エレクトーンと他楽器との共演について
はじめに
日々活動している中で、
「エレクトーンの競技人口が減っている」
「エレクトーン業界自体が衰退している」
という話を耳にする機会が多く、非常に残念な気持ちと、1人危機感を感じながらエレクトーンに向かっているわけであります…。
実際にそれが現実なのかもしれなく、自分の肌感でも感じることが何度かあります…(非常に悲しいです)。
しかしながら、ここ数年、エレクトーンを弾いたことがない・触ったことがないという方と共演する機会が増えてきたり、演奏を聴いていただいた方から感想をいただいたりする機会がある中で、たくさんの発見がありました。また、エレクトーンの可能性をそこから見出すことが何度もありましたので、まだまだ希望を捨てたもんじゃありません!
エレクトーンという楽器がこの先、音楽の世界で長く生き残っていくために何が必要なのか…方法・可能性は本当に様々ではあるのですが、今回は、
エレクトーンと他楽器との共演
の観点から、音楽業界への貢献について考えてみたいと思います。
自分自身が過去に行なってきたことも例に挙げていきたいと思います。
過去に共演した例
まず、自分がこれまでにどういった楽器とどういった曲を共演してきたかをいくつか挙げてみようと思います。
(全部挙げようとしたら日が暮れそうなので一部になります…)
♪ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番より第1楽章(ピアノと)
♪チャイコフスキー:くるみ割り人形(サックス・ピアノと)
♪ボロディン:ダッタン人の踊り(サックス・ピアノと)
♪ドビュッシー:小組曲(サックス・ピアノと)
♪チックコリア:スペイン(サックス・ピアノと)
♪ムソルグスキー:展覧会の絵(サックス・ピアノと)
♪ピアソラ:リベルタンゴ(サックス・ピアノと、サックスと)
♪プッチーニ:Omio babbino caro(歌と)
♪エルトン・ジョン:愛を感じて(歌と、フルートと)
♪上原ひろみ:FIRST NOTE(サックス・ピアノと)
♪久石譲:アシタカとサン(ピアノと)
♪中島みゆき:糸(歌と) などなど…
こうやってみると、本当にジャンルは幅広く、かついろんな楽器とやってきているなあと感じます……
…と言いながらも…
サックスとピアノとの共演が圧倒的に多いですね…笑
と言うのも、自分はTrio Elepixs(トリオ・エレクピクス)と言うサクソフォン奏者・田村亮太さん、ピアニスト・小林浩子さんとのトリオを組んでおり、そこで新曲やらアレンジものやらをやることが多く、過去に2度の自主公演のコンサートもやったりしているので、必然的にこの組み合わせは多くなっています😅
ちょっと話はそれましたが、クラシックに限らず・ジャズなど、本当にいろんなジャンル・楽器と共演することができる楽器だなあと感じるところです。当然、サックスやフルートとなどの管楽器との共演が可能でありましたので、他のクラリネットやオーボエ、トランペット、ホルン…、どの管楽器とも共演ができそうですよね。もちろんヴァイオリンやチェロといった弦楽器も可能かと思います。
ソロで色々なジャンルを演奏できる楽器ではありますが、他楽器との共演も非常に興味深く感じるところであります。
協奏オーケストラとしてのエレクトーン
さて、先ほど挙げた曲目の中にラフマニノフの《ピアノ協奏曲》や、《アシタカとサン》がありましたが、これはエレクトーンがオーケストラの役割を担い、ソロピアニストが演奏する協奏曲スタイルをとったものです。
当然、本物のオーケストラと共演できれば、それに越したことはないのですが、中々1人の奏者が、
「オーケストラと協奏曲をやりたい!」
と思ってもそう簡単には実現するのは難しく、特に地方だとその機会は極端に少ないような気がします。
そこで、
エレクトーンがオーケストラの役割を担う
訳であります。クラシック界においても、エレクトーンがオーケストラの役割を担うことで、協奏曲をより身近なものにすることが可能で、小さなホール・小規模なコンサートでも比較的に容易に(エレクトーンの運搬・PAの準備は大変ですが…)演奏することができるようになります。実際に、洗足音大や昭和音大でも選抜者コンサートでエレクトーンがバックによる協奏曲のコンサートをやったり、プロのエレクトーン奏者である渡辺睦月さんがピアノや管楽器と、神田将さんがピアニストの米津さんと協奏曲を演奏されているのをよくお見かけします。
音大やプロの奏者の方がエレクトーンを使って協奏曲をやっている
って自分はとってもすごいことだと思うので、このスタイルがもっともっと広まっていったらいいのになあ…と日々感じるところです。
これからチャレンジしたいこと
他楽器との共演ということで今後展開したいことはいくつかあります。
1.ピアノ協奏曲(全楽章)をソリストと2人で演奏する
2.ソロ管楽器複数人とエレクトーンで小さなオーケストラによるコンサートをする
2024年の2月のTrio Elepixsの公演の中で、ピアニストの小林浩子さんとラフマニノフのピアノ協奏曲第2番の第1楽章を演奏させていただきました。以前から取り組んでみたかったプログラムでしたので、実現できたこと、大変光栄に思っております。この時はトリオでの公演だったため、全楽章をやることが叶いませんでした。この曲に限らず、協奏曲を1曲丸々演奏する公演を開催してみたいなあと思います。
エレクトーンの魅力って何かなあ…と日々考えるのですが、自分の大学の先生からは、
「弦楽器特有の厚みを1人で出すことができる」
ということを言っていただきました。普段からもちろん音色は作っているので、初めて聞くことではなかったのですが、改めて言われてハッと気づいたことであります。国内でも、ピアノと管楽器数人(各楽器1人など)で行う子供向けのコンサートなどをよくお見かけしますが、ピアノをエレクトーンに変えることで、
「小さなオーケストラ」
を作ることができそうだなあと何年か前から構想しています。その編成で
《動物の謝肉祭》
や、
《ピーターと狼》
などの作品を演奏できたらなあと考えています。
まだまだエレクトーンの可能性を探っていきたいと思います。
(ついでに、Trio ElepixsのXのアカウントをくっつけてみます)
2024.9.15.