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相手に攻撃させるという戦術もある

3児の父。プロテニス選手のツアーコーチをしています。

自分から自分から!なんて気合い入れてコートの中から強く打ってミスを繰り返して負けてしまう。。。なんて試合をしてしまったことはないでしょうか?自分から攻撃できないと次のステージに行ってから勝てない。なんてコーチに言われたりしているかもしれません。しかし私個人的には上を見る前に『今の自分のポジションを知るべきです』
今自分のいる試合と相手でそんな上を見る必要ありますか?勝ち上がれば上を見る可能性は上がりますが、勝ちを逃しては上も見れません。もちろんテニスの質も重要です。しかし勝ちながらテニスの質をあげていく必要もあるのです。勘違いをしてはいけません。

今私は中国のJ30というジュニアの国際試合ではレベルの低い試合に来ています。そこで私が伝えていることは、確率の高いクロスを打って相手が崩れてきたら相手に攻撃させてミスをさせることも必要と伝えています。テニスは自分から攻撃しなくてもポイントが取れる珍しいスポーツです。自分からいいボールを打って展開を作っても相手は何とか返そうとしてるだけになりエラーが少なくなる可能性もあります。ですので相手に必要以上に強打させてエラーを誘うことも頭に入れさせています。もちろんそれだけでは試合をコントロールできません。

大体このレベルの選手であればしつこく3回ぐらいクロスと真ん中に打てば、リスクを犯してエラーしてくれるレベルです。たまに交通事故みたいなポイントがいくつかあったり数ゲームを落としたとしても、少し重いボールをコンスタントに打ってプレッシャーをかければ長くは続かないでしょう。

極論を言うと下位レベルの選手の攻撃は、速いボールを先に打つことや、展開することが攻撃だと捉えていることが多いです。もちろんスピードもプレッシャーをかけるには必要です。しかし上位のレベルの選手は、スピードだったり、相手の逆をついたり、バランスを崩したり、心理状況を揺さぶるなどして、もっと深いレベルで攻撃をしかけてきます。ですので下位レベルの選手が上位選手に速い攻撃を仕掛けても、スピードだけで予測も外せないので全て返球され攻撃できなくなり自滅して負けるのです。
相手のマッチポイントでも攻撃、攻撃、もっと攻撃して打ったら少しアウトしてゲームセット。カモーン!とか。試合後、最後まで振り抜いて攻撃したから問題ないよ。本当にそうなの?違うでしょ。相手のマッチポイントだから逆でしょ?サーブを持っていたら別だけど、まずはリターンを何とか返したり、セカンドサーブになったら先ず入れないと。そしてラケット振ってミスの少ないセキュリティーボール打って相手のミスを誘うことでしょ。文章にするのは簡単ではないのですが、自分から攻撃することだけが次のステージに行けることではないと言うことです。

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