Royal Road理論の罠【RRの目的化について】
タイトルの話の前に、、、
質問箱にこんな質問が来たのでnoteで答えようと思います。
正直にいうと、都留文の試合は予選リーグの杏林大学戦と入替戦の二試合しか見ていません。
その中で思ったことなので、正確な分析ができているかというと微妙ですが、せっかくなので答えたいと思います。
質問者さんのおっしゃる通り、都留文はシステムがしっかりしていて、人数も多く、試合に出ている全員がある程度スケート力を持っているチームだなと感じました。
都留文について知っている情報を簡単に整理すると、都留文化大学は大学自体が山梨県にあり、練習も小瀬で行なっており、試合の日は車で高速を使って東大和まで来て試合をして帰っていくらしい。
今年の対戦成績については
予選リーグ
vs 杏林 1-0 win
vs慶應医学 2-0 win
vs千葉 2-0 win
決勝リーグ
vs聖マリ 1-0 win
vs千葉 0-1 lose
入替戦
vs獨協 1-4 lose
で、予選リーグと決勝リーグを見る限り、相手から1点以上取られておらず、ロースコアゲームに持ち込み、1点差、2点差で勝つというゲームプランで試合をしていたことが想像出来ます。
千葉大戦に関しては見たかったのですが、全日本と被っていたため見ることができませんでした。
スコアシートから推測すると、千葉の方がペナルティが多く、シュート数から見ても都留文が押している展開であったが、一点が遠く、2P終盤に決められた1点が決勝点になったようですね。
他の試合のスコアシートを参照しても、
慶應医学との試合はSOG(35-0)で結果2-0なので、得点効率という面では、5.7%という数字がでてきます。
慶應医学のGKはもちろんうまいですが、それを考えてもかなり低い数字に見えます。
実際試合を見た感じ、そこまでシュート力が弱いわけでもなく、ゴール前でパスを通して効果的なショットを狙うというような場面も一部見られました。NZでパスを回してエントリーして、フリーでシュートを打てる場面もあり、いいホッケーをするなというのが素直な感想でした。
狙いはいいにも関わらず、点が入らないというのはひとえに、決定力不足があげられると思います。
決定力不足には様々な原因がありますが、まずは基礎的なレシーブからシュートまでの早さ、リバウンドを素早く叩く能力、あとは当てるだけというようなシュートを浮かせずにディフレクションできるかというようなものでしょうか。
僕が考えているホッケー理論ですが、ゴールの確率をいかにあげるかという話をすると、
[ゴール確率]=[シュート精度]×[パス精度の通る確率]
という簡単な式を立てるとします。
例えば、パックキャリアがフリーでシュートを打てる状況のときのゴール確率は、純粋にその人のシュート精度に委ねられます。
あるいは、パックキャリアがパスを出し、味方の選手がシュートする場合、[パスが通る確率]×[シューターのシュート精度]という計算でゴール確率が得られます。
どうスコアリングするかにおいて、パスを出すべきか、自分で打つべきか、という問題はこの確率計算によって答えが出ると思います。
ここで考えたいのがロイヤルロード理論というものです。
詳しくはまた書きたいと思うんですが、要するに、ゴールと逆サイドのゴールを結ぶ道のような太い線をロイヤルロードと呼んでおり、ロイヤルロードを通過するようなパスまたはロイヤルロードをキャリーで通過してから0.5秒以内に打たれたシュートはゴールの確率が高いという理論です。
この理論はNHLのデータを基にここ数年のうちに出てきて、大学ホッケーでも意識されるようになりました。
2部以下の初心者中心のチームでも、"ロイヤルロード"という分かりやすいワードに釣られ、「ロイヤルロードを通すことを意識しよう」などといったことが試合前ミーティングで言われるようになるほど浸透しています。
しかし問題はここにあります。
"ロイヤルロードの目的化"です。
本来ロイヤルロードはスコアリングの手段の一つであり、目的ではないのですが、分かりやすいワードに釣られ、ゴールを目的とするのではなく、ロイヤルロードを通すことが目的となってしまっています。
例えば、2on1の状況を作ったとします。攻めの2人の選手は、お互いの力量差、2人の距離感、DFの位置、ハンド、キーパーの弱点などを総合的に判断してどの選択肢が1番ゴールに繋がりやすいか、という確率計算をした上でプレーを選択しなければいけません。
そんな中、ロイヤルロードをどうにかして通そう、という発想が頭にあると、パスコースが切られていたり、ハンド的にレシーブからのシュートが打ちにくかったりと、パックキャリアがそのままシュート打つのが1番ゴール可能性が高くなる選択肢でもパスを出し、結局シュートできずに終わったり、入りづらいシュートしか打てなかったりなど、あえて確率の低いシュートを放ってしまうということが起きてしまいます。
このような理由からシュートの決定率が低くなっているのだろうと考えます。
あくまでも2試合ほどしか見てない上での感想なので見当違いの可能性もあります。
ロイヤルロード理論を否定しているわけではないですが、あれはNHLレベルの話でありパスがそこまで上手くないレベルであるとロイヤルロードを通してパスするより、自分でシュートを狙ったり、リバウンドを出してグリーンショットを狙うという方がゴールの確率が高くなる可能性が高いという話です。
本質はゴーリーの正対をいかにずらすか、ゴーリーに正対を許さないか、であってロイヤルロードはその手段でしかないので、まずは相手ゴーリーをきちんと分析しましょう。
その上で、あのゴーリーはロイヤルロードを通したとき正対が大きくズレるなってことが分かって初めてロイヤルロードを通すことを目標にしましょう。
もし、ロイヤルロードを通すことを目標としていたり、ロイヤルロードを通した数をKPIにしているようなチームがあれば、目標を考え直した方がいいなという話でした。
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