26.南インドの旅:7世紀のマドラス(マハバリプラム)のマハラジャの大きな気持ちに想いを寄せる
ベンガル湾沿いの町チェンナイ、昔のマドラスの南65キロに、7世紀に栄えた世界遺産の町、マハーバリプラムがある。チェンナイ国際空港からマハーバリプラムまでは、ベンガル湾沿いの道を1時間半だ。まずは世界遺産の海岸寺院を見学しよう。
海岸寺院は8世紀に海沿いに作られた歴史ある建造物だ。1000年以上、ベンガル湾からの海風に吹かれてきた寺院は、素朴でシンプルで味わいがある。
海岸寺院の横の道を海に向かって歩くと、日本の海岸沿いの露店を冷やかしながら歩くようで、わくわくする。
ベンガル湾に面した砂浜は、はしゃぎ回るインド人達でいっぱいだ。インド人達の素直な喜びの発露は、とても心地よい。恥ずかしがらず、一緒にはしゃぎ、波に飛び込もう。
海を背に少し歩くと、岩山がある。そこには高さ13メートル、幅29メートルの、世界最大級のレリーフ、「アルジュナの苦行」がある。圧倒的な物語の力を感じる。体全体で受け止めよう。
そこを右に曲がると、クリシュナのバターボールと呼ばれている不思議な岩が、すぐに見えてくる。今にも転がりだしそうな丸い岩だ。あたりは坂を駆け降りる子供達、いろいろなポーズで写真を撮る大人達で賑わっていて楽しい。ぜひ混じって遊ぼう。
南へ600メートルほど行ったところに、ファイブ・ラタと呼ばれる建造物群がある。
岩山を掘り下げて作った建造物で、南インドのヒンズー寺院の5つの型を表している。この遺跡の来歴についてはいろいろな説はあるが、マハラジャが自分の知見を広く皆に共有するために作られたと考える説が、1番僕の心にすとんと落ちる。マハラジャの大きな気持ちを感じて嬉しくなる。
昼ごはんは、海岸寺院を望む海沿いのレストランで食べよう。取れたての魚やエビを、好みの方法で料理してくれる。潮風に吹かれながら、インドビールで食べるベンガル湾の幸は、たまらないおいしさだ。
海沿いのホテルに泊まることができれば、ベンガル湾から昇る、雄大な朝日を楽しむことができる。
天を押し上げるような朝日は心を掴んで離さない。素晴らしい体験になると思う。