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「顧客が求めているもの」を科学する道具をつくっている話

「顧客が求めているもの」を表すいろんな言葉があります。

  • ユーザーニーズ

  • ペイン

  • バーニングニーズ

  • ジョブ(ジョブ理論)

  • ユーザーインサイト(コンシューマーインサイト)

  • 顧客課題

  • 要望・要求

  • (近いものとして)顧客理解・顧客解像度

プロダクトマネジメントでも、デザインでも、リサーチでも、セールスでも、マーケティングでも…。いろんな場面で「顧客 / ユーザーが本当に求めているものを考えよう」といった議論が交わされます。

今以上に「顧客理解」や「顧客が求めているもの」への深い理解が求められる時代があったでしょうか?

もはや、新しいスタンダードになりつつある

PwCが行った調査によると、新規事業の失敗要因として、もっとも大きいのが「顧客ニーズに応えられなかったこと」(36.6%)だそうです(下図参照)。

出所:PwCコンサルティング

そして、なんと面白いことに、成功要因の1位は、「顧客ニーズに応えられたこと」でした(下図参照)。

出所:PwCコンサルティング

失敗要因においても成功要因においても、どちらも1位が「顧客が求めるもの」への理解や適応だということです。

そして、これは新規事業に限った話ではないようです。

急成長しているスタートアップや愛されるサービスの裏には、必ず「顧客が求めているもの」への強烈な執着が見て取れます。

B向けサービスでもC向けサービスでも、SaaSでもモバイルアプリでも…。

もはや「顧客が求めるもの」を、いかにうまくキャッチアップし、自社の事業に実装できるかが、会社の成否を左右する分岐点になっていると言えます。

名ばかりの「顧客起点な意思決定」

一方で、現場に目を向けてみると、まだまだ多くの課題があります。自身が聞いたことある、もしくは実際に陥ったものをいくつかピックアップすると、以下のようなものがあります。

  • 「ユーザー価値が重要」と標榜しながらも、事業への愛が強いPMや責任者の思想で、プロジェクトが進む

  • 何年か前にできた、形ばかりのペルソナで、本当はどんなユーザーなのか、誰も知らない

  • ユーザーインタビューをして、なんとなく「これが必要では?」と着想するも、結果が出ないリリースになった

  • 「Aさんが、こう言ってた」「いやでも、Bさんはこう言っていた」と、人によって持っているサンプルが違い、議論が噛み合わず、「えいや」の意思決定をする

プロダクト開発を中心に例を挙げましたが、他にもたくさんの「顧客起点 / ユーザー起点の意思決定をしたかった(けど、できなかった)」話を耳にします。

理想的には、顧客が求めるものを明確に捉え、同じユーザー像を共有しながら、各々の持ち場へ向かっていきたいものです。

にもかかわらず、顧客よりも歴の長い人の一声でものごとが進む、プレゼンが上手い人の意見が通る、たまたま最近聞いた顧客の意見ばかりが反映される、などなど…。顧客起点の意思決定には、落とし穴や勘違いが非常に多いのが現状です。

「定性的なデータ × 科学」という新しいスキル

これらの落とし穴を回避する方法を1つ知っています。

それは、「定性的なデータを、科学的に捉えること」です。

データサイエンスと言われる領域を、分かりやすく「定量データの科学」とするなら、今まさに求められているのは、「定性データの科学」と呼べるものではないでしょうか?

科学とは、法則を見つけ、再現性を持たせる活動です。京都大学のコラムでは以下の2つのように説明されています。

  1. いつ・どこで・誰であったとしても、同じ答えや結果にたどり着くこと

  2. 原因と結果の関係がきちんとある

ユーザーインタビューやヒアリング、あるいはお問い合わせなど得られた情報から、「顧客が求めるもの」へと変換し、チームで共有、アクションに落とし込み、価値あるものとして顧客へ届く。

この一連のプロセスを、いかに科学的に行えるか?こそ、先に述べた落とし穴を回避する方法です。

定量データの科学では、Where(どこに問題があるか)やHow much(どれだけのボリュームがつまずいているか)が明らかになります。

定性データの科学では、What(何につまずいているか)Why(なぜつまずいているか)を明らかにすることができます。そして、この統計情報には出てこない、具体的な情報にこそ「顧客が求めるもの」は隠されています。

そして、重要なことは、この「定性データを科学的に扱う」ということは、(一部の勘がいい人だけができるのではなく)技術であり、身につけられる技だということです。

インサイトを、サイエンスしよう

私自身、このような「顧客が求めるもの」を、体系的に理解し、チームに広げていくことを、これまで何度も試行錯誤を繰り返してきました。

たくさんのヒアリング・インタビューを経験し、いくつものプロダクトをつくっては壊し、伸び悩んで、時に会社の残高が数万円になり、他の社員に「来月の給与が払えない、本当に申し訳ない」と泣きながら謝ったこともありました。顧客も社員も幸せにできず、絶望の淵に立たされた時期もあります(今は無事元気にやっています)。

どうにかして「顧客が求めるもの」を科学できないか?科学することができたなら、失敗を格段に減らし、もっと大きな価値提供ができるのではないか?そんなことばかり考えてきました。

そんな中で開発をしたのが、Centouという「定性データを科学するための道具」です。

Center of User(ユーザー情報の中心地)、略してCentou(セントウ)です。

導入いただいた企業さんからは、売上の増加、施策の打率アップ、意思決定のスピードアップ、など、どんどん嬉しい声が生まれています。

ドキュメントツールや表計算ツールに、ヒアリングの議事録だけが散らばっている状態から、活用しやすいインサイト*のデータベースとしてまとめあげることができる道具です。

※ ここではユーザーニーズやペインなど「顧客が求めるもの」を総称してインサイトと呼んでいます。

「定性データの科学」というアプローチを自然と身につけられ、チームにとっての共有財産のような存在です。

科学的なユーザー理解ができるので、「どこで解釈を間違えたのか?」というデバッグ作業もしやすく、大変重宝しています。私自身も一人のCentouユーザーとして、遠慮なくおすすめできるプロダクトです。

「定性データ × 科学」が、まさに新たなスタンダードになろうとしている中で、組織の中で、インサイト(顧客が求めるもの)を科学できる人の重要性はますます高くなります。

インサイトのサイエンス、良ければ一緒にやっていきませんか?

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