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「怒り」「恨み」を手放すことが難しい理由

こんにちは、心理カウンセラー(公認心理師)の高牟禮(たかむれ)です。

私たちは誰しも、過去の出来事に対し
「あの人は絶対許せない」「ずっと恨む」
といった思いを
程度の差こそあれ持っていたりします。

しかしこういった思いを
長年抱えていたら辛いことですよね。


冷静な時には
「もういいじゃない」「忘れた方がいい」
と思うかもしれません。

ただそれは意外に難しい。

気がついたらまた
怒りや恨みに囚われ
身悶えするような苦しみが続いてしまうことも。


その原因の一つとして
脳内物質が関係していると
言われています。

私たちは脳内物質が大量に分泌されることで
喜び、幸福感、恐怖、怒りといった
強い感情を感じます。

そしてその作用で
記憶が強く焼きつきます。


心地よい体験をすればその度、
ドーパミン、エンドルフィンといった脳内物質が分泌され
肯定的な記憶が焼きつきます。


逆に怒りや恐怖を感じると
アドレナリン、ノルアドレナリンが分泌され
否定的な記憶が焼きつきます。


焼きついた記憶は
時間が経っても維持され
鮮明に蘇ります。

怒り、恨みを伴う記憶が蘇ると
その度アドレナリン、ノルアドレナリンも分泌。

記憶の焼きつきは
ますます強固なものとなります。


より鮮明に思い出すようになり
決して忘れられなくなる。

こうった悪循環に
陥りやすいです。



この悪循環を食い止め
から抜け出したいですよね。

今回は思考を活用する対処法を
一つご紹介します。

比較的冷静な時に
怒りや、恨みを持ち続けることの
「自分にとっての」
メリット、デメリットを吟味します。


この方法はかなりパワフル。
例えば会社で、上司が部下に対して怒り心頭になっていたとします。

でも「社長から電話です」と言われたら瞬時にモードが変わり、
丁寧な言葉遣いで話し始めたりします。

ところが電話の相手が別の部下だったら
ぶっきらぼうな対応になるかもしれません。

強い怒りを感じていても、
自分にとって、デメリットが大きいときは
強力にコントロールする力が働きます。

ということで怒りや恨みについて
メリット、デメリットを
吟味していきます。

まずこういった感情を持ち続けることは、
心身に大きな負担がかかります。

交感神経が過度に興奮し
眠りが浅くなったり、
食欲がなくなることも。

思考力が落ち
冷静な判断は難しくなります。

当然、仕事のパフォーマンスも落ちる。

このようにデメリットは多い。


しかし多くは、
「そうだとしても、相手を許すわけにはいかない」
という思いになりやすい。

ただ心の内側に
いくら攻撃的なものを抱えていても
相手には何のダメージもありません。

つまりメリットはなさそう。


また怒りや恨みから攻撃したら、
それで終わり
ということにはなりません。

反撃されることもあり
長引くことで
むしろ怒りや恨みが増えることも。

いずれにしても
心身に負担がかかり
莫大なエネルギーを費やすことになりそうです。



怒りや恨みを抱えることに対し
「正しい」とか「間違っている」と
簡単に言えることではありません。

メリット・デメリットを
吟味していく方が良さそうです。


あくまで自分自身のために。

そして多くの場合、
デメリットの方が多そうです。


もし「怒りや恨みを持ち続けることは、自分にとって損」
と思えたら
「それなら止めた方がいいかな」という思いに
至りやすい。

「正しい/間違っている」より
「損得」の方が
納得感を得やすいからです。

それに伴いアドレナリン、ノルアドレナリンの分泌が
減っていき
好循環に入っていきます。



相手を無理に
許す必要はありません。

単に怒り、恨みを持ち続けていると
自分にとって損。


だから止める。

「ただそれだけのこと」
と思えたら楽になれます。


怒り、恨みを持ち続け苦しい時、
メリット・デメリットを
吟味していくのがお勧めです。


最後までお読みいただき、ありがとうございます。



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