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【読後感】「神さまとぼく」

最近読んだ「神さまとぼく」という本。
1970年代の後半に当時の松下電器で、平の取締役から25人抜きで社長に抜擢された山下俊彦さんという方の伝記です。
これはおもしろかった。

誰が山下さんを抜擢したのかは諸説あります。

創業者の松下幸之助さんの意思であるとか、大番頭である高橋荒太郎さんが構想した人事であるとか、実際口説いたのは前社長の松下正治さん(娘婿)であるなどという話がありますが、いずれにしても高度成長時代を終えて松下電器は事業構造を変えなくてはならない状況にあり、当時の取締役26名中25番目から抜擢され、さまざまな改革に取り組んだ経営者が山下俊彦さんです。

40年以上前の話で、いまだったらパワハラと言われかねない描写もありますが、日本が元気だったころは、みんなこんな仕事っぷりだったのだなと思います。

山下社長の考え方は

「人間をつくるということは仕事をまかせること」
「社長の仕事は社員の感動を与えること」

というもので、松下電器の創業者が導入した事業部制という組織運営を徹底し、事業部の独自性や自主性を重んずる経営であったようです。

事業部制はともすれば個別最適に陥りがちですし、事業部間でカニバリズムも起きたりしますが、山下社長がなにより重要視したのは、効率よりも事業部の主体性です。個人が主体性を持って成果を出すことで感動が生まれるという信念があったようです。

主体性をもって、自分で自分が進む道をハンドリングする。
もしかしたら思うような結果成果がでない場合もあるかもしれません。

しかし、幸せを感じるのは良い結果が出ることではなく、結果に至るプロセスを自分でハンドリングすることです。

大きな売上利益を上げたとか、株価が上がったとか、結果で味わえる幸せには賞味期限があります。
結果で幸せを味わおうとすると、またすぐに次の結果を求めなくてはならなくなります。
しかも次の幸せのためには、スケールを拡大しなければならないからどんどん苦しくなる。。

結果ではなくbeing(あり方)。
他人の価値観ではなく、自分の価値観に沿っって、自分で選択した行動を取る。
こうした在り方が幸福感につながるのかな、と思った本でした。

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