ポストEQに頼らないサウンドメイク
今回はアンプシミュレーターで複数のキャビネットを使ったサウンドメイクにフォーカスして、ポストイコライザーを使わないサウンドメイクについて書いてみます。
※記事中の音声データ再生不可のため記事の閲覧無料です。
昨今のシミュレーターではアンプの機能の他に、音質をいじる要素としての外部イコライザー(アンプのトーンでは無く)が大抵付いています。イコライザーの位置もアンプの前(プリ)アンプの後(ポスト)色々ありますね。
種類もシンプルな物から本格的なパラメトリックイコライザーまであり、補正から積極的なサウンドメイクまで行えるので、「本来アンプに無いもの」でトータルのサウンドメイクが出来てしまうんですね。
それはそれで間違いとは言えないのですが、激しいイコライジングは位相にも悪影響を与えますし、なるべく本来アンプにある機能でサウンドメイク出来た方が、実際のアンプとのギャップも減りますし、アンプの使い方としてはある意味正しいとも言えます。
こちらトレーラー動画になります。
そんなわけで今回はポストイコライザーを使わずにトーンコントロールを行うアイデアを紹介します。
もちろん独自ネタですよ。
複数のキャビを使ってのトーンコントロールはアンプシミュレーターをお使いの方にはお役に立てる内容かと思います。
*今回はLINE6 のHelix を使って解説しますが、複数のキャビが使えるモデルであれば他の機種にも応用出来るテクニックです。
2つのキャビの音の混ぜ方でサウンドメイク。
まず、2つのキャビ(もしくはマイキング)を使って違うキャラクターのサウンドを用意します。それらの混ぜ方でハイを出したりローを強調したり出来るんです。
イコライザーで特定の帯域をいじるのとは違い、バーチャルではありますがアンプの音を混ぜて作るので、ある意味自然な効果を出すことが出来るんですよ。
キャビネットでイコライザー的な効果を
今度は2つのキャビの音を使い、エッジを強調するミックスのやり方です。ハイを気持ちよく出すことが出来て、抜けも良くなります。
まず基本の音ですが、ハイカットを強めに入れて、極端にモコモコな音にします。
キャビは4X12 Black Back、マイクは4038Ribonモデル。
Helixのエディターではこのような画面になります。
音1
極端に作っていますので単体では抜けが悪い音ですね。
もうひとつは、単体では少し細いかな?位の音を準備します。キャビは同じく4X12 Black Back、マイクは57モデルに変えてみます。
音2
まぁ、細いですね。
これを音5にまぜてみます。徐々に混ぜてまた下げたりしていますので、連続的に変化しているのが確認出来ると思います。
音3
ほど良いところでミックスバランスを決めて、リバーブを足してみました。
完成形。
音5では抜けが悪くモコモコだった音に、生々しいハイが足され抜けが良い音になっています。
この効果は単体のキャビをイコライジングするのでは出しにくい効果なんです。もう少しイコライザー臭さ、無理やりいじった感、のようなものが出てきてしまうんですね。
音5を元に音6を少しずつ足して行くと良いポイントが見つかります。またその混ぜ方でハイの出方もコントロール出来て便利ですよ。
Helixでのミックス画面。A Level、 B Levelで2つのキャビの音量を調整します。
コツとして、基本となる音は少しおとなしめに作っておくほうが、混ぜた時により効果的になると思います。
ならば、最初から基本の音をハイがよく出た音にすれば良いのでは?とも思われるかもしれませんが、複数のキャビを混ぜ合わせて作った方が無理なく立体感や迫力を出すことが出来るんです。極端なEQもしないで済みますし。
やはりこの方法はオススメです。
あとがき
今回は2つのキャビを使って、空気感や迫力、エッジ感やハイを強調するやり方を紹介しました。
是非活用して頂ければです。
今回は以上になります。
では。