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なぜ練習で負荷をかけるのか?

3児の父。プロテニス選手のツアーコーチをしています。

私は練習で負荷の高いドリルを必ず入れます。
負荷が高いということは精神的にストレスがかかることを指します。決してがむしゃらに走り肉体的な疲労を与えることではありません。フィジカルにアプローチするときには必ずそのように伝えます。

例えば、50球ラリー。これはある程度のレベルであればそんなに難しいことではありません。徐々に負荷をかけ難易度を上げていきます。
ネット、アウト、2バウンドは0に戻る。サービスラインは-1など。どんどん負荷をかけていきます。

するとどうでしょうか。

今までストレスがない状況でできていたことが、難易度が上がると突然エラーが増えて精神的に萎えてしまうのです。そんなの無理とかいい始めたり。
試合でも同じことが起きていますよね。

6-2で調子よく1stセットを奪います。2ndセットの出だしで2本連続ダブルフォルト。0-30で相手のショットがネットイン。そしてそこから簡単に2ndセットを落としてファイナルは一方的な試合で負ける。
よくある話です。
ではその選手は日頃の練習でストレスがかかっても目的達成の為にフォーカスできていますか?49球目に相手がミスって0からのスタートでやる気がなくなった。風が強い。眩しくて見えない。今日は調子が悪い。など理由をつけて目的達成の為の意欲がなくなっているはずです。
あるいは突然質の低いボールで目標達成しようとします。しかしそれがあなたの今の実力なんです。ということも理解していない。 ある選手はこういい出します。『コーチ!俺はベストを尽くしている』私の答えは、でも貴方のボールの行方はどこだ?アウト、ネット、のオンパレードだ。テーマはベストを尽くすことではない。50球指定されたボックスに入れることだ。論点がずれている。

更に言えばクロスコートに打つ練習をしているのに突然ドロップショットも打つ。練習を崩さないでほしい。それが試合にもろに出ている。ドロップショットを打つ発想は悪いとは思わない。しかしプログラムはそのオーダーをしていない。上海行きの飛行機に乗るのが目的なのに、勝手にパリ行きに乗らないで欲しい。そんなことを言ったら選手の感性が潰れる!ではその選手の感性は世界で何番目ですか?トップ10であれば間違いないと思うがそのレベルの選手は必ず目的を達するために努力する。だからそんなことはしない。コーチは方向性を示しているだけだ。

その辺の大きな勘違いというか、ズレを果たして修正できるのかどうかは私にはまだ未知な世界です。

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