ヤマセミの歌 その7「孵化」
卵は冷やしましょう
1979年から現在(2023年)までに抱卵→子育て→巣立ちまするまで、ほぼ完璧に立ち会えることができたのは8回だけ。
数少ない立ち合いではあるがリアルなヤマセミの暮らしをほんの少し見させてもらったような気がする。
抱卵もその一つ
ヤマセミは1回に産卵する数は4〜6個。抱卵はご主人も手伝うが奥さんが主に頑張る。ところが、卵があるのに夫婦でちょくちょく仲良く外出しちゃう。何がなんでも卵温めるということはないらしい。そういえば孵卵器を使って人工的にペンギンやオシドリなどの卵を孵化させて育てたが、やはり卵を冷やす(放冷)ことが元気な雛を誕生させる重要ポイントだった。夫婦揃っての外出は大切なお出かけだった。
ヤマセミはどっち?
陸鳥、水鳥。違いは鳥肌が見えるか見えないかだ。
野鳥たちは大まかに「陸鳥」と「水鳥」に分ているようだ。ではヤマセミはどちらに入る?陸鳥扱いされていることが多い。では陸鳥と水鳥ってどこが違うの?
↓
羽根が生えている範囲だ。
では検証〜
(写真がリアルでごめんなさい)
モデルは家族の一員、岡崎種(ニワトリ)の愛称「マツ」です。これが陸鳥の特徴です。
翼の付け根付近やお腹には羽なし。なま鳥肌状態。
スズメ、文鳥、ハトなど多くの鳥が多少の差はあるけどニワトリのような羽ない範囲(裸区)が結構ある。これが陸鳥。もちろんダチョウも。
水鳥の特徴
びっしりと密集した羽が3段構造。皮膚→綿羽が二段構造→正羽。カモなどの水鳥にはほぼ裸区はない。ヤマセミも同じ。水に頻繁にダイビングして獲物をとているのだからそうだよな〜
ペンギンに裸区はないよな〜
リアルでごめんなさい。
マツも恥ずかしいよね。お腹の状態。
みんな元気に育って欲しい
34日〜36日。最も長い例は38日目にひなの誕生。この日数も水鳥の多くに見られる抱卵日数だ。
ヤマセミの抱卵日数を専門家の先生方が20日、22日と紹介されたりしているとちょっと複雑な気持ちになっちゃう。
タカやワシなどの猛禽類の多くは第一卵の産卵から親鳥は抱卵に入っちゃうから早く誕生したひなの方が体が大きい。獲物が沢山得られるような年は後から孵化した小さなヒナも育つらしいが、獲物が得られないような年は大きなヒナだけが育つらしい。厳しい〜
みんな一緒
ヤマセミは全ての産卵が終わったところで抱卵に入るタイプ(最終卵抱卵)。
実はこのタイプの野鳥の方が多い。
産卵数が多い時は6卵。1日1個を産む。ほぼ1週間も抱卵しなくて大丈夫なの?「ハイ大丈夫です」。14日程度は問題ないことを色々な鳥の卵で確認済み。
ウコッケイの卵
「同じ子でも色違いを産卵」
ヤマセミとは関係ない事ですが、有精卵と無精卵の見分けがつきますか?
無理〜ではないんです。なれれば。
まっ平の所に置くと有精卵は動くんですよ。動物園で沢山の鳥類卵を扱っていて偶然見つけたこと。
過保護は禁物
ヒナが孵化直後2日間ほどは給餌はしないのが普通。
様々な動物の人工保育、野鳥のヒナの人工育雛で死亡させてしまった新人飼育係の悲しむ場面を幾度となく見てきた。
原因の90%以上は消化不良。つまり、食事の与え過ぎが原因だ。
ヤマセミに限ったことではないが、ヒナの孵化直後2日間ほどは親鳥は給餌はしないのが普通。ヒナは体の中に2日分ほどのエネルギーの塊(卵黄)を持って出てくる。それなのに無理矢理(流動食)与えれば厳しい状態になる。親鳥はすごい。
孵化3日目から親鳥たちの餌運びが始まる。
余談:当時写りが良いとされていたのは「コダックASA64」のフイルムだった。しかし、コダックはASA感度が低いので早朝、夕方の薄暗い環境ではヤマセミの行動を記録できなかった。まして、中古のカメラとF5・6の暗いレンズ。ストロボなど使用したらせっかく築いてきた信頼関係は失われるため、動物撮影にストロボは一切使用したことがない。彼らがこれからもしあわせに生きられ、そんな自然な姿を見ている自分も幸せ。これからも自然体で付き合いたい。
シャッタースピード30分の1。36枚どりフイルムを4本使用しぶれずに撮れたのはこの一枚だけ。ヤマセミの飛ぶ速さにカメラを動かす速さ(おい写し)がたまたま一致したこんしんの一枚
つづく
ふだんの我が家のニワトリ達の様子
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