空っぽな時間をつくるために。

日々忙しくても頭はいつも働いている。


スマートフォンが手元にある今、ある程度ならどこでも繋がることができる。仕事ならどこにいても相手先と電話をしたりメールを返したり、書類のチェックもできる。友達や家族との会話もLINEをはじめとして、いつでもできる。ゲームも読みものもそこから始められるから、空いた時間はそれに費やせば埋まっていく。

このいつでもどこでも出来ちゃうモノに、慣れて使い倒してきたわけだけど。いつからか違和感と疲れを感じるようになった。この感じはなんなのかと思えば、きっと空いた時間がなくなったからだろう。

できることがたくさんあって便利で助かる反面、一つのことが終われば次へ次へと別のやることに移っていけてしまう。ふと立ち止まらないと、それは延々と続いていくように時間がつかわれていく。

これはいかんなぁと思った。

何かいいものはないかと考えたときに、緩めてくれているのが「空っぽな時間」だと気づいた。何もしない時間というよりかは、一つの作業に集中して他ごとを考えないようにする時間だ。

例えば包丁を砥石で研いでみるというのがある。映画『舟を編む』で、板前役だった宮崎あおいが「これをやると、気持ちが落ち着くの。」というシーンが印象的だった。

ぼくは服にアイロンをかける時間がこれに当たる。シワシワになったシャツをいくつか持ち出してまとめてかける。どこから順番にかけるかはもう自分の流れがあるから考えない。無心で目の前のシャツがのびていくのをみる。

いつも決まった動きがあって、何かその作業の後に変化があるものならなんでもいいのだろう。とにかくいろんなものに頭を働かせすぎている。瞑想が流行っているのも、きっとそんな理由からだ。

ぼくたちには今、何か一つのことだけする時間が必要なんだ。





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