アジアのビジネスを変えたベトナム航空会社の女性経営者「マダム・タオ」
ベトナムと日本を繋ぐ仕事をしています。2021年の長者番付で「6名のベトナム人」が約1000億円以上の資産を持っているビリオネアとして、選出されました。
その中で唯一の女性であるグエン・ティ・フオン・タオ氏は、東南アジア女性として、自力で成功した初めてのビリオネアとして有名な方です。
フランス政府からレジオン・ドヌール勲章を授与
6日前のニュースですが、マダム・タオは、フランス政府から、「個人や団体の貢献活動を称えて授与される最高位の勲章」であるレジオン・ドヌール勲章を授与されました。
コロナ禍で苦しむフランスに寄りそい、献身的なサポートをしてきたことへの感謝の意を表しているそうです。
そんな素晴らしい勲章を受け取ったマダム・タオがどんな女性か、少しだけ探っていきます。
初の民間航空会社ベトジェット・エアを設立
マダム・タオは1970年生まれ、現在50歳のノリに乗っている実業家です。
18歳の時にソビエト連邦に留学し、金融学と経済学を専攻したそうです。
その後、モスクワで起業し、輸入ビジネスで一財産を築きあげました。
この資金で、ベトナムの民間銀行と国営銀行に出資した後、ベトナム初の民間航空会社の設立に乗り出しました。
現在も社会主義であるベトナムは、国営企業の力が強い国です。航空業界も同じく、国営であるベトナム航空しかありませんでした。
しかし、マダム・タオは、「必ず民間に門戸が開く」と信じ、民間初の航空会社ベトジェットを政府に申請、2007年に設立が許可されました。
ベトジェットエアが有名な航空会社になったのは、フライトアテンダントがビキニでダンスを踊るサービスを提供したことから始まっています。
ベトナム政府は航空業務にふさわしくない、と問題視し、罰金を科しましたが、マダム・タオは、こう主張しています。
保守的な国、というイメージが強いベトナムですが、彼女はそのイメージをビキニという大胆な手法で、壊そうとしていたのです。
そして、2020年、米国のニュースサイトで、「アジアのビジネスを変えた100人」に選ばれました。彼女の自由な発想が、世界に受け入れられた結果だと思います。
ベトナム人女性の社会進出率はASEANトップレベル
2020年のニュースで日本の女性経営者率は8%でしたが、ベトナムの女性経営者の割合は30%と、大きく日本を上回っています。
実際、ベトナムの方と仕事をすると、女性の経営者やマネージャークラスの方にお会いする機会が格段に多いです。
この背景には、ベトナム戦争とドイモイ政策が影響している、と言われています。
1975年まで続いたベトナム戦争のせいで、男性の数が圧倒的に減少した最中、ドイモイ政策で経済成長を始めたベトナムで、就労できる労働者は女性でした。
こういった歴史的背景から、他国とは違う「自然?な女性の社会進出」が後押しされた、と言われています。
マダム・タオが、自らの力で、東南アジア初の女性として成功を収めたのは、ベトナムという国が、東南アジアの他国とは違う歴史を持っているからかもしれません。