#3 戦略からメトリクス、戦術へ
この記事は、NETFLIXで最高製品責任者(CPO)を務めていたGibson Biddle 氏によるプロダクト戦略に関するエッセイ、3. The Strategy/Metric/Tactic Lockup の翻訳記事です。(翻訳許可取得済み)
ここまでのあらすじ
顧客の喜ぶ価値 (Delight)、他社に模倣されにくい点 (Hard-to-copy)、利益を生む点 (Margin-enhancing)、の3点から、プロダクト戦略を導き (DHMモデル)、1年もしくは2年で検証するものを選ぶことでプロダクトロードマップができていくとGibson氏は説明していました。 (DHMモデルについてはこちら)
また、今日のNetflixのパーソナライズ機能など、Netflixを象徴するような機能は、DHMモデルから生まれた仮説の検証により出来上がってきたものでした。 (Netflixが検証した仮説についてはこちら)
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2005年、Netflixは6つの主要なプロダクト戦略を検討しました。それぞれの戦略ごとに、仮説を検証するチームを設置し、実験を進めていったのです。
以下に示すのは、Netflixが2005年に検証を行ったプロダクト戦略です。
これらの戦略には、それぞれのプロダクト戦略が成功だったのかどうかを判断する明確な「プロキシメトリクス」(戦略を測定するための指標) がありました。
そして、通常は戦略ごとに2~3つのプロジェクトがあり、これらを戦術と考え、実行に移していったのです。
振り返ってみると、検証を行ったプロダクト戦略のうち4つは機能し、2つは失敗に終わりました。(失敗したもの:ソーシャル機能、独自の映画検索ツール)
長年にわたる検証で、プロキシメトリクスを移動させながら、継続率を向上させていくと、2倍以上もの改善を見込めることがわかりました。(実際にNetflixのパーソナライズ機能は、20年間で2%→80%のユーザーが使うようになりました。)
成功からも失敗からも等しく学ぶことができます。John Oliverのコンテンツは、ストリーミング配信サービスから分離した、DVDレンタルサービス「Qwikster」の学びを活かしたものになっています
プロダクト戦略をつくるためのエクササイズ
Netflixのプロダクト戦略を例に、あなたのプロダクト戦略を考えてみましょう。
そして、戦略の概要、戦略に対するプロキシメトリクスを決めていき、具体的に実行するべきプロジェクト/戦術を明確にします。
次のエッセイでは、プロキシメトリクスについて詳しく説明します。シンプルなプロダクト体験が継続率を向上させるという理論に焦点を当てていきます。
次のエッセイ:「4. 事業仮説を正しく測るプロキシメトリクス」
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このシリーズの索引
0. いかにプロダクト戦略を定義するか
1. DHMモデル
2. DHMモデルから製品戦略へ
3. 戦略からメトリクス、戦術へ
4. 事業仮説を正しく測るプロキシメトリクス
5. 戦略を実現する施策の出し方
6. Netflixにおけるパーソナライズ戦略
7. 戦略からロードマップへ
8. 製品ビジョンを探索する強力なチームづくり
9. 組織のフォーカスを決めるGEMモデル
10. 戦略を議論する場の設計について
11. プロダクト戦略のケーススタディ:Chegg
12. プロダクト戦略作成の手引き