ロマンとソロバンっていうはなし。

# これはなに?

探しものをしていたら、昨年の今頃に通っていた東京理科大学 MOT入門コースの最終講義で提出した課題レポートが出てきた。最終講義でのお題は最終回らしく(?)『私の目指したい技術経営者』であった。久しぶりに読んだ今も変わらずに同じ考えなので、備忘代わりにここに残しておこうと思う。

# 過去の提出課題

以下に原文(誤字や体裁のみ修正)を載せる。

東京理科大学 MOT入門コース 第6回 事前課題
2016年12月04日

■ 当資料の位置付け
事前提示された課題レポートに関し、所見を以下に述べる。なお、提示課題は以下の通りである。
課題テーマ:『私の目指したい技術経営者』

■ 課題への回答
『ロマンとソロバン』
私のイメージする理想の技術経営者は、「技術への追求」というロマンと「利潤の獲得」というソロバンの両輪を高次のレベルで自身の中に落とし込み、周りを巻き込んで実践出来ている者である。

自身の認識上、特定のカリスマが存在しない大企業においては―弊社に限らず―ビジネス分野の者と技術分野の者は喧嘩しがちである。双方ともに「あいつは分かっていない」と反目しあう傾向にある。おそらくどちらも自身の分野においては大きく間違ったことは言っていない。しかし、互いの立場・知識・認識を行き来することが出来ないためにこのような状態になっているように思える。

そこで必要になるのが、こうした "人文社会/科学" vs "自然科学/工学" の構図に対し、白黒をつけるのではなく、譲り合うのでもなく、きちんと双方の意見を高次で成り立たせるスキームを作って周囲を巻き込み、実現させていけるような人間であると考えている。そして、それこそが自身の目指すべき技術経営者としての姿だと考えている。

その状態に如何にしてなるのか。そこには私自身の置かれている状況が功を奏していると感じている。私自身は技術者ではあるが、大学は理系学部の出身ではない。経済学部出身のド文系である。しかし、様々な要因が重なって運よく初任配置にて開発の部署に配属された。専門を持たずに専門家と一緒に開発を進めてきたおかげで、今ではメカ・電気・ソフト/制御・光学と多くの分野で専門家と話が出来るようになったし、数件の特許も出すくらいにはなった。

「自分には分からない」と最初から匙を投げるのではなく、『興味関心を持って近づけば意外と難しくない』という感覚を持って邁進し、最後、文系職場に戻った時に技術者をあるべき檜舞台に立たせること。これが自身の役割であり、目指す像である。

技術者という人種は本当にすごいと感じている。きちんと陽の目を見られる場所に置いてあげられれば自ずとイノベーションは興ると信じている。

以上

お題的に経営者になる前提だが、特段、経営者になりたいという強いモチベーションがあるわけでもない。ただマネジメントをしていく上でもこうした視点はとても大事だなとは思っている。

# ロマンとソロバン

この言葉を知ったのは宮本喜一さんという方が書いた同名の本を読んでである。

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Amazon.co.jp より

中身はマツダのエンジン(高効率レシプロエンジン = SKYACTIV)開発ストーリーで、その開発過程での苦労は身につまされるものが多く面白かった。ただ、それよりなにより印象深く残ったのは、この本の題名である「ロマンとソロバン」というワードだった。あぁ、これだよな、と。会社内で対立するのはいつもこの構図なのだな、と。どうしてもソロバンが強くなりがちだけど、高次で両方を成り立たせないといかんよな、と。その頃の想いが上記のレポートに現れたとも言える。

# おわりに

『真面目ナル技術者ノ技能ヲ最高度ニ発揮セシムベキ自由豁達ニシテ愉快ナル理想工場ノ建設』

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『IT'S A SONY展』での展示品を撮影

これは最も好きな設立趣意書であるSONYの設立趣意書の中の一文。こうした想いを持ったまま全体の舵取りをバランス良くできるようになっていきたいなあ。

っていうはなし。

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