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テスラ 3年ぶり過去最高株価とその背景

12月12日、2021年11月ぶりにテスラ株がATHの過去最高を記録し、424ドルまで高騰。イーロンもフォロワーが420ドルに達し、Holy Numbers(聖なる数字)に達したというポストに反応、「予言通り🙏」とリプライしています。($420はイーロンとテスラにとっては特別な数字ですね😄)

テスラで働き、長年会社とテクノロジーをウォッチしている身としては、最近のテスラの成功や元来のイーロンやテスラの目指すミッションや地球規模のビジネスが、より具現化され、その可能性をより多くの人が感じ始めたのではないだろうかと思っています。

テスラ本体のXアカウントも「Our goal is to make products that people truly love」人々が愛する精神を作ることがゴールとポストしており、テスラのXコミュニティ界隈は朝からとても盛り上がっています。

そして、テスラやスペースX、xAIなどイーロンのビジネスは、いくつかのHeadwindはあるでしょうが、長期的に成長して行く分野であることは確かです。今、それらの企業には多くのポジティブなニュースが溢れていますが、この躍進背景に影響あるいくつかを紹介したいと思います。

イーロンの影響力とAI開発

以前より何度か取り上げていますが、はやり次期トランプ政権や政府効率化省のトップに就任するイーロンがもたらす自動車、EV産業そして、AIなど新しいテクノロジーへの影響は巨大です。特に、トランプ次期政権が訴えるMAGA(Make America Great Again)として強いアメリカや経済回復には、テスラやスペースXのような新しい「Made in America」ブランドが今後アメリカが世界をテクノロジーや経済で牽引するためにも必要になってきます。

以前より石油・オイル業界と強い関係があるトランプ次期大統領ですが、今後の国際競争力を支えるのは、従来のアメリカを牽引したデトロイトの自動車メーカーではないことは確かです。そして、さらに重要になるのがAIの開発競争であり、それは単に技術競争を超え、地政学的な競争、安全保障にもつながり、中国との技術競争も避けては通れないでしょう。

Grokで生成

多くのテック企業がAI開発を加速しているわけですが、テスラの自動運転や人型ロボットオプティマスは「現実世界のAI」に焦点を当てており、実際の生活への影響やハードとの連携があり、私たちの目にも見えて分かり易いといえます。

世界中を走る多くのテスラ車両から何億もの走行データや画像を集め、現実世界の映像を運転指示に変換するために設計されるのがFSD、テスラのAIであれば、イーロンのもう一つのAI開発企業「xAI」はGrokのようなAIチャットボットを開発し、より広範囲で一般的なアプローチでさまざまな分野での「科学的発見を可能にするAI」の開発を目指しています。

FSDは完全自動運転を実現しそうだ

特に、11月のサンクスギビングにはFSDの最新バージョン13のリリースが始まりましたが、この機能の大幅な向上はウォール街のアナリストにもポジティブな影響を与えたようです。ようやくテスラのEnd to Endニューラルネットワークによる自動運転の未来が多くの人に理解し始められたということでしょう。テスラを評価する上では従来のEV製造やデリバリー台数だけが判断の指標ではないことが広く受け入れらるようになって来たように思います。

FSD V13については、すでにX上では多くのレビュー動画が上がっていますが、ニューラルネットワーク全体のアップデートがあり、より人間の運転に近くなっています。駐車状態からワンタッチでFSD起動が可能になり、車両も自分で駐車スペースを探して駐車すると言った動作に加え、フル解像度のビデオ入力やトレーニング計算能力が5倍にスケールしたことなど、パフォーマンスが大きく改善しています。

以下のAI DRIVRさんのレビュー動画、最新のものを紹介しますが、テスラ車は周りの状況を判断しながら、他の車、その他の文脈やタイミングを判断しながら、二重縦列駐車の追い越しをしています。他にも夜中の雪道をスクリーンのFSD起動ボタンを押すだけで目的地にハンドルを触ることなく辿り着いて駐車スペースにとめるような動画もあるので見てみてください。すでに下手な人間が運転するより明らかに上手いと思います。

テスラは、このFSDによる自動運転の実現とそのサービスをロボタクシーで2026年中にサービスを開始するとしていますが、多くの人は到底無理だとか、当局の認可も降りないだろうと指摘して来たわけですが、ここもイーロンが次期政権に入り込み、トランプ次期大統領もDeregulation、規制緩和を促進するでしょうから、自動運転の実装も進みます。

前回の決算発表時にイーロンは2025年にFSDは人間が運転するより安全になり、テキサスとカルフォルニアでモデル3・モデルYにおいてUnsupervised FSD(監視なしFSD)が始まると語っていましたが、トランプ政権に移る今、この予測は現実のものとなるでしょう。

このように、テスラの目指す自動運転やAIでの覇権、アメリカの経済成長、次期政権での効率化省、全てがポジティブに絡み始めているのが最近の状況に見えます。ちなみにちょうど今日、Wedbushのダン・アイブスさんもTOP10クリスマスリストを発表し、テスラの今後について次のように予測しています。

・テスラの市場価値: 自動運転技術の進歩とCybercabの発売により、テスラが2兆ドルの市場価値に達する可能性
・イーロンの中国影響力: 中国との関税に関する議論で自身の立場を活用し、Apple、Tesla、Nvidiaなどの企業が利益を得る可能性

オプティマスもさらに進化

そして、FSDで使われるセンサーやアクチュエーターなどを応用した人型ロボット「オプティマス」もさらに進化しているようです。特に面白く素晴らしかったのが、歩行の改善。Xでも視覚入力なしで歩行するデモのポストがあり、オプティマスが丘のような場所を歩いて登っていき、さらに降りる際に滑ってしまうのですが、そこでバランスを立て直してまた歩き始めるという、なんとも人間と同じような動きで歩き回っているのは驚きです。深夜の新橋の酔っ払いよりバランス感覚は良さそうです笑

他にも人間から投げられたテニスボールをキャッチする動画もあり、リアルタイムインタラクションと物体追跡能力も改善しています。

壮大なスケールでつながる

ちょうど昨日はxAIが作るGrokが新しいバージョンを発表し、Auroraによって高品質で写真のようなリアルな画像を生成することができるようになりました。ちなみに、xAIの設立の目的は「宇宙の真理を探究すること」で、宇宙の仕組みや法則を理解しようとすることです。これは「言論の自由」を追求するXの目的にも繋がっています。

Grok + Auroraで作成

イーロンは先日、トランプ次期大統領をテキサス州ブラウンズビルにあるスペースXのスターベースに招き、スターシップロケットの6回目のテスト飛行の打ち上げ手順を説明していました。バイデン政権では全くエンドースを受けなかったスペースXは宇宙産業の分野での実質のリーダーであり、安全保障にも直結する産業分野でもあります。

テスラのロボタクシー、オプティマス、Grok、スペースX、これらの企業は壮大なスケールで繋がっており、そのサービスはアメリカという国の繁栄を支えるだけでなく、これからの人類の進化に貢献するように思えてなりません。

12月の講演:世界の自動車マーケット最新動向

前田謙一郎:
テスラやポルシェなど外資系自動車会社を経て、Undertones Consultingで独立。EVを中心としたセールス&マーケティング戦略やブランディングに関するコンサルティングを行いながら、世界の自動車業界トレンド、電動化、マーケティングに関するセミナー登壇や講演、自動車・ビジネスメディアへの寄稿を行う

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