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地方10拠点で80人の採用に成功!全国制覇を目指す経営者の採用術とは?【株式会社タイムカプセル 相澤謙一郎さん】

地方で根を張って生きる人たちのホンネとリアルをお届けする「ケンジン」インタビュー。今回は、全国制覇を目指す経営者の相澤さんにお話を伺いました。
相澤さんは、プロスポーツチームの公式ライセンスアプリの開発・運営をしている経営者。これまで全国10箇所に拠点を出しており、今後は全国47都道府県への進出を目指しています。
地方拠点でいかに人材を獲得しているのか、その採用術について話してもらいます。

相澤謙一郎さん タイムカプセル株式会社代表取締役。神奈川県横須賀生まれ、横須賀育ち。19歳で起業し、横須賀市のどぶ板通りでBARを開業。2013年に岐阜県大垣市にてタイムカプセルを創業。現在は岐阜県岐阜市鹿島町の本社の他に、神奈川県横須賀市、宮城県仙台市、気仙沼市、北海道函館市、佐賀県伊万里市、佐賀県吉野ヶ里町、宮崎県高千穂町にも拠点を持つ。ミッションは「ITで地域から日本を元気に!」。プロ野球12球団&侍ジャパン公式ライセンスアプリ、サッカー日本チーム公式ライセンスアプリなどの開発・運営実績がある。

どこでもしたい仕事ができる環境を作りたい

相澤さんは地方に拠点をたくさん作られていると伺いましたが、それはなぜですか?

相澤さん
そうですね。まず、どこでも仕事ができる時代になっているじゃないですか。そこをちょっと証明していきたいなっていう。そういう挑戦をしています。
例えば我々であれば開発をするっていう仕事ですよね。ソフトウェアの開発とか、アプリケーションの開発をやってるんですけど。こういう開発の仕事であれば、パソコンとインターネットがあれば、もう世界中どこにいても仕事ができるんですよね。

一方で、ベンチャー企業とかスタートアップとか、メガベンチャーのような成長したIT企業はほとんど東京にあって。で、コロナ禍でかなりリモートワークが進んだと思いますけど、コロナ以前だったらみんな出勤したじゃないですか、基本。
僕らの仕事って、インターネットがあればどこでもできる。でもみんな東京に集中してるよねと。だからこそ本当にどこでもできるよっていうのをちょっと証明したいというか、挑戦したいなっていう。

そもそも、なぜそれを証明しようと思ったのですか?

相澤さん
そもそもで言うと、人って東京以外でも普通に生活してるじゃないですか。でも、首都圏に住んでると首都圏のことしか考えられないような気がするんですよ。
僕、神奈川県で生まれ育って26歳ぐらいから東京にいるんですけど、もちろん地方にも人がいるなんてことは当たり前に知ってはいるんですけど、そのリアルな生活ってあんまり想像できないっていうか、自分の周りのことしか逆に見れないみたいな。

そういう錯覚に陥りがちなんですが、実際、全国に人の暮らしがあって、そこに営みがあって。そしてその地域地域に魅力的な方々もたくさんいらっしゃる。そこで地方で、魅力的な活動をされている方々や頑張ろうとされている方々と、一緒に仕事をやっていきたいなあっていうふうに思いましたね。

そう考えるようになったきっかけがあったのですか?

相澤さん
例えば、IT業界にいると業界の人と毎日話して、それ以外の業界の人と仕事をする機会ってあんまりないじゃないですか。そうすると現実的にはありえないんですけど、世の中全員IT業界じゃないかっていう風に思っちゃうことがあるんですよね。

そうじゃなくて、人って東京だけじゃないし、いろんな街にいろんな人がいて、ライフスタイルがある。僕自身としては、そっちに興味があって。だから、みんなが渋谷でスタートアップをやる必要もないし、みんなが六本木でエンジニアにならなくても良いし、気仙沼でエンジニアになっても良いし、函館でも、横須賀でもやっても良いよねっていう。
かつて起業した時は、新宿でやってたんですけど、いろんな地方に行って、その地域の方々と接することによって、そういったことに気付きましたね。

実績を積み重ねて地域での信頼を得る

都会と地方のギャップを感じたことはありますか?

