卒業研究「エビ中とは?」④
いそきんと子分達
低学年メンバーが加入し育って行く中で、エビ中を去ったのがかつては「末っ子」だった柏木ひなただ。
ココユノノカの主にパフォーマンス面の教育係だった柏木。
時にはグループのため、ココユノノカのために強く言うこともあった。「BOSS」と呼ばれたのはある意味必然で、柏木自身が「誰かが強く言わなければいけない」という部分を担ったからだ。
そして柏木がかつてから担っていた二代目ダンス部長という地位は元メンバー瑞季から受け継いだ役割であり、パフォーマンスを大事にするエビ中の根幹部分を担うものであった。
強く言うのには理由があり、物事には歴史がある。何より柏木には愛情があった。自分が末っ子として育ったエビ中というグループへの愛情。加えてココユノノカへの愛情。
強く言われてもついてくる3人は文字通り子分のようだった。言う方も言う方ならついてくる方もついてくる方だ。子分達もまた愛情のわかる子分達だったのだろう。
そういえば末っ子だったBOSSにはもう2人妹分がいた。
2014年に加入した小林歌穂と中山莉子の「かほりこ」は教育係の安本彩花に育てられたのだが、この時も柏木はパフォーマンス面の指導を請け負っていた。
安本彩花、廣田あいか、松野莉奈との1998年生まれの同級生ユニット「くっつきブンブン」に属していた柏木だが、このメンバーで加入が1番遅く実は1999年3月の超早生まれだった。2000年6月生まれの小林とは1年ちょっとしか変わらない。
そして柏木には同期がいない。当時謎の研究生扱いされ、1人で加入したエビ中では珍しいメンバーだ。
末っ子というだけでなく見方によってはちょっと特殊な環境にいた柏木は、エビ中という大好きなグループにおいて自身の経験からどうすることがベストかを常に考えていたのだろう。
ただこれは普通ではない。
パワハラが問題視される現代においてもどうしてもある人間の妬み嫉みに嫌がらせ。
先輩からの圧力を経験した後輩はそのさらに後輩に自身の経験した圧力をかける悪しき慣習が裏では消えてないなんてことはままある。
柏木が加入した頃のエビ中は今よりもピリついていた。べつにかつてのメンバーが悪いというわけではなく時代の違いだ。当時はメンバー同士の年齢差も近いし何より全体の年齢自体が低かった。
柏木が経験したピリつき、それを後輩に経験させる。そんなことがあってもおかしくない。
だが柏木が後輩に強く言うのはそういった負の要素ではない。だからこそ後輩はみんなついてくる。ココユノノカだけでなくかほりこもそうだったのだろう。
柏木が面倒を見たかほりこもまたココユノノカの教育係の一旦を担った。間違った部分を大らかに教える小林とワーッと言う中山といった感じらしい。それもおもしろいが、結局初代ダンス部長が瑞季だった頃から脈々とエビ中の教えが受け継がれているのを考えるとエビ中というグループの奥深さを感じる。
柏木がグループを卒業する前に『柏木企画』という公演が4つのコンセプトに分けて行われた。
タイトルの通り柏木自身が企画したものだ。
そのうち2つは「かほりこ」との『いそきんトリオ』、「ココユノノカ」との『BOSSと子分達』だった。
もしエビ中が加入した柏木に「このグループ嫌い!」と思わせるようなグループならばきっとこんな企画は行われなかっただろう。
初代ダンス部長ら3人のメンバーがエビ中を去る時にこんな光景を想像した人がいただろうか。
瑞季さん。あなたの後輩はちゃんと育って、立派に後輩を育てましたよ。
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