【#049】横倉クリニックの始まり
病院外来での患者さんと接し方が今の形になったのは、30年前の勤務医時代にさか上ります。
勤務医時代の病院は、外来が初診外来、再診外来、産科外来の3人の医師で担当していました。
私はその日は再診外来を担当で、初診と産科外来の2人の医師が両脇に並んでいました。
外来では、厳しい部長に患者さんと接する態度、言葉づかいを一言一句決められていました。その部長が退職した当時は、患者さんとは自由に話ができるようになりました。
その日も、2人の医師たちは患者さんと自由に話していて、患者さんも医師の言葉も納得して聞いていました。
しかし、どんなに丁寧な言葉、親切な言葉で話しても、その医師の普段の人格が出ていたのです。
そこで私は患者さんの前ではもう飾らないで、自分の言葉で自分らしく態度も話し方も、自分の人格を前面に出した外来を始めることにしました。
するとなんと私の外来の受診者が増えて行ったのです。
私は受診した患者さんやスタッフに何故だろうと聞いてみました。
すると返ってきた言葉が「気落ちして病院に来たのに、先生の外来を受診すると、なぜか元気になって帰れるのです」と言われました。それ以来私の外来は変わりません。
そして、開業した今でも、患者さんは「先生の外来は全く病院らしくない」と言います。