英語を読むスピードをあげるにはどうすすればいいですか?
学生から英語学習についての相談をうけました。
英語を読むスピードをあげたいと。
香港の中学校・高校の英語教育における skim と scan という練習の方法をご紹介します。両方とも、短時間で大量の文章を読み、情報を得るための方法です。
skimというのは、長い文章を概ね理解することを指します。英語文章にはある規則があって、それを掴めば、短時間のなかで文章を単語一つ一つ読む必要がなくなります。例えば、
Since I joined the exchange program to Japan in 2003, I found Japan is a very convenient and comfortable place for living, particularly in terms of safety, natural environment as well as infrastructure.
ぱっとみて文章が長いですが、概ね、日本は便利で住みやすい場所という意味です。skim手法では、英語文章の構造をこのように理解すると、読む速度がだいぶ上がります。つまり、この三つのパーツから構成されるパターン。
since………, I found………, particularly………
sinceみれば、これは導入、particularlyをみれば、さらに具体的な言う部分、残りの真ん中の部分は、主な意味を表す部分、という理解になります。
この構造的な理解を前提にして、短時間では、真ん中の部分を読むだけで、概ね文章の意味がとれます。
scanというのは、長い文章に対して、ある特定の情報を短時間で得るための方法を指します。基本的に、特定の情報に関連するキーワードをscanして読む必要な部分だけをターゲットします。例えば、コロナの影響で来日する留学生の推移を知りたいとの目的なら、関連の資料を読むとき、コロナをキーワードとしてその影響に関する部分を特定し、なかの数字のキーワード、時間のキーワード、国名(国によって推移が異なる可能性)をscanでターゲットして、周辺の部分だけを読むことにします。資料のなかでおそらくほかの部分もあると思いますが、例えば、日本留学の背景(導入の部分)、コロナが現れる前の状況、コロナの影響をどのように理解し如何なる対策をとるか、などがあるかもしれません。でもそれらの部分は、コロナ影響による来日留学生の推移ではないので、時間が限られたなかでは、スマートに読まないようにしておきます。
scanは、言語に問わず大量の情報のなかで特定の情報を得るための方法なので、日本語教育または情報教育のなかにもあるはずです。
ところが、skimという手法については、日本へ留学しさらに日本の大学で仕事してから、日本人学生から聞くと、あまり習ったことがないとの答えが多いです。では日本でどのように英語を習ったのですかと聞くと、文法、単語、日常会話のパターンくらいかなと。とくに文法は厳しく、まるで正確性の研究みたいに求められると。
多くの学生は、将来英語文法の研究者になるというわけではありませんし、今の国際社会・情報社会におけるコミュニケーション力と情報収集力がたいへん重要ですので、そこに焦点を当てた英語教育が望ましいです。
以上、少し香港の英語教育の紹介になりますが、ご参考になれば幸いです。