が無い限りは「無理」と割り切った方が実用的だと思っている。

そして残念だがこれらの企業の出身者は値段が高い。笑
元々の年収が余裕で1,000万円を超えているので、僕らみたいなベンチャー企業ではとても雇えない。


以上2つに分解して解説した通り、有能な人材は僕みたいなお金の無いベンチャー企業では採用出来ないと思っている。

無能な人材を採用した時のリスク

僕は以前戦略系のコンサルティングファームにいた。
そこでは他の企業の中枢に入り込ませて頂き、その企業の経営陣と一緒に組織に関して腹を割った会話をしたことが幾度となくあった。
(まぁ僕はマネージャーでも無かったので、正確には横に座って聞いていただけだが笑)

もちろん企業名は出さないが、その現場で知ったのは多くの企業に”追い出し部屋”が存在する。と言う事実だった。

要は会社として”無能”とラベリングされた人材を集めた部署が存在し、その部署にいる従業員は成功しても失敗しても会社に影響が薄いレベルの低い仕事を永遠にこなしていた。

経営者になった今なら理解できるが、日本は本当に従業員を辞めさせにくい。
下手なことをすると会社が訴えられるし、ちょっと圧力をかけるだけで労働組合とかが出来上がって抗議される。

この結果”追い出し部屋”が生み出されたのだと今なら理解出来る。


これ以外にも、「追い出し部屋に追い込めたらまだマシ!」という実態も見てきた。

特に最悪なのは老害が重役に就いていて、若手の仕事を次々に無に帰していく姿だった。
一人の無能が他の人に悪影響を及ぼし、組織自体を腐敗させていく姿はまさに癌細胞を見ている様だった。

ここまでくると、無能の悪影響が及ぼす組織への損失は計り知れない。
僕はこの事実を目の当たりにしてから
「無能だけは自分の組織に入れてはならない!」
と思い、今の会社で日々採用に携わっている。

結論、無能ではない人材を採用し、育成するのが正解

無能で無ければ、マネジメント次第で人は成長すると思っている。
ここで言う”成長”とはビジネスパーソンとして汎用的な基礎スキルを身につけ、所属した組織のルールや文化に適応すること。

もちろん様々な個性があるので、その個性を踏まえた育成方針は大切だ。人は得意分野でしか活躍出来ないと思うので、その得意分野を活かせる土壌を用意するのが経営者の最も大切な仕事だと思って日々マネジメントしている。

その結果もあってか、少なくとも僕の組織のメンバーは全員入社して半年もすれば十分に独立したり、他の会社でもエース級でやっていける人材に育っていると感じる。
(親心も混じっているとは思うが笑)

先日外部の戦略コンサルの人に組織に一時的に入ってもらい、僕の会社のメンバーと一緒に仕事をしてもらったのだが、メンバーの優秀さに驚いていた。
「どの様に育成したの?」
と聞かれたが、正直僕は前職の戦略系コンサルティングファームで自分が習ったことをそのままメンバーに伝えただけだ。

在籍時は「もっと人間味ある育成があるんじゃ…」とか色々思っていたが、いざ自分が育成側に立つと前職で教わったことの汎用性に驚かされる。


従って、組織を組成するにあたり大切なことは「有能を採用するのではなく、無能を採用しないこと」であり、採用後は「戦略系コンサルティングファームの育成方法にのっとって育成する」が正解だと思っている。

若干身も蓋もない話になってしまったが、これから組織を作って何かを成し遂げようとしている数名の役に立つ参考情報にでもなれば嬉しい。



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