苦しかった日々
俺は一時とある人の運転手兼秘書をしていた
Aさんと呼ぼう
Aさんは一代で会社を興し莫大な資産を持ち
全国に名を轟かせていた
しかし成功者というのは
自分が正しいと思っているから
人の進言など聞かないし
とにかく自己中心的で わがままで
理不尽な事ばかり押し付けてくる
そのうえ俺は一年365日のうち330日位は
朝から晩まで身体を縛られた
電話が3回鳴って出なければ
クソメソに怒鳴られた
だから寝る時は常に携帯は頭の上に置いてあったしサウナに入る時もタオルに携帯を巻いて入っていた位だった
車の運転にも厳しくちょっとでも車を揺らしたら
容赦なく後部座席から殴られた
やっとの事で休みが貰えた日
久しぶりだからと出かけていても電話が鳴り
「すぐ来てくれ出かけるから」と言われ
「すみません出かけてます」と言っても
ガシャっと電話を切られた
俺は仕方なく一緒にいた女をその辺で降ろし向かった
行ってみると大した用事でもなく
他の奴でも済ませられる様な用事だった
そんな毎日だから誰が就いても長続きしない
厳しく 理不尽な事ばかりな毎日だから
Aさんの秘書に就いて過去3年もった奴はいなかった
そんな中俺は秘書を13年くらい続けた
奇跡だった
「適当なKenなんかどうせ続かないよ」
陰で言っているヤツらの言葉も耳に入ったが
逆にそれがバネになった
俺にとっては「見てろよ」と。
でも何度も辞めようと思ったか数え切れない
だけど何故かな
俺の中の意地がそうさせなかった
仕舞いにはこれでケツを割ったら俺の負けだと
自分に言い聞かせ
自分自身との戦いだと思っていた
毎日毎日理不尽な事を言われ
反論する事も出来ず極度のストレスから
俺は精神障害を発病した
大好きな車の運転も出来なくなったどころか
言葉を発する事すら出来なくなってしまった
診断の結果 「統合失調症」と言われた
昔でいう「精神分裂症」だな
夜中にパニックを起こす事も度々あった
昼間何でもない時に突然ダラダラ汗が流れ出し
身体が震え動けなくなった事もあった
常に神経が張り詰めているから気が休まらない
だから睡眠障害も起き睡眠薬を服用する様になった
しかし睡眠薬を飲むと寝れるけれど
日中眠気が襲ってくる
Aさんの運転をしていても
車内ではテレビや音楽を聴く訳でもない無音で
眠気は更に増していく
俺は眠気が起こると気づかれない様に
安全ピンで自分の太ももを刺しながら運転していた
そして間もなく潰瘍性大腸炎も発病した
かなりの重症だった
潰瘍性大腸炎との因果関係に確証はないが
日本の医学会では潰瘍性大腸炎はストレスから起こる事が原因だと言われている
現に安倍元総理も第一次内閣の時にストレスから
潰瘍性大腸炎を発病し
総理の座を降りた事があった
俺は首に3本も管を刺され
3ヶ月間絶食し 半年間入院した
苦しかったなあの時は
それでも体調が戻ってからもまた秘書を続けた
俺は恥ずかしながら精神障害2級
今でもそれは引きずり
たまにおかしくなる時がある
でも俺はAさんを恨んでいない
何故かって?
その分強くなれたからだ
ちょっとやそっとの事では動じない心を養えた
そして何よりシャブに溺れ廃人となっていた
俺を救ってくれた
その恩義が忘れられなかった
シャブなんてやるもんじゃないぞ
一時の快楽だけで その代償は計り知れなく大きい
金を無くし 信用を無くし 人を失う
仲間に無理やり勧められ
いくら断っても相手は効いてるから帰らない
根負けして仕方なく1度やった事が命取り
俺はそこからどこまでも落ち続けた
その為にどれだけ遠回りしてしまっただろうか
俺はいまだに病気を引きづり確かにつらいけど
俺を救ってくれたAさんを恨んでいない
人間ってもうダメだ もう限界だって思うとき
誰でもあると思う
自分の中の限界 キャパシティ
でもその限界を押し切って乗り越えると
不思議と自分の中のキャパシティって
広がるものなんだよ
俺自身が経験しているから間違いない
意図的じゃないけど
それをAさんが教えてくれた様なものだ
限界を超え上のステージへ
また限界が来て乗り越え上のステージへ
限界に負けて挫折するか
限界を乗り越え上のステージへ昇れるかは
自分次第
自分の中の限界を超えるのって楽じゃねぇぞ
でも俺は自分自身に負けたくなかったんだ
だから今がある
あの時挫折していたらきっと今はない
かと言っていま金がある訳じゃないし
ギリギリの生活してるけど
何とか見栄張ってAMG転がして
うまいもの食べたり
旅行したり
ゴルフしたり
noteを書いたり
Twitterやったり出来ている
そう、俺は今日も生きている
つらく苦しい事なんて
口にしないだけで誰もが背負っていると思う
くだらない俺の生きてきた道を
最後まで読んでくれてありがとう
明日も負けずに頑張って「生き」よう