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多様な住宅空調設備を評価するための暖冷房負荷計算の開発(4)


前回からの続きです。

本記事は、令和4年度国立研究開発法人建築研究所講演会で講演した内容をもとにしています。講演会では時間的な制約があったため、この内容をもとに、大幅に加筆(&修正)しています。

講演会の動画はこちらから視聴できます。

住宅の暖冷房エネルギーの消費量の予測に暖冷房負荷計算は欠かせません。この記事では、新たに暖冷房負荷計算を開発する狙い・意義・概要について説明します。

まとめ

計算した結果

開発した負荷計算の計算結果の例を次に示します。

計算結果の例(代表日3日のステップごとの計算結果)

このような形で、1ステップ(図では15分)ごとに室内の温湿度がでます。ここでは示していませんが、それ以外にも、壁の表面温度や熱流など、様々な情報が取得できます。

計算結果の例(暖冷房負荷の月積算値)

こちらは、時々刻々得られる暖冷房負荷を月ごとに積算した値です。

このように様々な値が計算できるため、単にエネルギーを予測するための計算を超えた利用が可能であると思います。

プログラムの公開

開発中のプログラムのソースコードや計算方法を記した仕様書はすべてホームページ上で公開する予定です。現在、一部を建築研究所のgithubサイトで公開中です(注18)。

評価方法を記しだ ドキュメントの 公開
開発用プログラムの公開

今回開発している暖冷房負荷は、主目的として、設計実務者が気軽に使用できることをターゲットとしています。しかし、将来的にはCADやモデルイングツールとの連携をしたいと考えており、そのために、開発した負荷計算のロジックとプログラムは全てオープンソースで開発し、誰でも(商用目的も含めて)利用可能なツールとして今後公開していきたいと考えています。

おわりに

現在開発中の暖冷房負荷計算の特徴、建築物省エネ法や従来の負荷計算ソフトとの関係などを整理しました。

表に開発中の負荷計算の位置づけを記しました。現在の建築物省エネ法では入力項目が少なく簡単ではあるが多様な技術が評価できません。一般的な暖冷房負荷計算は多様な技術が評価できる一方、入力項目が多すぎて一般的な設計実務者には扱いづらいという現状があります。

今回開発した暖冷房負荷計算はこれらの利点の両方を兼ね備えている評価を目指しています。ただし、少ない入力情報から負荷計算に必要な多くの情報を推測する部分が入るため、計算結果はその分ラフになります。

一方で、負荷計算部分の計算エンジンには、作用温度や放射計算など最新の知見を取り入れて開発しました。その内容の一部を紹介させて頂きました。

簡易暖冷房負荷計算の位置づけ

今後、開発した暖冷房負荷計算が設計実務者にも使用され、暖冷房負荷計算及び自然室温計算が実務でも気軽に活用できるようになることを期待しています。

注釈

注18
評価方法の公開は建築研究所環境研究グループのgithubサイトを予定しています。
https://github.com/DEE-BRI

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