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作家ポートレイト7(山田風太郎他)
山田風太郎さん、天才ですよね。
忍法帖の忍術は超能力。修行して手に入る術とかそんなんじゃないです。「忍法帖シリーズ」はすべて特殊能力バトルです。そういう意味では日本の漫画の基礎をつくった方ですね。ご本人は漫画家でなくて作家ですが。
膨大な著作があり、もしどれか一冊を誰かにすすめるなら「幻燈辻馬車」でしょうか。忍法帖ではないです、ハイ。基本は一話完結ですが、全体を通して大きな謎解きがあります。妻を殺した犯人は誰なのかと。アメリカの連続ドラマのような構成です。
展開もひねりというか皮肉があります。善と悪が入れ替わる。組織に善悪はなく、個人の行動と立場があるだけ。
もう1冊は「魔群の通過 ─天狗党叙事詩」です。読み終わったらどんよりすること確実。
ちなみに山田風太郎の作品に出てくる女性は基本的には2種類。性根のまっすぐな美人か妖艶な美女。妖艶な人はほぼ確実に不幸になります。その不幸っぷりがいつも凄惨です。
ボリス・ヴィアンさんを初めて読んだのは「日々の泡」(新潮文庫)でした。早川書房からは「うたかたの日々」というタイトルで出てます。
「20世紀の恋愛小説中もっとも悲痛な小説」と評されているという謳い文句につられて読んでみたら、すごくシュールでなんじゃこりゃと。
肺に睡蓮が育つという奇病に冒されたヒロイン、しゃべる動物、動く無機物。言葉遊びのようなものが続きますが、気にせずに読み進めていくと登場人物たちの純真さが伝わってきます。駆け引きも裏切りも一切なし。
恋人を助けるために彼女の周りに花を絶やさないとか、ロマンチックとシュールの絶妙なバランス。読んだ当時は「ふーん」って感じだったのですが、20年以上経ってるのにときどき思い出す不思議な味わいです。
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