
【正答率74.7%】山形鋼を用いた筋かい材の有効断面積に関する問題【一級建築士試験】
【問題】
山形鋼を用いた筋かい材を材軸方向に配置された一列の効力ボルトによりガセットプレートに接合する場合、筋かい材の有効断面積は、高力ボルトの本数が少ないほど小さくなる。
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【解説】
答えは「〇」。
各種構造のうち、「鉄骨構造」、「鉄筋コンクリート構造」は例年4門ずつ出題されている。
苦手な人も多いかもしれないけど、克服してしまえば、“8/25点”をゲットできるというボーナスゾーンだ。 出題されるかされないかわからないSRC造の学習よりも、まずはこの分野をマスターすることが先決だ!
=== POINT ======
筋かい材の有効断面積って?
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筋かいの有効断面積に関する問題は頻出問題だけど、理解していない人も多いんじゃないかな?
「有効」断面積ということは、「無効」と判定されている箇所もあるってことだ。
では、“山形鋼”の断面積を求める際に、なぜ「有効」部分と「無効」部分に仕分けされてしまうんだろうか??
まず、筋かいを取り付けるためにはボルト接合が必要だから、そのボルト孔については断面積に含めちゃいけないってのはわかるよね?
もう一つは、山形鋼を筋かい材として用いようとした場合、山形鋼が引っ張られた際にその引っ張りの中心軸と、ガセットプレートの中心軸がずれて(偏心して)しまうということ。
だから、この偏心の影響を考慮するために一部の部分(突出脚)を有効断面積から除外するようにしているんだね。
ここで、ボタン付きのシャツを持ってきてほしい。 ボタン(ボルト)を1つだけつけた場合とボタンを全部つけた場合を比較してみよう。
ボタンを1つだけつけた状態で、シャツの左側(ボタンが取り付いている方)を掴んで下側に引っ張ると、シャツの右側(ボタン穴がある方)には引っ張った力の及ぼす範囲が少ないのがわかる。
一方で、ボタンを全部つけた場合、同じようにシャツの左側を下側に引っぱると、右側も全体的に引っ張られているのがわかる。
引張り力に対して「効いている」範囲(面積)が全然違うのが実感できるずだ!
ボルト本数が多いほど、筋交いを引っ張る力が柱・梁フレームに伝達しやすい状況と言えるから、有効断面積も多めに見ても良いってことになるんだね。
以上より、
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山形鋼を用いた筋かい材を材軸方向に配置された一列の効力ボルトによりガセットプレートに接合する場合、筋かい材の有効断面積は、高力ボルトの本数が少ないほど小さくなる。
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とした設問は正しい。
【まとめ】
ボルト孔分の断面積は、全断面積から控除する
筋かいのボルト本数を多くすることで、荷重の偏心の影響を少なくすることができる。