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富士フイルムフォトサロン 東京で写真展を開催しました。インタビュー記事を公開します。

1.まずは自己紹介をお願いします。
企業に勤めながら写真を撮っています。40ヶ国以上での業務、オランダ駐在を経て、インド事業に関わり始めました。2017年から2021年まで4年間、南インドにあるインド企業と日本企業とのジョイントベンチャーに社長として赴任し、さまざまな経験をしました。そこで感じたことを、この写真展で伝えることができれば、と思っています。

マイソール:ダサラ通りを歩く象と象使い

2.南インドの紹介をお願いします

インドというと、ひとくくりに捉えられてしまうことが多いのですが、デリーやタージマハルに代表される北インドと、南インドの文化はかなり異なっています。南インドで話されているドラヴィダ語系の言葉は、北インドで話されているヒンディー語とは、日本語と英語ほども異なる言語です。南インドは、文化的にも、異文化の侵入の影響が少なく、古代の高度な文明を守っています。人々は、おっとりしていて親切で、明るくまじめで実直だと感じています。

エレファントキャンプで象達とふれあう

3.河本さんのいらっしゃった町の話もお願いします
私が働いていたのは、マイソールという人口70万人の、インドでは中規模の都市です。70年ほど前のインド独立までは、マイソール王国という南インド最大の藩国の首都でした。町には今でも王族であるマハラジャ一家が住む王宮があり、王族は人々に尊敬され、親しまれています。インドが独自に設立した最初の大学であるマイソール大学がある、治安もよく、文化を誇る都市です。

インドというと、ごみごみして汚く暑い印象があるかもしれませんが、マイソールは、インドの中規模の都市の中で、清潔度で、常にトップ3に入っている都市です。また、標高900メートルのデカン高原の上にあるため、暑すぎず寒くもならず、湿度も低く、一年中過ごしやすい気候です。

ガートで若者達の笑顔に会う

4.写真を撮る時に心がけていることをお話下さい
人物を撮影する際には、その人物を理解し、その人の気持ちや思いが引き出された瞬間を撮影することを心掛けています。また、儀式などを撮影する際には、この儀式が何を大切にしているのか、どんな環境で行われているのか、それに参加している人々が、どんな想いを持って、何を願っているのかがあらわれる瞬間を捉えるようにしています

ジャイナ教の聖地、シュラバナベルゴラで、12年に一度の儀式

5.写真展鑑賞のポイントを解説頂けますか?
この写真展では、異文化としての南インドの遠さを感じると同時に、そこに住む人々の、我々と同じ人間性を感じて頂きたいと思っています

町中を象の隊列が行進する光景や、巨大な仏像に聖なるミルクなどを注いでいる光景、聖地で水平線から昇る朝日を浴びながら沐浴している光景に南インドならではの異文化を感じて頂く一方、象に頭をなでられて喜ぶ子供、それを見つめる親達の表情、手に描かれたヘナの模様を見せてくれたイスラムの女性の頬笑み、サトウキビを煮詰めた砂糖を、ひとつ食べろよと差し出してくれたおじさんの笑顔には、我々と変わらない喜びやあたたかい気持ちがあふれています。
この写真展では、南インドの違いに驚くと同時に、近さにも、気づいて頂ければと思っています。

イスラムの女性は、ヘナを見せてくれた
サトウキビ工場の男性は、サトウキビを絞って作った砂糖を差し出した

7.写真展に来て頂いた方々へのメッセージをどうぞ

南インドは、豊かな文化と親切な人々にふれることができる魅力的な地です。南インドの人々は、しきたりを大切にし、人とのつながりを大切にし、平和で豊かな人生を送っています。個人主義、自由主義を追求するあまり、自我不安定感や孤独におちいりがちな現在の我々自身を、振り返る機会にもなると感じています。この写真展を通じて、南インドに親しみを感じて頂き、理解をして頂き、日本とインドの交流の一助となると同時に、自分の生き方を見つめ直す機会になって頂ければ、それ以上の喜びはありません。

ラーマヤーナ神話の舞台、聖地ラーメショワリで、朝日を浴びながらの沐浴



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