Mr. Olympia 2023について
今回は、今年のMr. Olympiaについて書こうと思います。
そもそもMr. Olympiaとは、ボディビルの世界一を決める大会でして、数あるボディビル団体の中でも最も有名な団体の一つであるIFBBが、毎年秋に開催している大会です。
特に、Arnold Shwartenegerが過去に7度チャンピオンになり、一躍有名になった大会として知られています。歴史については以下の動画が非常に素晴らしい内容になっています。
これまで留学等について書いてきた中で、だいぶ唐突感のあるトピックですが、私は、元々日本でボディメイクの大会に参加したこともあり、アメリカで是非やってみたいことの一つがMr. Olympiaを現地で観戦することでした。
ということで、今年11月2日から5日にかけて開催されるMr. Olympia@Orlando, FLの観戦に向けて着々と準備をしていたのですが、最終的には、観戦を断念することになったので、その顛末について書こうと思います。
観戦準備
上述のとおり、今年のMr. OlympiaはFloridaのOrlandoで行われます。私の居住地であるAustinから特に近いというわけでもないのでやや観戦を躊躇っていたのですが、日本が誇るボディビルダーである山岸秀匡氏が、予選であるMasters Olympiaで優勝し、Mr. Olympia本戦への出場を決めたということで、自分も観戦を決意しました。11月4日(土)のボディビル決勝です。
山岸氏の出場決定の知らせに触れて、9月2日に動き出したときには、既にチケットがだいぶ売れていたため、入手できたのは、ほぼ最後尾の席でした。それでも、USD 149しました。
チケットを押さえた後は、その他の準備(例えば、ホテルや航空機、せっかくなのでその他の観光先の選定)を順次進めていました。
撤退戦
別件が入った…
ところが、急遽、同じ日に別件が入ってしまいました。何かというと、ロースクールの課外活動で陸上風力発電所を見に行くというものです。
2007年に稼働開始しているので、結構古い発電所であり、規模は、585.3MWです(Texasで5番目?)。Austinからは、車で4時間弱!!かかります。
せっかくTexasに来たからには、見ておかない手はないと思ったので、Mr. Olympiaの方はキャンセルすることにして、撤退に向けて諸々動き出しました。
ホテルについてはAmexのポイントを使ってMarriot Bonvoyから予約していたので無料でキャンセルできましたが、航空券は一番安いものだったので(往復でUSD 209.8)、Refundなしです。
Mr. OlympiaのチケットをCraiglistで売りに出す
問題は、Mr. Olympiaのチケットをどうするかです。
キャンセルはできないっぽかったので、Resaleしてみることにしました。
そもそもResaleしていいのかですが、運営のサイト上はあまり明確ではなく、禁止されている感じでもないです。
また、チケットの券面にも個人名は書いていないようなので、現場で使うことに支障はないようにも見えました。
ということで売ることにしました。
どうやって売るかですが、色々調べたところ、Craiglistでトライしてみました。地域ごとに掲示板が存在するので、Mr. Olympiaの開催地であるOrlandoの掲示板にポストしました。
チケット販売用のフォーマットがあるので、それに入力していくだけです。
価格ですが、少し調べてみても相場が分からなかったので、ややディスカウントして120ドルにしました。ただ、後述のとおり、結局割りとスムーズに売れたので、もうちょっと高くしても(そもそもプレミアムつけても)よかったのかもしれません。
関心のある買主から連絡が来る仕組みですが、買主とのやり取りは、お互いのメールアドレスが匿名化される仕様になっています。ただ、下記のとおり、送金先等のやり取りで結局、外部のサービスを使う必要があるために連絡先等を伝える必要があります。
詐欺?に遭遇する
10月1日にCraig Listに出品したら、すぐに(ポストから30分後くらいに)、ある買主から連絡が来ました。
Zelleでの送金を希望されたので、了解したところ、Zelleらしきメールアドレス(Zelle.me@post.com)から、以下のような謎のメールが届きました。
要は、真正な取引であることを証明するために、一度買主から売主に多めに送金して、その上で買主から売主に余分な分を送り返す、ということのようです。
