かのこ動植物日誌 コジュケイ
文 じんぼ けんいちろ
体は小さいけど声は拡声器並みでかくれんぼが超得意な野鳥
山裾の茂みの足元から突然「ぐぎゃぎゃぎゃ」と甲高い悲鳴を発しながら飛び出す児玉スイカ程の大きさの野鳥。一瞬何が起きたのと面食らう?コジュケイだ。毎朝三浦の谷戸に響き渡る大きな声。「ピッコほい。ピっこほい」と叫んでいる。この辺りの茂みに居るよなってわかちゃいるけど、突然足元からの飛び出しには毎回驚き「なんだよ〜」って感じ。砂浴びが大好きなので山裾の畑の際の乾燥した地面がラーメンドンブリ程度の大きさでくぼんでいればコジュケイの砂風呂場だ。注意してみると独特な模様の羽根(大抵は腹の羽毛)が落ちている。でも繁殖期が終わる8月ごろ砂風呂には風切羽根も。多くの野鳥は繁殖期の終了とともに換羽する。野鳥の羽をコレクションするのであれば8月、9月が狙い目。
鳴き声で合いの手仲良し鳥
コジュケイはオスもメスもほぼほぼ同じ色。大きな鳴き声はオスもメスも得意になって張り上げるけど、よくよく聞くとオスが「ピっこほい」と鳴くとメス鳥が「あらょ」と合いの手を入れて鳴いているように聞こえる。時に落ち込んでいる時でも元気になれる幸せな鳴き声鳥かも。
足で見分けるオスとメス
コジュケイはキジの仲間。ニワトリもキジの仲間だ。この鳥達には体にある共通点がある。「ケヅメ」ケズメはオスだけが持っているので、これが無ければメスだ。以前、ある自然系の行政機関からの「山からキジの卵を職員が持ち帰ってきた。なんとか助けたい」だったら持ってくるなよって言いたかったが後の祭り。では「チャボを仮母」にして孵化させてとアドバイス。数日後再び連絡がきた。チャボがまたく卵に興味を示さないけどどうしてなの?駆けつけて見て唖然「これオスだよ」。チャンちゃん。「立派なケヅメがあるでしょ。オスは抱卵しないよ」。
サツマイモが大好き
コジュケイはサツマイモが大好き。厳密に言えば腐ったイモが。そんなイモには分解者がうじゃうじゃ。これを目当てに地域のコジュケイが集まってくる。秋、収穫期を終えて不良処分された畑近くの茂みにコジュケイが多いのにはこんな理由がある。
ルール
昆虫少年たちの王道は林の中を藪漕ぎして真っ向勝負でカブトムシをゲットすること。木の幹を傷つけたり、昆虫ゼリーなどを使うのはルール違反。毎日通うと立派な小道ができる。どでかいカブトムシを捕まえた時はまずは兄や友達に誇らしげに見せるのが、子供達同士のオキテのようになっていた。林で遭遇して毎回驚かされるのがコジュケイの子連れだ。夏休み前半、コジュケイのヒナはウズラほどのに成長している。親鳥を先頭にしてヒナたちは一列に移動。自分の前の相手を追い越すようなことはしない。茂みに中に入っていく姿は大蛇そのもの。見慣れているが「ウヒィ〜」と息を飲み込んだ思い出がある。もしかしたら「ツチノコってコジュケイの親子?」。
絵 kaorijinbo
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