相澤さん
ギャップはありますよね。東京での採用と地方での採用っていうのは違うと思いますね。やっぱり母数が全然違うじゃないですか。母数が違うので、集客の方法も変わってきます。気仙沼で募集するときに、WantedlyとかのWEB媒体しか使いませんってなると集まらないかもしれません。
渋谷とか六本木でスタートアップやってれば、うまくSNS使ったりとか、新卒もマイナビさん、リクナビさん、エージェントさんを使ってやっていくんでしょうけど、吉野ヶ里とか高千穂で採用するときに、エージェントを使って何人とれるのかなっていう。

そうなってくると、その地域の方々の紹介であったりとか、ハローワークさんと上手く連携してやっていくとか、それこそチラシ配ってみるとか、そういうかたちでやり方は違ってくるかな。そういうギャップはありますね。
やっぱりスピード感みたいなところは少し時間の流れ方が違うので。そういったところのちょっとした違いっていうんですかね。地方のビジネスとか、採用面だったりとか、人とのコミュニケーションっていうのは中長期的な目線で考えていくっていうのが大事かな。

実際に採用した人はどんなきっかけで入社されてるんですか?

相澤さん
タイムカプセルでいえば、別の業種で働いてたけど心機一転、エンジニアの世界に飛び込んでくるっていうことで生活拠点も変えていこうとか。あとはうちの場合はやっぱり、Uターンする方なんかも結構いらっしゃるんで。Uターンの方々は、首都圏で頑張ってきたんだけれども、そろそろUターンしようかみたいな。そういうタイミングで出会いがあったりしますね。

だからやっぱり、一定のきっかけみたいなね。職業ガラッと変えるとかUターンとか、なんかそういうようなきっかけみたいのがあると、踏み込めるのかなという気がしますけどね。

地方拠点を増やして、「こんなはずじゃなかった!」って思うことはありますか?

相澤さん
そうですね。私の場合、ネガティブな「こんなはずじゃなかった!」はあまりないんですけど、例えば、地域で伝統的に活動されている企業さんからお仕事をいただけるようになったっていうことが最近あって。それって単純に嬉しいよねって話なんですけどね。ただ振り返ってみると仕事取れるまで8年、9年かかってるぞみたいなこともあって。8年とか9年かけてようやくこの地域に認めていただけたんだなーみたいな。

実績を積み重ねていく。そうすることによって、徐々に信頼が得られる。信頼が得られると、「こういうのがあるんだけどどう?」とか、「こういうとこちょっと悩んでるんだけどどうかな」とか、声をかけていただけるようになるっていう。そういった意味では焦らずに、半年とか1年で短期的に考えない方が楽かなって気がしますね。


地域からの信頼が地方拠点採用のカギ

実際にはどのように人材を採用しているのですか?

相澤さん
タイムカプセルがそこで事業を起こすことによって、少しその地域が変わるんですよね。ほんの少しですよ。今までその町にはエンジニアっていう職業がなかった。町にエンジニアという職業になれる拠点ができる、会社ができる。そこで働く方が出てくる。これは変化なんですよね。

そうすると「〇〇さんがこういう仕事やってるみたいだよ」みたいに少しずつその輪が広がっていって。で、「あの会社もなんだかんだで4年、5年やってるよね」「地域でこういう活動したりとか、こういうサイトを作ったりしてるよね」みたいな。そういうのがつながっていって。「親戚の〇〇さん、今度なんか娘さんが東京から戻ってくるんだって」って時にこんな会社あるみたいだよと話してくれる。そういうマーケティングですよね。

「〇〇さんのとこの息子さん、なんか何年か前までパソコン触る仕事してたらしいぞ」みたいな。「パソコン使えるんですか。〇〇さんの息子さん会ってみたいな」と言うと、「6時ぐらいに帰ってくんじゃないか?」ということで実際にお会いしたこともありますし、そうやってその町にちょっとした変化がおきる。

で、一人、また一人と、その人の人生も変わっていく。できることならやっぱりいい方向に変わっていただきたいっていう。何人か感謝していただけるような方もいらっしゃって、技術を身につけてすごい人生好転しましたとか。そういうことをどんどん再現していきたい。

小さいことですけど噂になっていくし。それで興味を持つ若者とか子供たちも一人、二人でも出てくるかもしれないですよね。もしかしたら興味を持った一人の若者が、世界を変えようと何かを作るかもしれない。

最終目標があれば教えてください!

相澤さん
まずは全47都道府県に開発拠点がある状態をつくる。そうすると、もうどこで生まれ育ってもタイムカプセルってあるよね!っていうことになります。そうすると誰にでもチャンスがある状態が作られている。そこがまず目先の目標ですね。全47都道府県に開発拠点があるベンチャーってあまり聞いたことがないので、もしかしたら誰もやったことがないことかもしれない。だとするとチャレンジをする意義があるっていうか。やってみようかなっていう。

~ケンジンからの学び~
地域ごとに異なる人材採用環境、効果的な採用手法をまず把握する。地域で長く事業を営んでいることで認知され、地域の方の紹介や口コミを通して採用につながることもある。そういったチャンスを掴めるよう、地域の中で信頼を得ること。