健康診断が有効活用されていない
私は元看護師のフィットネストレーナーです。
それゆえ健康診断のためにダイエットをされる方も多く、健康診断の結果を生徒様が持参し、相談されることが良くあります。
実はその時、「え?今まで何も言われなかったの?」と驚くことがあります。
健診の結果が安心できるものではないのに、疾病予防のための行動を何もとっていなかったり、年々健診結果が心配な方に向かっていても、何も気にしていなかったり、ということがあるからです。
今回は是非、皆さまもご自身の健康診断の結果を見ながら確認してください。
そして、自分のみならず、会社の従業員の健康診断の結果にも思いを馳せてください。
1.健康診断の結果を理解しているか
定期健康診断の受診率は健康経営を進めるうえとても重要です。
各企業によって、健康への意識が異なりますので、経営者の受診状況をはじめ、従業員の受信率も異なります。
会社の組織体制によっては産業医や保健師を設置し、積極的に取り組むところもありますが、会社の規模が小規模になるほど、受診率が低いと言われます。
ただ、私は、受診率のみならず、健診後、健康診断の結果に対して
◎どのようなフォローアップ体制が設定されているのか
◎実際、従業員がフォローアップをどの程度活用しているのか
も非常に重要だと考えます。
と言いますのも、健康診断を受けても、結果が送られてくるだけで、そのままにしている、という方が多いのです。
そうすると、結果によっては、生活習慣の改善による疾病予防が必要だったにもかかわらず、何もせず、気が付いた時には、投薬や入院などの治療が必要な状態になっていた
ということになりかねません。
こうなってしまう理由は
・健診して結果をもらい、一通りチェックはするものの、データの意味が分からない
・問題があれば、別途手紙が送られてくるので、何も送られてこないということは、自分は大丈夫だ、と考える
というケースがほとんどです。
私のトレーニングを受講してくださっている生徒様も
健診結果が年々悪化していても
いわゆる「C」や「D」の判定だとしても
「病院から何も言われないし、再検査を勧める手紙も送られてこないから、このままで大丈夫なんだと思っていた」
とおっしゃる方がほとんどです。
健康診断の紙に
「次回検診時に検査が必要です」
「定期的な血圧測定が必要です」
と書いてあるのですが
「そうなんだ、次回に検査が必要なんだ」
としか思わない方がほとんどです。
この段階では産業医や保健師から
「疾病予防のために、今から生活習慣の改善が必要ですよ」
と言ってくることがほとんどないようなのです。
積極的に産業スタッフ側から言ってくるのは、相当しっかり従業員の健康管理をしている企業くらいです。
私はあまり聞いたことがありません。
会社に産業医や保健師がいて(契約していて)、自由に無料で相談できるとしても、健康診断の結果について、一般の方は詳しい知識がありません。
そのため
「まだ相談しなくても大丈夫だろう」
と考えてしまい、そのままにしてしまうことがほとんどです。
皆様はいかがですか?
しかし、実は、ここの認識が、今後の健康を左右するので
何も言われない
保健指導がない
からと言って、そのままにしてしまうのは危険です。
2.健康診断の結果から予防行動を起こせているか
もし
「次回検診時に検査が必要です」
「定期的な〇〇測定が必要です」
などとコメントが書かれていたら
ぜひ、こう読み取ってください。
「今は治療が必要なほどではありませんが、体の状態は良くはありません。それ以上悪化させないよう、今から疾病予防のための行動を取りましょう」
といいますのも
このようなコメントが書かれているということは、
【検査結果が基準値からはみ出している】
ということ。
つまり
「体に何か異なることが起こってます」
というお知らせだからです。
と、いうことは、
「今すぐ病気として治療をする必要はないかもしれませんが、生活習慣の改善をしていく必要があります」(一次予防)
ということでもある、と私は考えます。
*注意*
検査結果の内容によって異なりますので、総合的な判断は医師による問診や診察が必要です。
しかし、
「へー次回に検査すればいいんだ」
だけで終わってしまえば、次回の検査までに予防行動を取ることはないかもしれません。
例えば
お酒の飲み過ぎで「脂肪肝」という表記があったり、肝機能の状態を表す検査結果が基準値外で経過観察だったとします。
上記のように捉えることができていれば
「これはまずい、お酒を控えて予防しないと、次の検査でもっと悪くなって治療しなければいけなくるかも!今日から気をつけよう」
(=一次予防のための行動を取る)
と考えて予防行動をとれますが、そうでなければ
「次回に検査すればいいんだな」
とだけ考えて何もせず、ほったらかしてしまうかもしれません。
そしてこれまでと変わらず、お酒をたくさん飲んでしまう方がほとんどでしょう。
そしたらどうなると思いますか?
