秋の入口を跨ぐ8月21日。通り抜ける晩夏の風とお米のかおり。
街へ向かう細い県道。軽自動車の窓を全開にして、まだまだ暑い夏の日の風を吸いながら移動する。
ここ一週間くらい窓の外から入ってくる風に、なんだか嗅ぎ覚えのある匂いが混じっている気がして、頭の中にある匂いの引き出しを開けてみる。少し探してどうやらそれは普段食べている玄米の匂いそっくりなもんで、「あぁこれは出穂した稲の匂いだ」と気づいた。
一度自覚すれば強く意識できるのに、これまでお米の香りというものひどく無自覚であった自分に驚いた。盆過ぎの田舎道はお米の匂いがこんなにも香るのか。
2日前くらいから上空の寒気と日中の地表付近の高温で積乱雲が発生しやすい状態が続き、午後は日本のどこかしらで夕立が発生している。岐阜県も例に漏れず、昨日は下呂、高山あたりで雷雨があった。今日も午後から入道雲といわれるやつらモコモコと空高くめがけて膨らみながらあたりに雷鳴を轟かせ始めていた。
すでに水平線を潜ってしまった太陽の光は僕らが見上げる空にはまだ届いていて、長く長く大気を通ってすっかり青や緑の光を失ったオレンジともピンクともいえないはっきりしない色を雲に映してくれる。
この不思議な色を映した雲は地上の色もまた塗り替えて、なんともホワイトバランスがくるったような色の中を僕らは歩く。そんな風にして跨ぐ秋の入口。
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