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テスラ ロボタクシーがもたらす破壊的革命

先週、多くの人がテスラの歴史的ロボタクシー発表イベントを楽しんだのではないでしょうか。日本ではそこまで注目を集めていませんでしたが、アメリカのテスラコミュニティーはもちろん、投資家や様々なメディアも注目する一大イベントでした。私はちょうど中国の上海にいて、テスラのギガ・ファクトリーを訪問(日本初!)した翌日、ホテルからライブ中継を見ました。テスラ上海で会った元同僚たちも10月10日のイベントはとても楽しみにしているようでした。そして、個人的にも2019年のサイバートラックの発表以上にエキサイティングなイベントだったと思います。

イベント後、アメリカの大手メディアは機関投資家の言葉を借りながら、具体性に欠けた発表、規制の問題がある、がっかりだなどとネガティブなナラティブに仕立てていますが、それはいつものこと。やはり新しいテクノロジーで人類の繁栄に貢献しようとしている、テスラとイーロンの挑戦はいつでも応援したくなります。

そして、イベントで発表されたプロダクトはロボタクシー(サイバーキャブ)・ロボバン・オプティマス。1500人以上の参加者が集まったロサンジェルスのワーナーブラザーズ・スタジオではプレゼンの後に実際にサイバーキャブの体験ができたり、オプティマスが踊って喋ったりと色々なコンテンツがあり、テスラファン向けの大きなパーティーという一面もありました。

今回、記事でフォーカスするのは、このロボタクシーがこれまでの車の保有や交通をいう定義を根本的に変え、破壊的革新を起こすということです。

画像:Tesla Inc.

安全性と効率の向上、安価なサービス


イーロンはイベントの中で、現在のFSD (自律運転機能)はSupervised(監視下)であるが、今後Unsupervisedになり、それは人間が運転するよりも10倍以上も安全性を高め、人の命を救うことに貢献するとしています。また、ロボタクシーの運営コストは、将来的に1マイル(約1.6km)はたった20セントになるだろうと述べています。

現在、バスのオペレーションコストは1マイル1ドル程度と言われているので、20セントは圧倒的な安さです。実際に乗客が支払う料金についても、税金やその他費用を含めても1マイルあたり30〜40セントになるだろうと述べていました。今の日本のタクシーの初乗り料金と比べてみてもそのコスト差異は明らかです。化石燃料で人間がオペレーションしている以上、今よりコストが上がることがあっても、下がることはないでしょう。

タクシーやライドシェアは人間の運転に頼っている。その人間を置き換えることでコストは低くなり、休みもなく24時間稼働できる。そして、さらに重要なのは安全性も高まるということです。最近、カルフォルニアのテスラユーザーがSNSにアップしているFSDの進化や新しく追加されたASS(Actually Smart Summon サモン召喚機能)を見ても、街中、高速道路など多くの状況でテスラの自動運転は精度を増しています。車に配備されたカメラ、これまでの何億マイルもの走行データと加速するAIによる学習。多くの状況で人間が運転するより確実に安全になっています。

近い将来、車の運転はぜひ車にお願いしたいという時代が来るでしょう。イーロンもエレベーターは昔は運転する人がいたけど、今は無人だと述べていました。従来は人間が一生懸命やっていたマニュアル作業は機械やロボットが行うことで、安全と効率は確実に高まり、コストも下がっていきます。エレベーターだけでなくとも、電車の自動改札、工場の自動化、私たちの身の回りを見渡しても多くのことが挙げられるのではないでしょうか。

もう一つ、注目すべきは、これまで色々と議論があった充電もインダクティブ充電を採用し、ワイヤレスで充電が可能になるということです。インダクティブ充電(感応充電とも呼ばれる)は、電磁誘導を用いてエネルギーを無線で転送する技術ですが、これによりサイバーキャブは充電器の挿入口なども車体にありません。サイバーキャブは自らの車両の充電状況や車内状況を管理し、必要があり次第ワイヤレス充電を行うためにステーションに戻ってきます。

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