【#035】人の心が動くとき
入院中の病棟では、私はベッドに寝ていることがほとんどありませんでした。
病室の椅子に座って、クリニックのスタッフが登録してくれた映画を観るか、病棟のラウンジで本を読んでいるか、まじかに見える朝昼夕夜の東京タワーを見ているか。ブログの原稿書いているかでした。
時々、想い出にふけることもあったり、ラウンジに来る他の患者さんと話すこともありました。
そんな中の一人に、ラウンジではほとんど話したことのない私より年上の男性で、いつも窓際の椅子に座って外ばかり見て一日を過ごしている患者さんがいました。私と他の患者との話を聞いていたのでしょう。
私が毎朝、外来ロビーを10周回っているのを聞いていたらしく、私が歩いているのを見て、私と同じように歩き出したようでした。
そして私に話しかけてきました。
以前から病気で入退院を繰り返して治療を続けているそうでした。初めは医師や看護師さんの言うことを聞かず、その方はベッド縛りつけられたこともあったようです。
そして私の話を聞き、私が一階ロビーで私の歩く姿を見て、歩いてみたと話していました。
人を元気づけるのは、言葉ではなく、私の生き様を見てくれた方がよさそうです。