そのうち健康診断で
「治療が必要です」
「薬を飲みましょう」
「ひどくなっています。手術が必要です」
などと言われるかもしれません。
病気になってからでは遅いのです。
病気になる前の予防が大切ですよね?
こうやって毎年健康診断を受けてはいるものの、健康診断の結果の意味が分からずにそのままにしてしまうと
疾病予防のための行動を取ることができず、薬を飲んだり、手術をしたりと、治療するまでに至ってしまう可能性が出てきます。
「健康経営」の重要性を知っていらっしゃる経営者様なら、それがどういうことを意味するのか、お分かりかと思います。
良くないですよね。
3.フォロー体制の重要性
このようなことから、健康診断を受けた後のフォロー体制は大変重要です。
健診の結果が来たら
「まず各々がしっかり目を通す」
「予防のための行動が必要な項目(基準値外の項目)がないか確認する」
ここまで各自で出来るように、セミナーなどで健康教育の機会を提供することをお勧めします。
ちなみに、基準値から少し外れているくらいなら大丈夫、という考えは捨てた方がいい、というのが私の考えです。
なぜなら、私たちは年を取ります。
年を取ると「悪い生活習慣を変えずに、何もしないで体の機能が良くなる」ということはほとんどありません。
年を重ねていくと「これくらいなら大丈夫だ」と過信して、何もしないでいる方が、リスクになることがずっと多いからです。
特に年齢が高くなればなるほど、これまで慣れ親しんできた生活習慣を変えるのが大変になります。
だからこそ、基準値から外れている項目があれば、若いうちから自分の健康を考え
「予防行動を計画する」
「予防行動を開始する」
ということを実施していく方が、良いのです。
ということで、是非「たったこれくらいで?」と思わずに取り組んでくださいね。
ちなみに予防計画は、専門知識が必要なので、産業医や保健師など産業保健スタッフにまず相談し、一緒に行いましょう。
会社に産業保健スタッフがいない場合は、外部リソースを活用し、フォロー体制を少しずつ整えていきましょう。
今は健康関連の様々なサービスがどんどん拡充されています。
金銭的に余裕がない、という場合は、地域産業保健センターにご相談ください。無料で相談が受けられます。
4.まとめ
私は元看護師のフィットネストレーナ―です。→プロフィール
そのため、
病気になることがいかにデメリットが大きく、健康でいることがいかにメリットが大きいか
を良く知っています。
先日血液検査をしたのですが、すべて基準値内に収まっていました。
とてもうれしく、気持ちよく、清々しいものでした。
一方、これまでいろんな人を見てきました。
・健康診断の結果が良くなくてもほったらかす人
・健康に気を付けたいのに、健診結果の意味が分からず、予防できていなかった人(理解して取り組み改善した人)
・健康でいたいから、と運動や食事に気を付け出す人
・悪くなってから相談に来る人
人それぞれです。
しかし私のところにいらっしゃる生徒様は、健診の結果を持ってきたとき、私に
「今からちゃんと生活習慣整えないと、怖いよ」
と言われると(脅されると?笑)、ちゃんと理解し、運動や食事を変えて疾病予防に取り組むようになる方がほとんどです。
そしてきちんと取り組んで、健診結果が改善していくと皆さんとても喜びます。
やはりうれしいものですよ。
そんな私の役割は
健康な人がずっと健康でいられること。
健康をベースに夢を実現してイキイキ生きる人を一人でも多く作ること。
そんな社会を創ること。
何度も言いますが
病気になってからでは遅いのです。
健康を維持増進することが大事です。
これからも、これまでの経験や知識を生かして、様々なことを発信し、社会に貢献していきたいと思います。
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