エビと日本人、その後。
スーパーに行けば、冷凍エビや生鮮エビなど、キレイにパックされたエビがどこでも手に入ります。このエビ、漁獲されたものと養殖されたものとありますが、最近増えつつある養殖エビは、どんな種類があるかご存じでしょうか。
そもそも、日本のエビ自給率は4~5%と言われており、残りは輸入に頼っています。輸入のほとんどがアジア諸国からで、インドネシア、インド、ベトナムが主要な輸入先国となっています。
実際、世界のエビ漁獲・養殖ランキング(2019)を見ると、
日本が、インドネシア、インド、ベトナムからほとんどを輸入しているのも納得です。
エビ自体は3000種類くらいいるそうですが、養殖されているエビの種類は限られています。特に人気の種類はブラックタイガーとバナメイエビ。どちらも、スーパーで見かけたことがあるかと思います。
ブラックタイガー
数十年前から、名前が知られているブラックタイガー。大き目のサイズに食べ応えのあるブラックタイガーは、エビフライ用などで人気があります。
車エビの一種で、見た目は、名前の通り黒っぽい縞模様です。
バナメイエビ
2000年代から、急にスーパーで見かけるようになった「バナメイエビ」。ブラックタイガーより少し小さく、無頭の加工処理した状態で見かけることが多いです。
バナメイエビ養殖が増加中
もともと、バナメイエビはメキシコからペルーの辺りの海に生息している種ですが、現在は、東南アジアでもブラックタイガー養殖からバナメイ養殖に転換しつつあります。
日本に輸入されるエビもバナメイエビが増加中で、私たちが口にしているエビは、バナメイエビの方が多いのではないでしょうか。
なぜ、バナメイエビが人気なのか。
その理由は、養殖しやすいから。
ブラックタイガーは、水底を這うように生息しています。そのため、養殖池の面積が生産量に影響します。
一方、バナメイエビは、水中を泳いで生息するため、養殖池全体を使えるので生産量が向上します。
ブラックタイガーは稚エビから成体になるまで半年かかります。
一方、バナメイエビは、3~4ヶ月で成体になるため、1年の生産量が増加します。
加えて、バナメイエビは、病気に強く、淡水に近い水質でも生息できるため、養殖しやすい種と言えます。
エビ養殖の現状
30年くらい前に、「エビと日本人」という本が出版され、東南アジアで養殖された低価格の輸入エビがマングローブ林など環境破壊につながっていたこと、また関係者が低賃金で過酷な労働環境で働いていたことが、話題になりました。
現在、SDG'sの考えが広まり、「持続可能な漁業」を推進する企業がどんどん増えています。エビ養殖がさかんなベトナムでは、政府が先陣を切って、環境負荷をかけないエビ養殖を推進しており、様々な知恵やテクノロジーを活用してます。
高密度で生育するエビが病気や死滅しないよう最新技術を投入したり、養殖池で発生するヘドロをそのまま流すのではなく、浄水処理を施してから排水する規制の整備など、様々な課題に取り組んでいます。
もちろん、まだまだ改善の余地があるエビ養殖の世界ですが、それでも、世界が日々進化していることが分かります。