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AIと人事の相性は意外といいのかもしれない

生成系AIは2001年宇宙の旅のHAL9000か?

2022年11月に生成系AIの一つであるChatGPTが登場しました。自分はChatGPTにかつて観たSF映画「2001年宇宙の旅」(1968年)のHAL9000型コンピューターを彷彿させられました。
人と対話することが可能な生成系AI。
生成系AIは「人が書く言葉を単語の出現確率でモデル化したもの」で、非常に巨大なデータセットとDeep Learning(深層学習)技術を用いて、「ある単語の次に来る可能性が確率的に最も高い単語を順次出力する仕組み」だそうです。ゆえに、その学習データとアルゴリズムにバイアスが入ると、生成系AIは不確かなことをまるで確かなことであるように文章を生成する可能性があるため、人は常に生成系AIが作りだした成果物を判断することを求められます。正誤の問題というよりも、それをそのまま信じて人間がアクションを決めていいかどうか?、その判断力まで人が失ってはいけないということだと理解しています。

一方、このテクノロジーの可能性を考えると、人のあいまいな記憶、時にはそこに思い込みが作用して記憶(記録)を歪めてしまうかもしれないリスクを縮減することができるとも思えます。
これまで人事が扱っている情報(データ)のうち、勤務、給与といった符号化しやすいデータは構造化されてきましたが、人材に関するデータはかなりの部分がまだ定性的な、文章として保存されていると思います。
こうした定性的な、つまりテキストデータは非構造なデータであるが故に、検索性においても必ずしも優れず、扱いにくいデータでした。
また、定性的なデータを要約しようとすると、要約を担当する担当者のセンスだけでなく、その人の目アンコンシャス・バイアスの影響も受けざるを得ませんでした。担当者には特段の意図がなくともアンコンシャス・バイアスの影響を受ける可能性はあります。
しかし、生成系AIの機能を正しく理解し、適切にデータセットを用意してAに学習させたら、人のバイアスが入らない「まとめ(要約)」を、しかも人並以上のスピードでやってくれる可能性があると私は考えます。
人が人であるが故に持ってしまうアンコンシャス・バイアス。そして、曖昧な人の記憶。ならば、そのバイアスを気付かせてくれたり、曖昧さを補ってくれる私達の仕事のパートナーとしてその機能を生成系AIに担ってもらう。

私たちが要約という作業に費やす時間を改善するのが生成系AI。
私たちのバイアスに気が付かせてくれる存在としての生成系AI。

非構造化データの扱いは大変で、人事担当者にとってはその扱いが悩ましいところでした。
今後はそのサポートに生成系AIを使える時代になりますが、一方で生成系AIはその質問からも学習すると言われていることからも、私たちがどのように質問するか、「質問力」もまた私たちが磨かなければならないとも考えます。生成系AIが拙い質問の行間を読めるようになる未来はそう遠くないかもしれませんが、ロジカルに質問する力、批判的に回答を吟味する力(クリティカルシンキング)を磨く必要性はありそうです。
とはいえ、非構造データを多く持つ人事領域において、生成系AIを適切に使いこなすことができると、それは人と組織の成長への支援・貢献という人材マネジメントのミッションにおいて「確率論的に考察・予測する」力を発揮するのは間違いないように私には思えます。


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