そんな商慣習聞いたことなく、調べたところそもそもZelleがエスクローを提供しているのかも定かではありませんので、この時点でだいぶ怪しいです。なお、謎メールの署名欄は、Early Warning Service, LLC.になっており、この会社は一応実在するようです。
まあ一旦様子見ということで、買主に追加の100ドルを送ってもらうように伝えたところ、買主がすぐ送るよ、とのことでした。
そうすると、今度は同じZelleらしき?メールアドレスから次のメールが来ました。
そこで、自分の銀行(Chase)のアカウントを見たのですが、特にEscrowがどうだとか書いていません。また、上記メールでは、当初の話と違って、なぜかこっちが100ドル先に送るという話にすりかわっています。この時点でほぼ間違いなくScamだと思いました。
なので、「こちらが先に払うというアレンジは受け入れ不可」と、買主に伝えたところ、その後連絡はありません。
なお、以上のとおり最初からまあまあ怪しいのですが、その他にも詐欺っぽい兆候はいくつかありました。
買うという話が決まった後に、「で、いくら送ればいい?」と言ってきた。普通の買主の挙動としてありえない。
実は、当初掲示板にはチケットの座席番号を書き忘れていたのだが、買主の方からそのことについて聞いてくることはなく、こちらから言い出さなければ、そのまま決済されそうな流れだった。これも通常の買主であればあり得ない。
今度はちゃんとした買主が現れた
以上の件の後まもなく(10月3日)、別の買主から連絡がありました。今度は特に怪しいところはなく、ちゃんとした買主のようです。
決済については先方の希望でVenmoを使うことになりました。Venmoは、米国の個人間送金におけるデファクトスタンダード的なAppですが、実はまだセットアップしてなかったので、ちょうどいい機会になりました。仕組み自体はシンプルで、Venmoにアカウントを開設し、その際、銀行口座と紐付けることになります。
なお、Venmoアカウント開設時にKYCがなかったと思いますが、どういう法制度になっているのかは謎です(日本だと、犯収法上の取引時確認が必要で、e-KYCの場合、写真つき身分証明証を提出した上で、アプリ上で容貌も撮影することになると思います。)。もしかすると、口座開設銀行のKYCに依拠しているのかもしれません(日本でも同種の仕組みあり。)。
ということで、Venmoを使って、無事送金完了しました。
それを受けて、当方からは、①チケット購入時に大会運営組織から受領していたメールと、②当該メールに添付されていたチケット(PDFファイル)を買主宛に送信しました。
なお、そもそもこのチケットは、単にPDFファイルが存在するだけなので、普通に二重譲渡できそうな感じではあります(普通のスポーツイベントだと、チケットは中央集権的に管理されていて、Transferするには管理者の承認が必要。)。
また、中央集権的に管理されていないということであれば、今回の買主がチケットを現場で使うことにも特に支障はなさそうですが(既述のとおり、チケットの券面に個人名が記載されていることもありません。)、実際に現場に行ってみると、氏名と身分証を確認されるリスクが皆無ではないように思います。当該リスクの分担を買主との間で予め合意しておくことも考えましたが(つまり、当方の免責を規定)、実際に問題となる可能性は高くなさそうだし、まあ面倒だったのでやめました(※)。
(※)この点、最近Barの勉強で学んだContractのデフォルトルールに従うと以下のとおりかと思います。①私はmerchantではないので、Implied Warranty of Merchantabilityは生じない、②ただ、買主側の目的(観戦のためにチケットを購入する)を認識しているので、Implied Warranty of Fitness for a Particular Purpose は生じる。
反省点
上記のとおり、結局スムーズに売れたので、価格設定の点は悔やまれます。実際、上記買主との交渉中(10月4日)に別の買主も現れたので、オークション的な感じにするのがベストだったように思います。そもそもヤフオク・メルカリのような使い勝手のいいオークションの仕組みが存在しないかもうちょっと調べてから動いてもよかったように思います。
まとめ
Mr. Olympiaの観戦を決めてその後撤退するという一連のストーリーの中で、ちょっとしたエピソードがいくつかあったので、書いてみました。何か参考になるものが含まれていましたら幸いです。
風力発電所の見学については、終わった後何か書くかもしれません。