汝なにを欲するか?

どうもこんばんは。

久々の雨に辟易しています。

そしてそのような中で献血に向かってくれた皆さん、本当にありがとうございます。

今回は個人として学推に加盟した経緯と、そこから何を求めて活動を続けているのかについて話をしたいと思います。

そもそも聞きたいのですが、みなさんは

「献血サークルに入りなよ、楽しいよ!」

と言われて

「え、なにそれ参加したい!」

と思うものなのでしょうか? 

きっと思わないでしょう。

少なくとも、かつての僕なら「おいおい、それはごめんこうむりたいぜ」と頭ごなしに断ったことと思います。

じゃあなぜ今、僕がこうやってあれこれと活動しているのか?

病気をして輸血で助けられたから、少しでも恩返しをしたいから

と、いうのは4割本音で、6割建前です。

僕はそれほど崇高な人間ではない。

そもそも僕が学推へ加盟するきっかけになったのは、昨年行われたミスター九大に出場して、ツイッターで広報活動をしている時にたまたま学内献血のお知らせを見つけて、「あ、これ使ったらもっと自分のこと知ってもらえるかも」という浅ましい思いを起こしたことでした。

自身が半年前まで闘病していたことを暗に公表してはいたのですが、それを明確に提示するきっかけがなかった。つまりは自分から「僕は白血病だったんだ」と告白する勇気がなかったのです。そこで偶然見つけた献血のポスターは、自分が闘病した事実を自然と提示できるツールとして機能してくれました。

そしてそれを見かけた、学推の旧会長さんである松島くんが声をかけてくださって学推に加盟することになりました。学推が何をしている団体なのかはほとんど知らないままに、活動に参加することになったわけです。「とりあえず献血に関連する、バックに赤十字がついたまともそうな団体」くらいのイメージしか持ち合わせていませんでした。


話は変わりますが、僕は「意識高い系」が苦手です。「学生団体」なんて言われるともっと苦手だし、「学生ボランティア団体」とかまでいくと蕁麻疹が出てくるタイプの人間です。あとは「能力がないくせに口だけは達者なあいつ」や「自分を過大評価しているそいつ」も苦手です。

けど僕は今、この学推という場で割と楽しく活動しています。

なぜか。

なぜでしょう?

「ヒロイズムに酔ってんじゃないの?」

「いいヤツぶってんじゃないの?」

「目立ちたいだけなんじゃないの?」

いろんなことを考えてみましたが、どれも少しだけ正解で、ほとんど間違いです。

じゃあなぜ、学推という場での活動を楽しむことができるのか?

「頭をつかって論理を実装した結果が、具体的な数値として現れるのが楽しいから」

これに尽きると思います。

例えばこんな例。

福岡赤十字では、定期的に「キッズ献血」という、小学生以下の子供たちに献血に馴染んでもらうことを目的としたイベントが行われています。イメージとしては「お医者さんごっこ」のようなものだと思ってください。イオンモール内に設置されたブースで、子供達に献血の流れを体験してもらいます。ナース服などを着て記念写真をとったり、献血マスコットキャラクターのチッチちゃんと写真撮影ができるブースも設置されています。もちろん模擬なので、針を刺すことはありません。

さて、あなたは学生ボランティアとして呼びかけを行うことになりました。あなた自身も成り切る必要があるため、男子ならお医者さんの白衣を、女子なら看護師の制服を着ています。

Q. どういう呼びかけを行えば、効果的に集客できるでしょうか?

例えば、何も知らない人たちに対して「キッズ献血ができます」という呼びかけを行うだけでは意味が通りません。「キッズ献血っていう、子供達が模擬献血をできるイベントがあっていて、それで、チッチちゃんと撮影できて……」というのもあまりに情報が多いし、何よりもそれほど長い文言を呼びかけとするのは大変です。絶対噛みます。それに恥ずかしい。

では、抑えるべきポイントは何か?

1. 簡潔なフレーズであること

2. 相手の関心を惹く情報を伝えること

ではないでしょうか?

この2点に注目して出された答えが以下の通りです。

「キッズ献血行っております。針を刺さない献血ごっこです。最後はナース服を着て写真撮影もできます」

ポイントは「キッズ献血=針を刺さない」という点を盛り込んだこと、「ナース服を着て写真撮影ができる」という点を強調したこと。いずれの文言も、「小学生以下をターゲットにしたイベントであり、意思決定はどちらかというと親御さん側に重点が置かれている」ことに注目しています。


「キッズ献血=針を刺さない」

内容を知らない人たちにとっては、どうしても「献血=針を刺す」というイメージがつきまといます。また、実際に呼びかけをしていて多かった質問は「けど、針を刺すんでしょう?」というものでした。

ですが前述した通り、キッズ献血では針を刺すことはありません。これを事前に伝えることで、親御さんや子供たちの不安をひとつ事前に取り除くことができますし、伝えたいことも明確にできています。

「ナース服を着て写真撮影ができる」

「やっぱり可愛い子供の姿は、写真として残したいもの」と思っているのかどうかはわかりませんが、やはりいつもと違う場所やいつもと違う服装の時は、写真に納めたくなるものでしょう。そしてまた、ちびっこは何かになりきるのが好きなものです。そういう点を抑えることで、イベント内容よりも先行して「写真が撮れる」という感情を揺さぶり、結果としてイベントへの動員数を増やすことができるのではないでしょうか。

結果発表

この2点を抑えた呼びかけを行った際、少ない時であれば30名程度しか動員できないイベントに、120名以上を動員することができました。ちなみに我が物顔で書いていますが、これをやっていたのは他大の1年生の女の子でした。すごい。


上にあげたのは実地での活動の一例ですが、定例会などではより根本的なところに根ざした「若い献血者を増やすための戦略」を話し合い、それを実装して反省、改善するということを意識は高くないままに行っています。PDCAサイクルなんて言葉は出てきませんし、ブルーオーシャンなんて言葉も、もちろん誰も口にしません。あくまで楽しみながら、戦略を練るわけです。だってつまらないの嫌だもの。


さて振り返ってみればそもそも

Q. どういう呼びかけを行えば、効果的に集客できるでしょうか?

という問いを自然に建てたわけですが、これが誰にでもできるかと言われるとそんなことはありません。惰性で適当に呼びかけたって活動していることには変わりはありませんし、しらばっくれてフードコートでアイスクリームを食べても、バレなければ文句は言われません。けどそんなことをしたって何にもならないし、第一に面白くないじゃないですか。せっかくなら考えて、面白く活動したいものです。

まとめ

僕が学推で活動をしているのは、崇高な理念があったりヒロイズムを礼賛している…というよりは、純粋に面白いからやっている。それが大きな要因です。

そして考えた末の結果がうまくいかずとも、だれか1人でも、自分の呼びかけで献血に足を運んでくれた人がいたらそれはそれで嬉しいものです。100人に呼びかけて100人全員が献血に来てくれるわけではないですが、100人全員に献血を断られることもおそらくありません。

そういった少しの喜びや、大きな考えを実装してみたい人と一緒に活動できることを楽しみにして、この文章を終えることとします。